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軍事の日本史

1.『軍事の日本史』(本郷和人著 朝日新書)を読みました。  第1章「戦いとは何か」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①この章の締めくくりとして、ぜひ僕がご紹介したいデータがあります。  

②『〈玉砕〉の軍隊、〈生還〉の軍隊・・・日米兵士が見た太平洋戦争』(河野仁著 講談社選書メチエ 2001年)という本です。  これによると「玉砕する軍隊」と「生還しない軍隊」があるそうです。  日本の軍隊は玉砕する軍隊で、アメリカ軍は玉砕しないというのがその結論です。

③第二次世界大戦時のアメリカ軍兵士の戦闘行動に関する興味深いデータがあります。  それによると、敵と戦っているまさにそのとき、「撃て!」という上官の命令で鉄砲を撃とうとしても実際打てた人は四人に一人しかいなかったというのです。  自分の小銃を発砲した割合(発砲率)はせいぜい「20から25%」だった。

④この本の中で著者は、不用意に発砲することで逆に自分の居場所を敵に知られるリスクについて言及しています。  そうしたことは確かにあったことでしょう。  あるいは、キリスト教を信仰している人が多かったなど別の理由があるのかもしれない。  本当のところは分かりません。  ただ、人の命を奪うのは、アメリカ人にとってそれは大変なことだったというのです。

⑤別のアメリカの学術書にも、南北戦争のとき50%もの兵隊は敵の命すら奪うことはできずに、「撃て!」と命令されてもわざと的を外したという驚くべきリポートがなされているのを読んだことがあります。  それが人間の本質であるならば、当然、人間性を重視し、人間性に立脚した軍事というものが考えられてよいはずです。  だから国際法では捕虜の保護規定を設けているのです。』 


2.上の②で紹介されている『〈玉砕〉の軍隊、〈生還〉の軍隊・・・日米兵士が見た太平洋戦争』の講談社学術文庫版(2013年)も読みました。  序章「戦争と死」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①「戦闘意欲」の問題を最初に取り上げたのは、米陸軍の戦史研究者S・L・A・マーシャル大佐である。  

②かれは古典的業績となった『戦火の兵士』の中で、第二次世界大戦における欧州戦線および太平洋戦線での米軍兵士の戦闘行動を実際に前線に行って観察したり、作戦終了後に戦闘に参加した兵士を面接調査した結果、「米陸軍部隊兵士の交戦中の発砲率は最大限25%である」との観察結果を公表し、当時の米軍内部で大きな波紋を巻き起こした。

③これをうけて、朝鮮戦争までに米陸軍は兵士の訓練方法を改善し、1950年の朝鮮戦争時には歩兵部隊の夜間防御と昼間攻撃のいずれにおいても発砲率は55%を超えた。

④このマーシャルの研究によって明らかとなったのは「人間としての兵士」の問題である。  (中略)

⑤歩兵中隊長が「撃て」の号令をかければ「自動的に」その命令に服従して兵士たちは小銃を撃つ、というのは「神話」に過ぎない、ということを改めてわれわれに教えてくれたのである。』


3.31年目に入った「平成」が終わり、5月から「令和」が始まります。  テレビや新聞では様々な分野の「平成の歴史」が取り上げられています。

色々な面からの評価もあるでしょうが、少なくとも、日本が戦争することのない30年間を過ごせたことは幸せでした。
 

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