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個人練習の重要性

『内向型人間の時代』(スーザン・ケイン著 講談社)を読みました。  「3章 共同作業が創造性を殺すとき」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.偉大な業績をあげる人は、いったいどのようにしてそれをなし遂げるのか。  心理学者のアンダース・エリクソンはチェスやテニスやクラシック・ピアノなど広範囲な領域でこの問いの答えを模索した。

2.①エリクソンが同僚らとともに実施した有名な実験がある。  まずベルリン音楽アカデミーの教授の協力を得て、バイオリン専攻の学生を三つのグループに分けた。

②第一のグループは、将来世界的なソリストになれるほどの実力を持つ学生たち。  第二のグループは、「すぐれている」という評価にとどまる学生たち。  第三のグループは、演奏者にはなれず、バイオリン教師をめざす学生たち。  そして、全員に時間の使い方について同じ質問をした。

③その結果、グループごとに驚くべき違いがあることが判明した。  三つのグループが音楽関連の活動にかける時間は同じで、週に50時間以上だった。  課題の練習にかける時間もほぼ同じだった。

④だが、上位二つのグループは音楽関連の時間の大半を個人練習にあてていた。  具体的には1週間に24.3時間、1日あたり3.5時間。  それに対して第三のグループが個人練習にあてる時間は、1週間に9.3時間、1日あたり1.3時間だけだった。

⑤第一のグループの学生たちは、個人練習をもっとも重要な活動と評価していた。  すぐれた音楽家たちは・・・たとえ集団で演奏する者であっても・・・個人練習が本当の練習であり、集団でのセッションは「楽しみ」だと表現する。

3.①エリクソンらは他の分野についても、ひとりで練習したり学習することが同じような効果をもたらすと発見した。

②たとえば、チェスの世界でも「ひとりで真剣に学ぶこと」がプロのチェスプレーヤーになるスキルを得るかどうかの指針になる。  (チェス選手の最高位のタイトル)グランドマスターは一般に、修業時代の10年間に5000時間という途方もない時間をひとりで指し手の研究をするために費やす・・・中級レベルのプレーヤーの約5倍にものぼる時間だ。

③ひとりで勉強する学生は、グループで勉強する学生よりも、長年のうちに多くを身につける。  チームスポーツのエリート選手もまた、驚くほど多くの時間を個人練習にあてている。』

自己流や我流による悪い癖をつけないために、良い指導者のもとでの集団練習は大切です。  しかし、上の2.⑤に書かれているように、世界のトップ選手になるためには個人練習の時間こそが最重要となります。

いつも選手稽古で話すのですが、トップ選手になるための最高の指導者は自分自身です。  「トレーニング方法の創意工夫や技術の創意工夫に関して個人的に時間を費やすこと」が頂点に立てるかどうかを決めているような気がします。

城西では過去に5人の全日本チャンピオンが出ましたが、私の指導を受けただけでチャンピオンになった者は一人もいません。

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