FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

白鵬の脳内理論

大相撲7月場所で7場所ぶり通算45度目の幕内優勝を果たした横綱・白鵬の専属トレーナーである大庭大業さんが書かれた『白鵬の脳内理論』(ベースボール・マガジン社)を読みました。  

1.「自分の体と真摯に向き合う」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①(相撲をとる時に)超重要な太腿の周りの筋肉というのは、表側と裏側で比べると、ほとんどの人は表側の方が発達している傾向にあります。  ところが、横綱の場合、表側の筋肉がほかのアスリート同様、見事に発達しているだけでなく、裏側のハムストリングスが並外れて発達しており、表側と裏側が理想的なバランスになっているのです。

②しかも、筋肉の質も優れていて、柔らかく、弾力に富んでいます。  だから、どんな状況になっても瞬時に反応して、必要な筋肉を素早くはたらかせられます。  前に進む出足は鋭いし、土俵際ではたかれてもこらえられるし、押し込まれてもしのいで逆転できる。  これこそが、筋肉という点から見た横綱の強さの原動力だと、私は思います。』

7月場所は白鵬と大関・照ノ富士の一騎打ちの様相で進み、私が見るところ「反応スピードの白鵬」対「安定の照ノ富士」という感じでした。  


2.「感謝の気持ちを示す」の項からも抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①(前略)  ほかにも、横綱が深い感謝の念を抱いている人物がいます。  師匠の宮城野親方です。  先日、その感謝の深さを改めて思い知る機会がありました。

②本場所の取り組みを前に、花道を入場してきて土俵下の控えに座ります。  ここで、これからの相撲の展開を思い描いたりすることはすでに触れました。

③取り組みへの準備を整え、呼び出しに呼び上げられて、土俵に上がります。  その時必ず、心の中でこう唱えていると明かしてくれたのです。  「今日も親方のおかげで土俵に上がれます。  ありがとうございます。」

④最近になってから始めたわけではありません。  初土俵を踏んで以来、今まで1400回以上も本場所で相撲を取ってきました。  そのたびに欠かさず、心の中で感謝の言葉をつぶやいてから土俵に上がるというのです。

⑤この言葉の原点には、モンゴルから来日したばかりの頃の苦い思い出があります。  横綱は15歳の時、「力士になりたい」という志を胸に、モンゴルから若者6人と一緒に日本にやって来ました。  (中略)

⑥若き日の横綱は、モンゴル相撲の大横綱の息子とはいえ、体重はわずか60キロの、もやしのように細い少年です。  なかなか声がかからず、一人だけ取り残されました。

⑦寂しさと虚しさが募る中、いよいよ明日にはモンゴルに帰らなければならないという日になりました。  そんな時、手を差し伸べてくれたのが宮城野親方でした。  (中略)  もしもこの時、宮城野親方が手を差し伸べてくれなかったら、力士になる夢は叶えられなかったのです。  (中略)  

⑧とはいえ、そんな気持ちも月日が長くなるにつれて薄れていってしまうものでしょう。  しかし、横綱は初心を忘れず、20年近くにわたって胸に抱き続け、土俵に上がるたびに心の中で感謝の言葉を唱えているというのです。  (中略)

⑨土俵に上がる時だけでなく、横綱は日頃からよく、「宮城野親方がいなかったら、今の自分はいない。」と口にしています。  師匠が稽古場にいない時には、師匠の代わりとして目を光らせています。』

前人未到の45回優勝(次点は大鵬の32回)の秘密の一端がここにあるようにも思います。

TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT