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愚痴を言うこと

前回は悪口についてでしたが、今回は愚痴についてです。

朝日新聞夕刊・金曜日の連載『まあいいか』は大竹しのぶさんが書かれています。  10月13日のタイトルは「聞かせたかったな」でした。  抜粋し、番号を付けて紹介します。 

『①埼玉にある両親のお墓参りに、4人姉妹で向かった車内。  幼い時に住んだ街に入り、それぞれが記憶のピースを持ち出し思い出話に花が咲く。  (中略)

②ローンが払えず、テレビを取りに来た電器屋さんの姿を悲しげに見ていた幼い私。  その話をしたら「オルガンもよー」と2人の姉が。  「そうそう、ミシンもだった」 「ミシンを買っては質屋さんに出して、また買ってた」。  どうしてそんなにミシンが欲しかったのかなあ?  「ミシンがお母さんにとっての一つの母としての理想であり願いだったのかもね」。  皆で母に思いを馳せる。

③その後も父が結核で入退院を繰り返すようになり、我が家はますます大変なことになっていく。  子供5人、母の言葉を借りて言えば、歯を食いしばって育て上げた。

④みんなひねくれることもなく、育て上げてもらえたのは、父母ともにプロテスタントの信仰という強いものがあったからかもしれないが、とにかく母の必死な姿を見ていれば、わがままを言ったり、何かを欲しがったり、もっと言えば甘えることもできなかった。

⑤父はいつも母を気遣い、母は絶対に父を否定することはなかった(それは生涯変わらなかった)。  だから私は家が好きだったし、皆で囲む小さな食卓が大好きだった。  決してご馳走が並ぶことはなかったが、そこで父の話を聞き、一日の終わりにホッとしてお茶を飲んでいる母の姿が好きだった。

⑥お墓参りの帰り、妹が家に寄る。  4時間近く運転していたので、あり合わせの簡単な夕食に。  息子も参加して3人でいろいろな話が始まる。   妹は40歳で離婚し、女手一つで2人の息子を育ててきた。  60過ぎた今も家のローンを抱えながら働いている。

⑦なぜ、自分はこんなに一生懸命やっているのに・・・・・・という愚痴をいくつか話し始めた。  あの人は良いなぁ、などと人を羨む話も。

⑧すると息子が「めぐちゃんの不幸だと思う原因の90%は、人と比べることだね」と一言。  「お家もあって、息子が戦争に行かなくてもいいんだよ。  仕事もあって、電話すればご飯まで届けてくれるんだよ。  しかも健康で、何が不幸なの」。

⑨淡々と言われるだけに妹には刺さったようで、「そうだね比べちゃいけないね。  自分は自分だ。  ありがとう、ニッカ」。

⑩そうなんだ、母はどんな時でも人と比べたりしなかった。  そして誇りを持っていた。  お母さんに聞かせたかったな、今の言葉。』

悪口同様、愚痴も苦手です。

でも、「愚痴を言うことで、精神的に楽になる」という愚痴の効果も否定しません。

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