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佐川幸義先生

1.『孤塁(こるい)の名人 合気(あいき)を極めた男・佐川幸義』(津本陽著 文芸春秋刊)を読みました。  大東流合気柔術・宗範(そうはん)佐川幸義先生の伝記です。

2.身長163センチと小柄な佐川先生は、80歳を超えてなお、巨漢の武道家をわずかな身動きによって、宙に飛ばしたそうです。  昭和初期の謎の武道家といわれていた大東流の名人・武田惣角(そうかく)先生の弟子です。  相手の力を抜いて無力にしてしまう『合気』の唯一人の伝承者(でんしょうしゃ)だそうです。

3.「若いときに強くても、老いれば強さを失う」というのが一般的な認識だと思います。  その中で、高齢になってますます強さを発揮する「名人」とよばれる武道家の話を聞くことがあります。  江戸時代後期の剣客・白井亨(しらいとおる)先生については、かって本で読みました。  また、意拳の王向斎(おうこうさい)老師については、太気拳の澤井健一先生から直接話をうかがったことがあります。  武田先生や佐川先生はそんな名人の一人なのでしょう。

4.抜粋し、番号を付して紹介します。

『①小柄な惣角が30貫、40貫の柔道家を子供のように扱えるのは、逆極め技の天才だからであると武道家たちは思い込んでいる。  技をきめる前に、ひそかに合気によって相手の力を抜いていることは、誰にも分からない。

②幸義は合気技を向上させるために、この頃(30歳の頃)から独特の鍛錬法を毎日実行するようになった。  (中略)  毎日の日記の末尾には、鍛錬項目と、その回数が書きとめられている。  2~3時間をついやし、「振り棒1000回、腕立て伏せ500回、大ハンマー200回、四股(しこ)500回」などの記載がある。

③体の鍛錬を1日休めば、翌日は2日分やる。  (中略)  素振りに使う2キロほどの八角棒は、年間30万回振る。  それを30年、40年と長年続けてみて、鍛錬の効果がようやく分かってくるというのである。  人間の体の深奥(しんおう)に眠っている能力が、ようやくめざめてくるのだ。  筋肉は70歳まで発達を続ける。  70歳まで鍛えておけば、80歳を過ぎてもまったく、体力が衰えることはない。

④佐川先生談 「体を鍛えているうちに、いつのまにかこれまでやったこともない技が出てくる。  何回もやるうちに、新しい技が敵を倒すために効果的であるということが分かる。  そこで、なぜかという疑問が出てきて考えるうちに、理論が分かってくる。  技が理論よりも先行してあらわれてくるものだ。」

⑤高弟の木村達雄氏談 「最近、先生が使っておられた鉄ゲタ、鉄槌(てっつい)、鉄棒、鉄パイプの槍を見せていただいたがその重さに驚いた。」  (中略)  このとき先生は92歳であった。  先生は非常な高齢でありながら、頭脳明晰(めいせき)であるのは、この鍛錬のおかげだというのである。

⑥佐川先生談 「合気の原理はごく簡単なものですよ。  皮膚の下の筋肉の動きですからね。  それで合気をかけるんです。」 』

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