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隠れ内向型人間

『セレンディピティ』(クリスチャン・ブッシュ著 東洋経済新報社)を読みました。  「隠れ内向型人間」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①私たちの性格は脳科学や進化に深く根ざしている。  哺乳類は誕生した当初から大脳新皮質を発達させてきた。  大脳新皮質のおかげで人間は行動する前に考えたり、行動を予測したりすることができる。  

②しかし大脳新皮質がきちんと機能するためには、適度に「覚醒」している必要がある。  ギアを入れる前に、十分回転数を上げておく必要があるのだ。  外向的な人は他者とかかわることで「最適な覚醒レベル」に達する。

③一方、内向的な人はもともと覚醒度の基準値が高い。  内向的な人は社会的活動によって心理的エネルギーを消耗するので、エネルギーを回復させるためには孤独な時間を必要とする。

④スーザン・ケインは名著『内向型人間の時代』のなかで、ハーバード大学で教鞭をとるカナダ人のエピソードを書いている。  学生からはとても外交的だと思われているが、実際には講義の後学生とのやりとりをせずに済むようにトイレに隠れる。  私はこの教授とあるイベントであったことがあり、情熱的だが内向的なこの人物と自分には多くの共通点があることに気づいた。

⑤私はこれまでたくさんのコミュニティを立ち上げてきたので、周囲にはとても外交的だと思われている。  しかし私を含めてコミュニティづくりに携わる人には「隠れ内向型人間」が多い。  

⑥自分がイベントを主催するときなど、とことん外交的になる。  自分がコントロールできる状況においては、たくさんの人とつながり、人と人をつなぐ。  (中略)  その一方で、お役御免になったらできるだけ早く現場を去ろうとする。  (中略)

⑦私は休日にはとことん内向的になることがあり、そんな日は完全にシャットダウンしている。  人と人をつなごうとするモチベーションは一切ない。  人と人をつなぐのは楽しいが、エネルギーを大量に消費する。

⑧ときにはエネルギーを充電するために1人になる必要がある。  外向型モードのときにもたまにそんな瞬間は訪れるので、トイレ、中庭など静かで誰もいないところに身を隠す。  そうすることで力を取り戻し、いつもより長い時間その場にとどまれるのだ。

⑨ケンブリッジ大学教授のブライアン・リトルは、私たちがエネルギーを充電する場所を「回復用ニッチ」と呼ぶ。』

この項を読んで、私自身が「隠れ内向型人間」であったことに気が付きました。  

高齢者になって、初めて分かることってたくさんあるんですよ 笑

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花粉症とがん

例年のことですが、この時期花粉症がひどいです。  3月16日の日経新聞夕刊に花粉症について興味深い記事が載っていました。  タイトルは『花粉症、がん死亡率半減』で、東京大学特任教授の中川恵一先生が書かれています。  番号を付けて紹介します。

『①花粉症の季節がやって来ました。  日本の国土の7割が森林でその18%がスギ人工林、10%がヒノキ人工林です。

②戦後の木材不足の時期にスギやヒノキの造林が進みました。  しかし、木材の輸入自由化などによって、国内の林業は衰退。  伐採されずに放置された森林から大量の花粉が飛散し、多数の国民が苦しんでいます。  自業自得とも言えるかもしれませんが、なんとも残念な事態です。

③がんは日本人男性の3人に2人、女性でも2人に1人が罹患(りかん)する「国民病」ですが、花粉症も日本人の3割近くを悩ませています。

④がんは全体で約6割、早期であれば9割が完治します。  その点、花粉症は一度発症すると完治はまれで、長く付き合っていかなければならないやっかいな病気です。

⑤花粉が体内に入ると、これを排除しようと「IgE抗体」が作られます。  このIgE抗体があるレベルに達すると、ヒスタミンなどの化学物質が分泌され、くしゃみや鼻水といった症状が引き起こされます。

⑥東京都の調査では、昭和60年前後の都内のスギ花粉症の有病率は1割程度にすぎませんでした。  しかし、平成8年は2割、18年では3割程度と上昇し、平成28年では5割近くに上ります。  

⑦今のところ、私は花粉症ではありません。  ただ、父親がある年から花粉症に悩まされてきた姿を見ていますから、毎年この季節はビクビクしています。

⑧さて、嫌われ者の花粉症にもよい点もあります。  花粉症を発症していると、がんによる死亡率が約半分になるという研究結果が東大の研究グループから出ています。

⑨論文のもとになった調査では、群馬県に住む47~76歳の中高年のうち、花粉症を持つ人と持たない人、合わせて約9千人が対象になりました。  8年間の調査期間中に亡くなった748人の死因と花粉症との関係を調べた結果です。

⑩花粉症をもつ人では、膵臓(すいぞう)がん、大腸がん、脳腫瘍などの発症リスクが大きく低下するという別の調査結果も出ています。  

⑪花粉症が、がんを防ぐ理由は十分には解明されていませんが、アレルギー症状を持つ人はがんに対する「免疫監視機構」が強化されている可能性があります。

⑫私たちの体内では、年齢とともに遺伝子に傷が積み重なり、毎日たくさんのがん細胞が発生しています。  しかし、免疫細胞が常にがん細胞を監視し、水際で殺してくれています。

⑬花粉症患者の過敏な免疫はがん細胞にも敏感に反応し、殺傷力が高まっているのかもしれません。』

花粉症にもこんなメリットがあったんですね (^^)/

明日は西東京都大会です。  選手の皆さんの健闘を祈ります。

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エネルギー

私が若いころご指導いただいた澤井健一先生のお弟子さんが書かれた『澤井健一の遺産 太気拳で挑む』(高木康嗣著 福昌堂)を読みました。  「立禅について」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①立禅の目的のひとつに「自然の中からエネルギーを得る」という点が挙げられる。  略

②自然のエネルギーが入るとはどういうことなのか。  略  例えば咲いている花を見て「きれいだな」と思うとき、本人は自覚していないかもしれないが、確かに精神状態が落ち着き、気分が良くなり、元気が出てくるものだ。  つまりその瞬間に自然のエネルギーが入ってきているのである。

③田舎の両親がよく「土いじりをしていると元気になる」と言っているが、それと同じことである。  特別なことではない。  誰もが理解し、経験していることなのである。

④実際に昔の人間は、土から、自然からエネルギーをもらって共存していた。  ところが現代では自然はどんどん減っている。  とりわけ土のないコンクリートに囲まれた都会では自然のエネルギーが不足する。

⑤ではどうするのかというと、他人からその人の持っているエネルギーを奪うしかなくなってしまうのだ。  略

⑥だがエネルギーの奪い合いばかりが人間同士の関係ではない。  本来人間というものは、互いにエネルギーを与え合うものなのだ。 たとえば何かをやろうとしている相手を応援してエネルギーを与えてあげれば、その人はものすごい力を発揮できるのである。  略  エネルギーを奪い合うのではなく、エネルギーを与え合うことでこそ、いい人間関係を築き上げられるはずなのだ。  

⑦もっとも、自分にエネルギーが溢れていなければ人に分け与えることだってできない。  そこで、エネルギーに満ち溢れた自然の中で立禅をすることで、エネルギーを補給するわけである。  時間はやはり早朝が特に良い。

⑧例えば樹だと、その根本からエネルギーが出ているから、足の裏で呼吸して樹のエネルギーを吸い取るようなイメージを描きながら立禅を行う。  あるいは澄んだ空気中に溢れているエネルギーを、体中の皮膚にある細胞から吸い込む感じで行う。

⑨ところがちょっとでもストレスがかかるとこの細胞は縮こまってしまい、意識して広げてやらなければ自然のエネルギーは入ってこない。  リラックスが重要である。』

先日の朝練で、「他人にエネルギーを与えられるような人間になりたい。  少なくとも他人のエネルギーを奪うような人間にはなりたくないものだ。」という話を選手にしたところです。  同じようなことが書いてあったので、あらためて紹介しました。

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将棋で学ぶ人間力

朝日新聞の連載『学びを語る』2月2日付けは、将棋の藤井聡太五冠が幼少期に通った将棋教室の主宰者・文本力雄さんのインタビューでした。  タイトルは「将棋で学ぶ人間力 強さより、礼儀や思いやり」です。  番号を付けて紹介します。

『①「ふみもと子供将棋教室」を開いて25年目になります。  これまで教えた生徒は数百人以上ですが、一貫して「勝ち負けよりもマナーや配慮を学んでほしい」との思いは変わっていません。

②将棋教室なので、生徒には当然将棋を教えます。  奇をてらったことはせず、「定跡」「詰将棋」「人との対局」が指導の3本柱です。

③これを繰り返し、基礎を徹底的に身に付けさせます。  私は独学で将棋を覚え、中学まで定跡も知らなかった。  そんな自分の経験も踏まえて「基本を知り、土台を作ることの大切さ」を教えています。

④生徒には、将棋だけでなく人生の基礎も身に付けてほしい。  人生の土台になるのは「礼儀」や「思いやり」じゃないでしょうか。

⑤対局後、必ず「感想戦」をさせます。  どこが勝負の決め手になったか、最善手は何だったか。  「教える」ことも「教わる」ことも、どちらも「学び」です。

⑥対局で勝ってもガッツポーズは禁止です。  感想戦で偉ぶることも許しません。  敗者を尊重する姿勢は徹底させます。  勝負が終わればノーサイドですから。

⑦教室では強いだけでは尊敬されません。  一方、棋力は低くとも周りに配慮が出来る人間にみんなが一目置きます。

⑧印象深い生徒で、8年間教室に通うもあまり昇級出来なかった男の子がいました。  彼は教室でいつも寝てばかりだった。  でも、彼はとても優しく、みんなを常にほめて回る。  その結果人気者になり、彼がいると教室が明るくなりました。  彼は将棋は下手でも、豊かな人生を送るための力を学びました。

⑨将棋が強くなるのは素晴らしいことです。  現在、幼稚園から中学生まで約30人の生徒が教室に通っています。  聡太のようにプロを目指す人がいてもよい。  しかし、それが全てではないんです。

⑩他人への思いやりや配慮を持てるようになることの方が、人生においては重要な学びですから。』

昨日は昇級・昇段審査会でした。  

今後は、3月21日の西東京都大会、4月16日の極真祭、17日の全日本大会と試合が続きます。  試合である以上、勝つことが最重要課題です。  

でも私は、それらのチャレンジを通じて人間力を身につけることも、勝つことと同様に重要だと思っています。

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