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2023年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2023年03月

徹底的に真似をする

『人はあなたの何を見ているか』(小宮一慶著 エムディエヌコーポレーション)を読みました。  「あこがれる人がいるか」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①実力をつけるには地道な努力、それも「正しい努力の積み重ね」が欠かせないことを言いました。  そのためには、まず正しい努力とは何かを知ること。  あなたの努力が、求められている成果や結果に結びついているかどうかを見極めることが大切です。  (中略)

②それでは、具体的に何をすればいいのでしょうか。  努力の仕方に関して言うと、良い成果物を出している人、あるいは良いアウトプットをしている人を参考にするのが正しい方法です。

③まずは、その人を徹底的に真似することがスタートとなります。  その前提は、その人や成果物にあこがれることです。

④「守破離」という言葉もあるように、最初は「守」です。  うまくいっている人のやり方をきちんと踏襲すること。  うまくいっている人や世間から評価されている人をよく観察し、できればその人にあこがれながら、しっかり真似するようにするのです。

⑤うまくいかない人の大半は、あこがれるべき人を見つけていません。  なぜかというと「素直」でないからです。  (中略)

⑥松下幸之助(パナソニック創業者)さんも言っているように、「素直」が一番大事です。  うまくいっている人にあこがれて、その人がやっていることを素直に真似すること。  それだけでも、ある程度の水準までは到達できます。  そんなに難しい話ではありません。

⑦誰もしていないことをするのは大変ですが、ほとんどのケースは、誰かがしていることを同じように実施しているだけです。  誰もしていないことをする場合でも「基礎」が大切なことは言うまでもありません。  とにかく、うまくいっている人を真似することから始めるべきでしょう。

⑧私が出版社の人に言うのは「売れている本を研究していますか?」ということです。  編集者の多くは、地頭が良いということもあり、自分の頭で考えて独自のものをつくろうとしがちです。  でもそれでは、単なる独善の場合が少なくないのです。  そういう人は、ベストセラーを出せません。

⑨けれど、ベストセラーを出している編集者の多くは、売れている本をきちんとリサーチしています。  売れ筋の本をチェックし、データを集め、そこからどんな本をつくるべきなのかを考えているのです。

⑩それもまた、「うまくいっている人の真似」と同じです。  どんな仕事でもそうなのですが、突き詰めると、まずは他社がやっていることを他社よりうまくやればいいだけの話です。

⑪そのためには、素直にあこがれて、それを真似してやってみることです。  それが、正しい努力です。  そうしてその先にこそ、「破・離」、つまり、応用や独自のアウトプットがあるのです。』

本書はビジネス書ですが、空手の上達においても、まったく同じことが言えると思います。

㋑過去や現在の選手の中であこがれる選手を見つけ、㋺映像を繰り返し観て、㋩何度も動作を反復し、㊁徹底的に真似をすることが上達への近道です。

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スリムクラブ

『なぜ、この芸人は売れ続けるのか?』(中西正男著 マキノ出版)を読みました。  『Episode12 真栄田賢(スリムクラブ)「揺るがぬ相方への親愛」』の項に、琉球大学の後輩だった相方・内間政成さんに関するインタビューが載っていました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①内間は、本当に自分に自信がないんです。  自信がないから、舞台に出ると、すぐに「自分じゃだめだ・・・・・・」って思って〝誰かになろう〟としちゃうんです。  たとえば、「ダウンタウン」の浜田さんみたいに強くツッコんでみたり、「フットボールアワー」の後藤さんみたいに技術的にうまいことを言おうとしてみたり。

②コンビを組んでから、毎日「お前でいいんだよ」って、同じことを言いました。  そして、結成から5~6年経った頃になって、それが浸透してきて、少しづつ、少しづつ、内間らしいゆっくりしたしゃべり方が出るようになってきたんです。  (中略)

③そして、はい上がるには「M-1グランプリ」しかない。  ここが一世一代の大勝負。  その思いが、決勝当日、一気に押し寄せてきてしまった。  僕はガチガチに緊張して、余裕が全くなくなってしまったんです。

④そうしているうちに、出番5分前になって、スタジオに向かうことになりました。  ステージ裏に続くエレベーターがあって、そこで極限状態にまでガチガチになっていました。

⑤「これはダメだ」。  さすがにそう思った瞬間、内間がポンと俺の肩を叩いて言ったんです。

「真栄田さん、今までありがとうございました。  僕、本当に真栄田さんに感謝しています。  それを今、どうしても伝えたくて・・・・・・。

僕、ポンコツじゃないですか。  ネタも覚えきれない。  ネタも書けない。  噛む。  緊張する。  本当にポンコツってわかります。  そんな僕が、日本の漫才師の9組にまで選ばれました。  全部、真栄田さんのおかげです。  本当にありがとうございます。

僕が見たところ、真栄田さん、今日、調子悪いでしょ?  実は、僕、今日、絶好調なんです。

だから、僕を見ててください。  僕は真栄田さんが好きだし、真栄田さんのネタが大好きだから、僕は真栄田さんが言ったことで絶対に笑います。  今日はいつも以上に笑うと思います。

だから、真栄田さんは笑っている僕だけを見ててください。  だったら、何も心配することないでしょ?  ここまで連れてきてくれて、本当にありがとうございます。  じゃ、楽しい漫才をやりましょう」

⑥一気に涙が出ました。  今でも、話していると泣いちゃいます・・・・・・。  そして、颯爽とエレベーターに乗った瞬間、あいつ、つまづいてコケたんです(笑)。  一瞬で感動と笑いがやってきて、気づいたら、ふと普段の自分に戻っていたんです。

⑦だから、「M-1グランプリ2010」の映像を見てもらうとわかるんですけど、登場した瞬間、俺、ものすごく笑顔なんです。』

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極真空手の稽古と実行機能

『科学的エビデンスにもとづく 100歳まで健康に生きるための25のメソッド』(ルイージ・フォンタナ著 東京大学出版会)を読みました。  「直観力・・・知性の最高のかたち」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①直観力を高めることは、運動トレーニングと同じ法則に従う。  つまり、自らの能力を使えば使うほど、その能力が強化される。  唯一異なる点として、心・精神は、トレーニングによって無限に高められるということが挙げられる。  トレーニングによって、深い自尊心と内なる自信が得られる。

②それは、仕事における成果・経歴、富と権力の蓄積、もしくは新しい伴侶を見つけることなどによって得られる一種の自信のようなものではない。  内なる強さや直感的な精神を解き放つ不屈の精神のことである。


2.①定期的に武術・武芸もしくはヨガを練習している子どもたちは、一般的なスポーツだけを練習している子どもたちに比べて、注意深く、よく気づき、規律があり、また、攻撃的ではなく、自尊心・自己肯定感も高いという研究結果がある。

②ヨガや武術・武芸の練習を行うことで、実行機能(複雑な課題の遂行に際し、課題ルールの維持や情報の更新などを行うことで、思考や行動を制御する認知機能のこと。)が強化されるが、通常の身体トレーニング(例:ランニングやサイクリング)では、そのような効果がみられないという結果も報告されている。

③実行機能が発達・成長することで、以下のような能力も向上する。

㋑達成すべき一連の目標に向けて、行動を計画し、実行する能力

㋺自発的に衝動を抑制したり、関係のない情報を遮断したりし、自分の意識・注意を重要な情報へとすぐに向ける能力

㋩課題の遂行を妨げる内的および外的な刺激を受け入れることなく、長時間にわたって、その課題に対する集中力を維持する能力

㊁求められる状況や課題の変化に合わせて、自分の行動を変える能力


3.①実行機能は、あらゆる問題解決活動・・・もっとも難しく、理論的なもの(数学的な分析もしくは哲学的な文章の理解)から社会的なもの(人間関係)まで・・・においても欠かすことができない。

②このような技術を身につけた人は、自らの人生における目標・ゴールを設定し、より多くのエネルギーとするどい集中力によって、その目標を達成できるだろう。  (中略)


4.①私が医学部の学生だったとき、ハタ・ヨガと合気道を毎週、数時間練習していた。  自分の感情を上手くコントロールし、細部にまで細心の注意を払いつつ、必要な部分に集中する能力を身につけることができた。  

②このような特性は、試験に合格するのに役立っただけではなく、医師そして科学者としての経歴を高める際の強力な武器となった。  それは、まるで、人生をどのように送るべきかということを指し示し、そして私に自信を与えてくれる貴重な「内なるコンパス」を手に入れたかのようであった。』

翻訳本なので、若干言い回しがむずかしく感じますが、本項を読むと、「極真空手の稽古は子どもたちの今後の人生にとって大きな武器となる」とも言えそうです。

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私利私欲がない

2月3日の日経新聞・夕刊の『追想録』は、昨年の10月25日に96歳で亡くなられたライフコーポレーション創業者の清水信次さんについて書かれていました。  番号を付けて紹介します。

『①清水氏をひと言で評するならば、天下国家を憂いながらしっかりとそろばんもはじく「国士」のスーパー経営者だ。  1月26日に都内のホテルで開いたお別れの会はそんな清水氏の人生を表現していた。

②同氏は歴代首相とのパイプを築いてきたが、とりわけ故中曽根康弘氏との友好関係は深い。  会場には「尊縁随縁」(縁を大切にし、逆らうことなく、自然に従っていく)、「人生途中下車が多いが私は最後まで降りない」など、清水氏の心のありようを導いた中曽根氏の直筆の書が存在感を放っていた。

③とりわけ「途中下車」の書は清水氏のお気に入りで、いつも近くに飾っていた。  コピーした書を親しい経営者仲間にも配っていたぐらいだ。  受け取った一人が北海道最大手のスーパー、アークスの横山清社長。  87歳になる横山氏も「自分にとっても奮い立つ言葉」とやはり手元に置いている。  横山氏は選挙にも出馬した清水氏を「政治の中枢に近い方が仕事をしやすいと考えていたのだろう」と評す。

④派手な政治活動に対して、経営者としては手堅かった。  1961年に大阪府豊中市にライフ1号店を出店するが、同じ大阪発のダイエーやマイカルとは違い、スーパー以外の事業に目もくれなかった。  一時は不動産会社の秀和と組み、忠実屋、いなげや、長崎屋との4社合併をもくろんだが断念。  自力でライフを食品スーパー最大手に育てた。

⑤清水氏の真骨頂は後継者選びだ。  男の子供が不在だったこともあり、時間をかけて脱・創業経営を模索。  92年に三菱商事と提携したのは後継者探しにあった。  厳しい人物チェックの末、お眼鏡にかなったのが現在の岩崎高治社長だ。

⑥三菱商事から出向し、スーパーの仕事を楽しんでいる岩崎氏に「あんたは私利私欲がない」と伝え、2006年に社長を任せる。  会長になってからの清水氏は経営に口を出すことはほとんどなかった。  岩崎氏も「好きにやれ。  この会社がどうなろうとも自由に、と言われた」と明かす。  会社は消費者と次世代の公共物と言わんばかりに潔く身を引いた清水氏。  「人生の降り方」は見事だった。』

「優秀」とか「営業力がある」ではなく、「スーパーの仕事を楽しんでいる」・「私利私欲がない」という観点から後継者を選んだことに感銘を受けました。




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