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不老長寿メソッド

(1)2月14日のブログで『LIFE SPAN 老いなき世界』(デビッド・A・シンクレア著 東洋経済新報社)を取り上げました。  その一部を再度紹介します。

『1.考えないといけないのが、最大寿命を長くすることと、健康寿命(元気でいられる期間)を長くすることは違うという点だ。  私たちはその両方の実現を目指すべきである。  

2.①(前略)これらの(長寿のための)防御システムはすべて、生体にストレスがかかると始動するという共通点をもつ。  いわずもがなだが、大きすぎるストレスは克服できない。  カタツムリがどんなに頑張っても、踏まれてつぶれたら万事休すだ。  細胞内のストレスにしても、大きすぎれば手に負えない。  たとえばDNAの損傷箇所が多すぎる、などの場合だ。

②細胞を損傷させることなく長寿遺伝子を働かせるストレス因子はいくつもある。  たとえば、ある種の運動をする、ときおり絶食する、低タンパク質の食事をする、高温や低温に体をさらす、などだ。』


(2)今回は『不老長寿メソッド』(鈴木祐著 かんき出版)です。  1.の『LIFE SPAN 老いなき世界』と同内容の記述が多く見られます。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①原則を端的にまとめると、真のアンチエイジング法は、次の3つのフェーズ(段階)で構成されます。

フェーズ1・・・苦痛(自分の心と体へ意図的にダメージを与える)
フェーズ2・・・回復(心身が受けたダメージを徹底的に癒す)
フェーズ3・・・往復(苦痛と回復のフェーズをくり返す)

②苦痛と回復のサイクルを何度も回すのが、本書でお伝えしていくテクニックの肝。


2.①2018年、ケンブリッジ大学などのチームが、学生を対象に「苦痛と成長」の関係を調べました。  (中略)  結果は大方の予想通りで、過去にネガティブな体験(悲惨な交通事故を目撃、友人とケンカ、愛する人が病気になる、など)を味わった回数が多い被験者ほど記憶力や注意のコントロール力が高い傾向にありました。  

②あまりに極端なトラウマはPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの問題を引き起こしますが、ほどほどに嫌な体験は、逆に脳のしなやかさを鍛える一助になるようです。


3.ウォーキングのメリットを実証したデータは無数に存在しますが、特に精度が高いのはハーバード大学などによる2019年の論文です。  (中略)  分析の結果は、次のようなものでした。

・ウォーキングなどの軽い運動をよく行う人は、全く運動をしないグループに比べて死亡率が62%低くなる。
・座ってばかりで体をほぼ動かさない人は、ウォーキングなどの軽い運動を行う人に比べて死亡率が263%アップする。  特に座りっぱなしの時間が1日12時間以上の人は死亡率が292%高くなる。


4.①ノースイースタン大学のリサ・フェルドマン・バレットがスーパーエイジャー(若い人と同じレベルの脳と肉体を持ち続ける高齢者)の脳とライフスタイルを調べた研究では、彼らの脳は大脳皮質だけでなく前帯状皮質や島皮質も発達していることがわかりました。  これらのエリアは、活動量が増すごとに「疲労」 「挫折感」 「イライラ」といったネガティブな気分を発生させる特徴があります。  (中略)

②彼らが体験する「不快」の内容はさまざまで、ある者は新たなスポーツを始め、またある者は80歳から語学学習に手をつけ、なかには90歳でキリマンジャロの登頂を目指す者も存在しました。

③このデータをふまえて、バレット博士は、スーパーエイジャーのように若い心身を保つには「定期的に痛みを味わうしかない」と断言しています。』

(2)1.②の「苦痛と回復のサイクルを何度も回す」というのは、ウェイトトレーニングの「(トレーニングによる)筋肉破壊と(休養による)超回復のサイクルを何度も繰り返して筋肉増大を図る」のと同じですね。


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働き一両、考え五両、知恵借り十両

1.毎週水曜日に、弁護士の鳥飼重和先生からメルマガが送られてきます。  17日に取り上げられていたのは、上杉鷹山です。

鷹山は、領地返上寸前だった米沢藩の婿養子として藩主を継ぎ、藩を再建し、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成さぬは人の為さぬなりけり」という言葉を残しました。

鳥飼先生は 「働き一両、考え五両、知恵借り十両、コツ借り五十両、ひらめき百両、人知り三百両、歴史に学ぶ五百両、見切り千両、無欲万両」という鷹山の言葉も紹介されています。


2.各項目を解説してみます。

①働き一両・・・いくら一生懸命働いても、せいぜい一両しか稼げません。

②考え五両・・・自ら考えて働くことが必要です。  考えて働くことには、五両の価値があります。

③知恵借り十両・・・人間一人の考えなんて、たかが知れてます。  先人や知人に知恵を借りることには、十両の価値があります。

④コツ借り五十両・・・すべての仕事には、コツというのがあります。  コツを会得することには、五十両の価値があります。

⑤ひらめき百両・・・いつも仕事のことを考えていると、何かしらひらめくものです。  ひらめきには、百両の価値があります。

⑥人知り三百両・・・人との繋がりは大事です。  良い人を知ってることには、三百両の価値があります。

⑦歴史に学ぶ五百両・・・歴史に学ぶことも重要です。  歴史に学ぶことには、五百両の価値があります。

⑧見切り千両・・・仕事をしていると、予想に反して、どうやってもうまくいかないことがあります。  未練や思惑や思い込みを捨て、ダメなときには、勇気を出して見切らなければなりません。  見切ることには、千両の価値があります。

⑨無欲万両 ・・・世のため、人のため、無欲で取り組むことには、万両の価値があります。


3.2.の格言は、空手修行の心得にも通じるような気がします。  ただ稽古するだけではなく(①)、自ら考え(②)、先生や先輩の知恵を借り(③)、コツを会得し(④)、創意工夫(⑤)することが大切です。

明日は審査会です。  コロナ禍でいろいろと制約もありますが、受審される皆さんの健闘を祈ります。


 

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ドーパミンとセロトニン

前回に引き続き、ドーパミンを取りあげます。  ドーパミンとセロトニンの違いについてです。    

『もっと! 愛と創造、支配と進歩をもたらすドーパミンの最新脳科学』(ダニエル・Z・リーバーマン、マイケル・E・ロング著 インターシフト)から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①ドーパミンの観点から言えば、「所有」は関心事ではない。  ドーパミンにとって重要なのは「獲得」だけだ。

②あなたが橋の下で暮らしていれば、あなたにテントをほしがらせる。  あなたがテントで暮らしていれば、ドーパミンは家をほしがらせる。  あなたが世界一豪華な大邸宅で暮らしていれば、月にそびえる城をほしがらせる。

③ドーパミンに永続的な基準はないし、フィニッシュラインを探すこともしない。

④脳内のドーパミン回路を刺激できるのは、それがなんであれ、ぴかぴかの新しいものの「可能性」だけ。  いま現在あるものがどれほど完璧かは、問題にならない。  

⑤ドーパミンのモットーは「もっと」なのだ。  (中略)  ドーパミンは「快楽物質」などではない。  ドーパミンの本質は「期待物質」だ。

⑥「可能性」にすぎないものではなく、「いま手にしているもの」を楽しむためには、「未来志向」のドーパミンから「現在志向」の化学物質に脳を移行させる必要がある。

⑦そうした「現在志向」の神経伝達物質をここではまとめて「ヒア&ナウ(いまここ)」と呼ぶことにする。

⑧ほとんどの人は、「ヒア&ナウ」の名を耳にしたことがあるはずだ。  たとえば、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィン、エンドカンナビノイドと呼ばれる一群の化学物質だ。

⑨ドーパミンのもたらす「期待」の快楽とは対照的に、これらの化学物質は感覚や感情から生まれる「喜び」をもたらす。』

なお、セロトニンについては、昨年の3月30日と4月5日のブログで取り上げています。

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10代の前頭葉とドーパミン

今回も、1月31日のブログで紹介した『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著 新潮社)からです。  「第7章 バカになっていく子どもたち」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①脳にはいくつもの領域とシステムがあり、同時進行で働くこともあるが、衝突してしまうこともある。  立食パーティーでポテトチップスのボウルの前に立つと、脳内のあるシステムが「ボウルの中身を全部食べてしまえ」と呼びかける。  同時に、別のシステムがブレーキをかける。  (中略)

②これらのシステムは同じ速度で発達するわけではない。  額の奥にある前頭葉は衝動に歯止めをかけ、報酬を先延ばしにすることができるが、成熟するのが一番遅いこともわかっている。  25~30歳になるまでは完全には発達しないのだ。

③つまり、ポテトチップスを全部食べちゃダメだと言ってくれる脳の部分は、10代の頃はまだ割と無口なのである。  一方、ポテトチップスを全部食べてしまえと背中を押す部分は、この年代ではちっとも静かにしてはいない。


2.①前章では、ドーパミンが私たちを様々な行動に駆り立てる仕組みを見てきた。  ドーパミンの量というのは、実際には脳内のドーパミンシステムの活動を指す。  (中略)

②ドーパミンシステムの活動は生きている間に減少していき、10年で約1割減ると言われている。  かといって、年を取るほど不幸になるという意味ではない。  むしろ逆だろう。  ただ、若い時ほどの興奮を感じることはなく、そこまでのリスクを冒すこともなくなる。

③ドーパミンがいちばん活発なのは10代の頃で、その量は報酬という形で激しく増えるし、失望するとやはり激しく減る。  つまり興奮もその反動も大きく、その時期は生きている実感や多幸感に酔いしれることもある。  同時に、途方もない悲嘆に暮れることもある。  (中略)

④衝動を制御する能力が完全には成熟していない上に、激しい興奮を感じる時期と重なり、若者は危険を冒すことができる。  保険会社が18歳のバイク乗りの保険加入を拒んだり、パラシュートクラブが15歳の生徒を募集したりしないのも、特におかしな話ではない。

⑤もうひとつ言えるのは、若者のほうが依存症になるリスクが高いということだ。  アルコールを早くに覚えるのを規制しているのは、それが大きな理由だ。  ところが、スマホを持たせることに関しては誰も懸念していないようだ。  脳の報酬系を活性化する恐ろしい力を秘めているというのに。』

私自身、10代の頃を振り返ってみると、ずいぶん危なっかしいことがありました。  前頭葉の未発達と、ドーパミン過多が原因だったのかもしれません。笑

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