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イエロメンコ選手のオノマトペ言葉

城西のブログやフェイスブックでも紹介していますが、21日火曜日、二日前に世界チャンピオンになったばかりのイエロメンコ選手が道場生の皆さんと出稽古に来てくれました。  今年の国際親善大会後に続いて、二度目の来訪です。  世界チャンピオン直々のテクニックセミナーが行われ、私も見学させてもらいました。

最近読んだ『熟達論』(為末大著 新潮社)の中に参考になる記述がありました。  「リズムが連動を生む」の項を抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①連動はあまりにも複雑なので、私たちが詳細を意識することは難しい。  だから、良い連動を引き出すためにはリズムが使われる。   どんなことでも上手な人と一緒に何かを行うと、うまくできるような感覚に陥ることがある。   カラオケが上手な人と歌うと上手に歌える気がするし、ダンスでも運動でもそうだ。   知的作業でも上級者の横で一緒に行っているだけでリズムにひきずられてうまくいく。

②だが、内在化されていないので一人で行うとまた元に戻ってしまう。  「心」を捉えると、自分のリズムを内側に持てるようになる。  だから良いリズムが何かがわかり、「流れが良くない」 「タイミングがおかしい」という感覚で、リズムのずれを素早く検知することができる。  例えば「ダダダ」  「グイッ」などのオノマトペ言葉には、リズムが組み込まれている。

③運動における上級者はこのオノマトペを頭の中で意識するだけで、動きを変化させることができる。  うまくいかない時も意識的に変えて良いリズムに引き戻していく。

④運動は自分の身体だけにはおさまらない。  生まれた力を外部に伝え、返ってきたカを適切なタイミングで受け止めれば、徐々に力は増幅されていく。  お風呂の中で自分の身体を前後に揺さぶると徐々に水面も前後に揺れていく。  それにタイミングを合せて揺さぶれば、波は大きくなりいずれ風呂からお湯が溢れる。

⑤外部との連動がでるようになると、自分が中心となり、周囲を巻き込むことができるようになる。  周りを自分のリズムに引き込めるのだ。

⑥レベルの高い集団に入ると、入った人間も急にレベルが上がることがある。  その集団の目的意識が高かったり、当たり前のレベルが高かったりするなどの理由はもちろんあるが、リズムも大きく影響しているだろう。   最初はついていくのに必死でも、そこで行き交っているリズムに自分を合わせていくうちに、本当にできるようになっていく。

⑦集団の中にもリズムがあり、良い集団はこのリズムと連動の質が高い。』

組手においても、リズムはとても重要です。

イエロメンコ選手がコンビネーションを指導する際の「パパパン、パーン」というオノマトペ(さまざまな状態や動きなどを音で表現した言葉のこと)は非常に分かりやすかったです。

イエロメンコ選手と道場生の皆さん、ありがとうございました。

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第13回世界大会

11月17日は国際親善エリート大会が、17~19日は第13回世界大会が行われました。  前者の優勝者と後者の出場選手についてコメントします。

1.国際親善エリート大会

旗手浩(50歳以上男子-80kg級)・・・優勝。   旗手さんらしいメリハリのある巧い組手で優勝しました。  ウェイトトレーニングで攻撃の威力を付ければ、もっと強くなると思います。  攻防の巧みさ、不要な力みがないこと、など一般の選手にも参考にしてもらいたい点が多々ありました。

2.第13回世界大会

①佐藤拓海(ゼッケン11番)・・・5回戦で準優勝した西村界人選手に本戦判定負け、技能賞受賞。  3回戦で実績のあるカルペンコ・イリヤ選手(ロシア)に再延長判定勝ち、4回戦で昨年の全日本大会で判定負けしている長澤大和選手に技あり判定勝ちしました。  今回の大会で5回戦に進んだ日本人選手が西村選手と荒田昇毅選手を含め3人だけだったことを考えると健闘したと思います。  4年後の第14回世界大会を見据えて、技・パワー・スタミナのすべてにおける向上が必要です。  

②加賀健弘(ゼッケン22番)・・・初日の1回戦は危なげなく勝ったのですが、その試合で夏ごろから痛めていた胸骨を骨折し、2回戦を棄権しました。  優勝を目指して精進してきただけに残念だと思いますが、試合では時としてそのようなことが起こります。  今回の試合を通じて何か学ぶとするならば、人生で起こってくる不条理や理不尽にどう対処し、どう乗り越えていくかです。  くさらずに前を向き、じっと耐えることが肝要です。  今後の活躍に期待します。

③石崎恋之介(ゼッケン64番)・・・3回戦でシャブロフ・ニキータ選手(ロシア)に延長戦判定負け。  圧力をかけてくる大型選手(187cm・95キロ)に対して力比べのような展開になってしまいました。  サイドステップを使うなど対処法はあったと思いますが、どちらかというと直線的に入ろうとした印象です。  加賀同様、今後の活躍に期待します。

④奥寺勇輝(ゼッケン93番)・・・若獅子賞を受賞したコストフ・ボゴミル選手(ブルガリア)に延長戦判定負け。  コストフ選手は20歳と若いですが、技の切れがすばらしいという事前情報も入っていました。  似たようなタイプ同士ですが、75kgと88kgの体重の差で押し込まれる場面が後半見られました。  体重無差別の大会を考えるなら、筋トレ・食トレによる体重増が必要です。

⑤岡部慎太郎(ゼッケン157番)・・・4回戦で優勝したイエロメンコ・アレクサンダー選手(ロシア)に本戦判定負け、敢闘賞受賞。  1回戦で足掛け下段突き、3回戦で下段の崩しからの上段膝蹴り、でそれぞれ技ありを取りました。  特に3回戦のブトコ・ニキータ選手(ロシア)は187cm・95kgの大型選手で、よく下段から崩したと思います。  世界チャンピオンになったイエロメンコ選手との対戦から多くを学んだはずなので、今後に期待します。

⑥小木戸琉奈(ゼッケン241番)・・・2回戦で、177cm・64kgザソリナ・クセニア選手(ロシア)に延長戦判定負け、若獅子賞受賞。  琉奈本来のキビキビした良い組手でした。  組手の切れと、しっかりした体幹について松井館長も絶賛していました。  真面目に稽古・ウェイトトレーニングに取り組んでいますので、高校卒業後の活躍に期待します。

選手・セコンド・応援の皆さん、3日間お疲れさまでした。  

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ミラーニューロンその2 少年部の指導

前回に続き、ミラーニューロンについてです。  『高学歴親という病』(成田奈緒子著 講談社+α新書)の「ゼロ歳児にこそ語りかけよう」の項に番号を付けて紹介します。

『①笑顔を絶やさない両親に育てられた子は、いつもご機嫌でいられることが多いという実感があります。  そして、親が伝えたいことを、すーっと理解します。  これは「ミラーニューロン」も作用しています。  この神経細胞を使って、子どもは親の動作や言葉を真似するのです。

②それなのに、「ゼロ歳ってまだ言葉話せないじゃないですか、喋れないじゃないですか。  だから、私は話しかけないんです」と話すお母さんがいます。   子どもと二人きりのときもずっとスマホをいじっていたりテレビをつけたままで、子どもに話しかけたり笑顔を向けたりしません。

③実はそうではないのです。   子どもはゼロ歳から親が近くで口を動かし、しゃべるのをずっと見ています。  その口の動かし方を脳の中に再現しておき 「あぶ~」などと一所懸命練習し、ついには「ママ」 「パパ」と、意味のある言葉を発するようになります。  したがって、覚え込ませたい行動や言動を目の前で見せ続けたほうがいいのです。

④さらにいえば、幼児期から早期教育に力を入れる人は、ミラーニューロンを使って子どもの脳を活性化する機会を逸しているとも考えられます。  そうではなく、親が正しいと思う行動、たとえば「ごめんなさい」 「ありがとう」と謝罪や感謝する姿を見せることが大切です。

⑤「子は親の鏡、親は子の鑑」という格言があるように、親が理想とする行動や言動を子どもに示し伝えるのです。   少々厳しい言い方になりますが、そこは他人任せにしないことです。

⑥たとえば、お父さんが出張などで不在がちなとき、お母さんが「お父さんは今頃一所懸命働いてくれてるよ」と子どもに伝える家と、「うちのパパったら役に立たないわね」と言ってしまう家。   2つの家庭は真逆です。   父親に対しまったく異なるイメージが刷り込まれていきます。

⑦同じように、スポーツのコーチが「こうしなさい」 「ああしなさい」 「これはダメ」と、指示・命令・否定ばかりの指導をするのも歓迎できません。  子どもにそのボキャブラリーしか入りません。

⑧先日、外食に出かけた先で、母親と2人の子ども連れの家族を見かけました。  お母さんが子どもたちをテーブルにつかせ食券を買いに行く間、3歳くらいの男児が自分が座る子ども用の椅子を引っ張って持ってこようとしました。  それを見た5歳くらいの女児が、突然険しい顔つきになりました。

⑨「○○君、そのお椅子持ってこないで!  ママが持ってきてって言ってからじゃないとダメでしょ。   ○○君が動かしたら危ないでしょ!」  大人びた口調で注意し始めました。  恐らく母親そっくりの言い方なのでしょう。  まるで鏡のようです。  そのようにいつも母親に自分が言われているのかもしれません。

⑩「この椅子持ってきたんだ。  小さいのにえらいねえ。  ママのこと助けてくれるんだね。  ありがとう」  (ママが)もしこのように話しかけていれば、5歳くらいのお姉ちゃんの口からも違う言葉が出てくるのだろうと思います。  あわただしい子育てにストレスもたまっていたのかもしれませんが、見ず知らずの親子が心配になった出来事でした。

⑪脳育てはゼロ歳から差がつきます。  でも多くの親御さんが、早くから塾や習い事に通わせ「おりこうさんの脳」を育てようとしてしまう。  実はそれは、脳育ての観点では「出遅れている」ことになります。

⑫子育ての時間は限られています。  おりこうさんの脳にばかり注目してしまうと、睡眠や言葉かけなど「からだの脳」をつくる時間が削られるわけです。』

上記⑦は、少年部を指導する際に気を付けなければいけませんね。  楽しい雰囲気の中で、ほめてあげることが大切です。

私事ですが、今日孫が1歳になりました。  孫との関わりにおいて気を付けているのは、少年部の指導同様に「楽しい雰囲気の中で、ほめてあげること」です。


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ミラーニューロン よく視て学ぶ

昨日は水戸で第30回関東大会です。  選手・セコンド・応援の皆さん、お疲れ様でした。

今回はスポーツドクターの二重作拓也さんが書かれた『可能性にアクセスする パフォーマンス医学』(星海社新書)からです。  「パフォーマンスのヒント 3-1 ミラーニューロン」の項に番号を付けて紹介します。

『①脳には他者のパフォーマンスを視ると活性化する細胞があります。  その名は、ミラーニューロン。  「自分はその動きをやっていないにもかかわらず、他人の動きを視た時に活性化する神経細胞」のことで、「行動を鏡のようにうつす」ところから名付けられました。

②「誰かがあくびをしたら、つられて思わず自分もあくびをしてしまう」ことがありますが、これもミラーニューロンがあくびをして、実際の動きにも反映されたと考えられます。  ストリートでカッコいいダンスを目にすれば脳もカッコいいダンスを、バスケの試合会場で芸術的なダンクシュートを目にすれば脳もダンクシュートを、ライヴ会場で超絶ギターソロを目の当たりにすれば脳もギターソロを行っている、というわけです。

③他者のパフォーマンスを脳にインストールするミラーニューロン。  「学ぶ、は〝真似ぶ"からきた」と言われますが、ミラーニューロンの発見は、この表現を裏付ける科学的根拠だと考えられます。  ですから「よく視て学ぶ」は脳機能の面からも理に適った方法です。

④キング・オブ・ポップ"と称されるマイケル・ジャクソンは、子供の頃からステージ脇で他のパフォーマーの動きをじっと視てパフォーマンスを学んだ、というエピソードがあり、「世界で最高の教育とは、その道を極めた人の働く姿を見ることだ」と語っています。  一流のパフォーマーは、一流の動きのコレクターでもあるのでしょう。

⑤現地に赴く、ライヴや公演を体験する、優れたパフォーマーの手ほどきを受ける、場に飛び込むなど、「全身で浴するリアル体験」は、これからの時代ますます大きなパフォーマンスの差となるでしょう。』

いよいよ2週間後は、四年に一度の第13回世界大会です。  上の⑤にあるように現地に赴いて、世界最高峰の組手技術を「全身で浴するリアル体験」することは、強くなるうえで、何よりもまさったものだと思います。  

ぜひ東京都体育館に足を運んで、観戦・応援をしていただければと希望します。

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