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大きな声を出すこと

(1)先週の日曜日は昇級審査会でした。  少年部の審査会は、まず「(返事や気合いで)大きな声を出すこと」から始めます。  
審査会の最後のあいさつで、次のような話をしました。

「①最近、さまざまな事件(刃物による無差別殺傷事件や高齢者ドライバーによる人身事故など)が報道されています。  そのような事件・事故に遭遇した場合を考えると、大きな声を出すことは、とても大切です。  

②人間というのは予期しなかった事件や災害に遭った場合、往々にして何もできずに固まってしまい、動けなくなることがあるからです。  それを防ぐには、周りがびっくりするような大きな声を出すことです。  大声を出すことは、自分や周りの人がその危機的状況から逃れるきっかけになります。

③単に空手の攻撃の威力を増すという意味だけでなく、日常生活の危機管理の観点からも、道場内で大きな声を出すことは大切です。」


(2)2017年1月29日の私のブログで、(1)に関連することを次のように取り上げました。

『「震度7の生存確率」(仲西宏之・加藤和彦著 幻冬舎)を読みました。  本書から抜粋し、番号を付けて紹介します。  

1.「正常性バイアス・麻痺」

①突然、大災害に直面して最善の行動をとるのは大変難しいことです。  多くの人は固まって動けなくなります。  (中略)  なぜ凍りついて動けなくなるのでしょうか。  その理由を災害心理学者のジョン・リーチは人間の脳の働きで説明しています。  

②人間は、通常の習慣的な行動をとる時には「刺激→反応」を意識せずに自動的に行なうようにできていますが、通常とは異なる事態に直面すると、この「刺激→反応」システムの調整がうまく機能しなくなるので、
・何もできなくなる人 70~75%
・我を失い泣き叫ぶ人 15%以下
・落ち着いて行動できる人 10~15%
になるといいます。  心理学者が「正常性バイアス」と呼ぶ状態です。

③震度7の地震に襲われると、人間は激しい揺れで物理的に動けなくなるだけでなく、人間の脳に備わっている機能が働き心理的にも動けなくなる可能性が高くなります。  (中略)  

④ところが物理的・心理的な原因以外にも人が動けなくなる理由があります。  それは、「麻痺」と呼ばれる状態に陥ることです。  アマンダ・リプリーの『生き残る判断 生き残れない行動』(光文社)では「特定の状況下では、炎上している飛行機、沈没しかけている船、また急に戦場と化した場所などでも、多くの人はまったく動きを止めてしまう。」と報告しています。  (中略)

⑤それでは、大災害に直面した時に起こる麻痺から抜け出すためにはどうすればよいのでしょうか。  リプリーは事前の準備とリーダーシップと言っています。  (中略)

⑥十分な訓練を受けた客室乗務員が避難時に乗客に向かって金切り声を上げるのは、リーダーシップを発揮するためと理解されていますが、それだけではありません。  大きな声を出すことで、乗客の知覚麻痺状態をさえぎることができるのです。


2.「常に状況のシミュレーションを行なう癖をつける」

発災の瞬間を生き延びるためには、

①その瞬間、動けなくなる可能性が高いこと
②麻痺を解くために大きな声を出すこと
③大きな声を出しながらゴブリン・ポーズ(災害時にしゃがみ込む基本姿勢)をとること
④「三角形の空間」※を瞬時に見極めること
・車の場合:ボンネット付近(フロント・タイヤの中心から少し後ろ)
・屋内:頑丈な柱の近く
⑤電車に乗車中の場合には、つり革などをしっかりつかみ倒れないこと

これらを瞬間的にできるようにし、自力移動と自由移動を頭に浮かべます。

こうした基本行動をとることを理解できたら、発災の瞬間のシミュレーションを行います。  事前の準備は発災の瞬間の麻痺を生きのびるためにも重要です。

※「三角形の空間」については2011年4月19日の私のブログ(タイトルは『三角形の救命スポット』)で取り上げました。』


(3)空手の稽古を通して、危機管理に関する次のような能力を磨いていく必要があります。

①瞬間的に、自分自身が危機的状況にあることを察知できる。  「道場訓」の「機に発し、感に敏なること」が大切です。

②事件・事故に遭遇した場合に「麻痺」に陥ることなく、そこから素早く逃げることができる。

③「麻痺」に陥らないためにも、危機的状況においても「周りがびっくりするような大きな声」が出せる。


(4)普段の生活で、周りがびっくりするような大声を出したら「変な人」だと思われますが、極真の道場では、大きな声で返事をしたり、気合いを入れたら、指導員の先生にほめてもらえます(笑)


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