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財界人物我観

福沢諭吉の婿養子で、実業家の福沢桃介が書いた『財界人物我観』(図書出版社)を読みました。  巻末の『「財界人物我観」跋(ばつ・・・あとがき)』から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『(1)青年諸君!  (三菱財閥の祖)岩崎弥太郎、(安田財閥の祖)安田善次郎論を読んで、いたずらに、その富の大なるに驚き、自ら不及の嘆声を発するなかれ。  (中略)  心掛け次第・勉強次第で、普通の人間ならば、容易に成功の登竜門に入ることができるのだ。


(2)さて、その心掛けというのは・・・・・・

1.倹約たるべきこと。・・・要は、金銭はもちろん、物を浪費せざるにある。  金を愛するがゆえに金が集まるのだ。  せっかく、一の金ができたのにこれをパッパ追い出せば、他の金がこれを見て、あの人の所に行ってもすぐ追い出されるから行くのはやめる、となる。

2.計数を基礎とすること。・・・ばくぜんとやった事業商売は、あるいは「チャンス」にぶつかって、一時は花の咲くこともあろうが、結局は失敗に終わるものだ。  反対に、数字に立脚したものは、一時は難局に立つことがあっても、必ず成功する。

3.幸運を祈るべきこと。・・・①いかに焦っても、もがいても、運が伴わなければ成功するものではない。   ところで、この運はどうしてつかめるか。  答えは極めて簡単だ。  (家業の酒造業と、海運業で巨富を築いた)辰馬吉左衛門のように方位学を研究するか、神仏を信仰するにある。  (中略)  

②神仏を礼拝せざる家庭、無宗教の国家で繁栄した例がない。  青年諸君、決して神仏を軽べつするなかれ。  方位に逆らうなかれ。  これ私の熱心に忠告して止まざるところだ。

4.富をなすの要素は利に利を積むにあり。・・・①  (前略)  サラリーマンでも小商人でも、倹約してその余った金をもって株なり、土地なりに投資し、この利に利を積んで富をつくる道を忘れてはならぬ。  

②だが、不幸にして我が国の将来は株式や土地に投資して、これまで通りの利殖を上げうるや否やは、大いに疑問だ。  私は、むしろ読者諸兄に、今後いかにすれば有利に積利しうるかを聞きたいと思う。


(3)①大胆とか、太っ腹とか、また利口とかは、断じて財界において成功する要素ではない。  否、むしろ害になる。  (破綻した鈴木商店の経営者)鈴木直吉が失敗した原因は種々あろうがあろうが、彼の大胆太っ腹が原因をなしたのだ。

②徳川家康が、ある時、陣に臨んで丸木橋にかかった時、馬から降りて馬の手綱を手に持って徒歩で渡った。  心なきものは、その臆病をあざ笑ったが、この臆病、この用心堅固こそ、後年家康をして天下を取らしめたのである。  

③人殺しを商売とする戦国時代においてすら大胆は無用だ。  いわんや、ソロバンを基礎とする平和な財界においておや。』

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道教思想10講

1976年から、朝の立禅を日課にしています。  昨年は『武道気功 私の「立禅」修行』(道義出版)という本を出しました。  立禅の根本思想には道教があり、「第11章 道教と練丹法」で解説しています。

今回取り上げるのは『道教思想10講』(神塚淑子著 岩波新書)です。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.道教は、老子の思想を根本とし、その上に不老長生を求める神仙術や教団道教で用いられた符籙(ふろく・・・おふだを用いた呪術)や斎醮(さいしょう・・・亡魂を救済したり災厄を除去するために行う祭祀儀礼)、あるいは、仏教の影響を受けて作られていった経典や儀礼など、さまざまの要素が時代の推移とともに、多層的に積み重なってできている。

2.(不老長生を求める)養生術においては、「気」が大きな役割を持つ。  『老子』第10章に、「気を専らにし柔を致して、能く嬰児たらんか」とあるのは、純粋な「気」を専一に保ち、この上なき柔軟さを持ち続けることによって、嬰児(えいじ・・・生まれたばかりの赤ん坊)のような生命力を維持できることを述べている。  「気」を養うにあたっては、「行気(こうき・・・気を体内にめぐらす)」の重要性が着目されている。

3.①「内丹」は瞑想法などを通じて、自分の体内の気を精錬することによって、身体内部に還丹金液(金丹)を作り出そうとするものである。  (中略)

②内丹法に見られる思想として注目すべきものに、内丹の修練は人体の形成を逆行する過程であるという考え方がある。  修行を進めると、「精→気→神→虚(道)」の順で人体の生成を遡り、神仙に近づくという説である。  元(1271~1368)の李道純が著した『中和集』では、修行過程を「1.錬精化気(精を錬り気に化す)」 「2.錬気化神(気を錬り神に化す)」 「3.錬神還虚(神を錬り虚に還る)」の三段階に分けている。

4.①古代日本において、道教を儒教・仏教と並べて「三教」と呼び、三者を比較しつつ、それぞれの思想の要点についてはじめて本格的に論述したのは、空海(774~835)の『三教指帰(さんごうしいき)』である。  (中略)

②(薬草・符・呪禁・呼吸法・錬丹などの)仙術を修めることによって、身体が若返って長生きし、時空を超えて思いのままに天翔ることができるようになり、「淡白にして欲無く、寂寞として声無く、天地とともに以って長く存し、日月とともにして久しく楽しむ」というように、根源の「道」と一体化して、精神の自由を得ることができると述べる。  (中略)

③空海は道教というものを、『老子』の恬淡無欲にして「道」と一体化するという思想と、晋(265~420)の葛洪が著した『抱朴子』に見える神仙思想とを合わせたような形で捉えていたことがうかがわれる。』

内容的にはちょっとマニアックですが、前述の『武道気功』を補足する意味と、私自身の備忘録として紹介しました。

興味ある方は、『武道気功』と併せて読むとわかりやすいと思います。

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ライフスパン

『LIFE SPAN 老いなき世界』(デビッド・A・シンクレア著 東洋経済新報社)を読みました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.考えないといけないのが、最大寿命を長くすることと、健康寿命(元気でいられる期間)を長くすることは違うという点だ。  私たちはその両方の実現を目指すべきである。  

2.①(前略)これらの(長寿のための)防御システムはすべて、生体にストレスがかかると始動するという共通点をもつ。  いわずもがなだが、大きすぎるストレスは克服できない。  カタツムリがどんなに頑張っても、踏まれてつぶれたら万事休すだ。  細胞内のストレスにしても、大きすぎれば手に負えない。  たとえばDNAの損傷箇所が多すぎる、などの場合だ。

②細胞を損傷させることなく長寿遺伝子を働かせるストレス因子はいくつもある。  たとえば、ある種の運動をする、ときおり絶食する、低タンパク質の食事をする、高温や低温に体をさらす、などだ。

3.片方はタバコを吸うが片方は吸わない一卵性双生児の写真を並べてみればいい。  互いのDNAは依然としてほぼ同じでありながら、喫煙者のほうは目の下や下あごのたるみが大きく、目や口の周りのしわも多い。  年齢は変わらなくても、明らかに早く老化している。  DNAが私たちの運命を決めているわけではないのだ。

4.①わが身を寒さにさらしてみようと思うなら、適度にやるのが肝心だ。  断食と同じで、限界に近づきはしてもそれを超えないのが、最大限の効果を得るコツだと考えられる。

②低体温や凍傷になるまでやっては健康を損なう。  だが、鳥肌が立つ、歯がカチカチ鳴る、腕が震えるというのは、危険なサインではない。  こうした状態をある程度経験すれば、長寿遺伝子は必要なストレスを受け取って健康的な脂肪を増やしてくれる。 

5.たいていの人は考えもしないだろうが、長生きをすると思わぬ副産物がついてくるのだ。  何かというと、90歳を超えれば、がんで死亡するリスクは急激に下がるのである。  もちろん、それでもほかの病気で亡くなるわだだが、がんに伴う大変な苦痛とコストは大幅に軽減される。 

6.幸いにも寿命研究からは、長生きさせたマウスほど短期間で死ぬ傾向にあるのが確認されている。  やはりほかのマウスと同じ病気で死亡することに変わりはないものの、数か月ではなく数日のあいだ苦しむだけで事切れることが多い。  おそらくは非常に高齢であるために、もともと命の終着点のすぐ手前まで行っているからだろう。』

私が極真会館総本部に入門したころ、道場に冷暖房などありませんでした。  冬は寒く、夏は暑いのが当たり前です。  

ふり返って考えると、健康寿命を延ばす最適な環境だったのかもしれません(笑)

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第55回スーパーボウル 

1.昨日はNFLの第55回スーパーボウルでした。  「NFL公式サイト日本語版」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①現地7日(日)、フロリダ州タンパのレイモンド・ジェームス・スタジアムを舞台に第55回スーパーボウルが開催され、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)王者カンザスシティ・チーフスとNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)チャンピオンのタンパベイ・バッカニアーズが対戦した。

②バッカニアーズの攻撃ドライブで始まった試合はチーフスがフィールドゴールで先制を果たすも、その直後にバッカニアーズのクオーターバック(QB)トム・ブレイディがタイトエンド(TE)ロブ・グロンコウスキーにボールをつないでタッチダウンを決め、古巣ニューイングランド・ペイトリオッツ時代から名コンビと言われた2人が最強の連携を披露する。

③さらにブレイディとグロンコウスキーのホットラインでタッチダウンを記録したバッカニアーズは前半終了前にもワイドレシーバー(WR)アントニオ・ブラウンがブレイディのパスを受け取って追加点を挙げている。  前半は6対21でバッカニアーズがリードして試合を折り返した。

④第3クオーターにはチーフスがフィールドゴールを成功させてリズムをつかみかけたが、バッカニアーズは攻撃陣だけでなく守備陣も絶好調とスキがなく、2連覇を目指すチーフスの司令塔パトリック・マホームズのパスは思うように通らない。

⑤強力なバッカニアーズディフェンスにプレッシャーをかけられ、ターンオーバーを繰り返したチーフスは反撃のきっかけをつかめず、最後の攻撃ドライブもバッカニアーズのラインバッカー(LB)デビン・ホワイトにインターセプトを食らって万事休す。

⑥バッカニアーズが勢いをキープしたまま駆け抜けた第55回スーパーボウルは9対31でバッカニアーズが勝利、ブレイディは通算7度目のスーパーボウルチャンピオンに輝いた。』


2.①このブログでも何度か書いていますが、2007年からニューイングランド・ペイトリオッツのクオーターバック、トム・ブレイディのファンです。  43歳となった今シーズンからタンパベイ・バッカニアーズに移籍したため、今はバッカニアーズを応援しています。

②バッカニアーズの昨シーズンの成績は7勝9敗で、いくらトム・ブレイディといえどもポストシーズンに勝ち進むのはかなり厳しいのではないかと思っていました。  案の定、レギュラーシーズンは11勝5敗で、ポストシーズンに進んだNFC7チーム中の第5シードです。  ところが、ポストシーズンでは第4シード・第2シード・第1シードのチームを次々と撃破し、スーパーボウルに進みました。

③ペイトリオッツ時代、6度のスーパーボウルチャンピオンに輝いているトム・ブレイディがチームに与えた影響力の大きさに驚きました。


3.①対戦相手のカンザスシティ・チーフスは昨年のスーパーボウルチャンピオンで、司令塔のパトリック・マホームズは25歳の天才クオーターバックです。  攻撃陣にスター選手が多く、今シーズンも14勝2敗でAFCの第1シード、その攻撃は「ハイパーオフェンス」と言われていました。  そのチーフスにフィールドゴール3回・9点しか与えなかったバッカニアーズの守備陣もすごかったです。

②城西支部をスタートさせて以来、私が常に言っているのは防御の重要性です。  相手の攻撃をもらわなかったら、引き分けることはあっても負けることはありません。  その意味でも、大変参考になるゲームでした。


4.①14年間にわたりトム・ブレイディを応援し、秋から冬にかけてワクワクドキドキしながら過ごせるのは、本当に幸せです。

②スーパーボウルは毎年2月上旬に開催されますが、それが終わると、チーム城西が本格的に始動します。  

③次の目標は第53回全日本大会ですね。  どんな感動が待っているんだろう(笑)







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