2019.10.25 Fri
アイゼンハワー
『史上最大の決断』(野中郁次郎・荻野進介著 ダイヤモンド社)を読みました。 第二次世界大戦時、ナチス・ドイツ占領下にあった、フランス・ノルマンディーへの上陸作戦について書かれています。 連合国軍最高司令官のアイゼンハワー(のちの第34代アメリカ大統領)に関する記述から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①アイゼンハワーとは一体、どんな人物であっただろうか。 (アイゼンハワー本人の著書)『ヨーロッパ十字軍 最高司令官の大戦手記』にこんなエピソードがある。
②1945年3月23日、ノルマンディー上陸から9か月後、なおも抵抗するドイツ軍の息の根を止めるべく、ライン渡河作戦が敢行された日のことであった。
③アイゼンハワーは1人の兵士が意気消沈して歩いているのに出くわし、「どうした。 気分でも悪いのかね」と声をかけたところ、兵士はこう答えた。 「何かよくわからないのですが、妙に気になるのです。 2週間ほど前に負傷して入院してしまい、昨日退院したばかりで、自信を持ちきれないのです」
④それに対するアイゼンハワーの返答はこうであった。 「いや、私もいま君とそっくりの気持ちなんだ。 私も気になっている。 しかし、われわれは長い間かけて今夜の攻撃を準備してきたんだし、それにドイツ軍を粉砕するだけの飛行機も大砲も空輸部隊も全部揃っているんだ。 一緒にこうやって岸まで歩いているうちに、ことによるとわれわれも自信が持てるようになってくるかもしれない・・・・・・」
⑤この言葉を聞いた兵士は突然、こう言った。 「よくわかりました。 なんだか自信が出てきました」
⑥アイゼンハワーは地の文でもう一度、繰り返す。 〈私にも彼の気持ちがよく判るのであった〉
⑦大事な戦いを前に気落ちして悩んでいる兵士を怒鳴りつけるどころか、「自分も同じ気持ちだ」と打ち明ける率直さ、これが最高司令官の取る行動だろうか。 恐らく、その兵士も突然話しかけてきた身分の高そうな将校が最高司令官アイゼンハワーだとは気づかなかっただろう。
⑧アイゼンハワーという男は、一言で言えば「人たらし」であった。 謙虚で誠実、天真爛漫とさえ言う人もいて、およそ軍人らしくなかった。 もちろん軍人には不可欠の勇気と実行力も備え、楽天家でもあった。 先のエピソードでもわかるように、他人の立場をたちどころに理解する本能的能力を備えていた。 ことに彼の笑顔は、のちに「アイク・スマイル」と呼ばれ、一野戦車に匹敵するとまで言われた。 (中略)
⑨こうした最高司令官の態度にイギリス人将兵も好感を抱いた。 ある兵士は留守宅への手紙の中で、「最高司令官は、質素でかざり気のない服を着て、勲章もつけていない。 物腰は静かだが、自信と親愛感に満ち溢れた立派な指揮官だ」と書いた。』
私が理想とするリーダーのあり方です。
『①アイゼンハワーとは一体、どんな人物であっただろうか。 (アイゼンハワー本人の著書)『ヨーロッパ十字軍 最高司令官の大戦手記』にこんなエピソードがある。
②1945年3月23日、ノルマンディー上陸から9か月後、なおも抵抗するドイツ軍の息の根を止めるべく、ライン渡河作戦が敢行された日のことであった。
③アイゼンハワーは1人の兵士が意気消沈して歩いているのに出くわし、「どうした。 気分でも悪いのかね」と声をかけたところ、兵士はこう答えた。 「何かよくわからないのですが、妙に気になるのです。 2週間ほど前に負傷して入院してしまい、昨日退院したばかりで、自信を持ちきれないのです」
④それに対するアイゼンハワーの返答はこうであった。 「いや、私もいま君とそっくりの気持ちなんだ。 私も気になっている。 しかし、われわれは長い間かけて今夜の攻撃を準備してきたんだし、それにドイツ軍を粉砕するだけの飛行機も大砲も空輸部隊も全部揃っているんだ。 一緒にこうやって岸まで歩いているうちに、ことによるとわれわれも自信が持てるようになってくるかもしれない・・・・・・」
⑤この言葉を聞いた兵士は突然、こう言った。 「よくわかりました。 なんだか自信が出てきました」
⑥アイゼンハワーは地の文でもう一度、繰り返す。 〈私にも彼の気持ちがよく判るのであった〉
⑦大事な戦いを前に気落ちして悩んでいる兵士を怒鳴りつけるどころか、「自分も同じ気持ちだ」と打ち明ける率直さ、これが最高司令官の取る行動だろうか。 恐らく、その兵士も突然話しかけてきた身分の高そうな将校が最高司令官アイゼンハワーだとは気づかなかっただろう。
⑧アイゼンハワーという男は、一言で言えば「人たらし」であった。 謙虚で誠実、天真爛漫とさえ言う人もいて、およそ軍人らしくなかった。 もちろん軍人には不可欠の勇気と実行力も備え、楽天家でもあった。 先のエピソードでもわかるように、他人の立場をたちどころに理解する本能的能力を備えていた。 ことに彼の笑顔は、のちに「アイク・スマイル」と呼ばれ、一野戦車に匹敵するとまで言われた。 (中略)
⑨こうした最高司令官の態度にイギリス人将兵も好感を抱いた。 ある兵士は留守宅への手紙の中で、「最高司令官は、質素でかざり気のない服を着て、勲章もつけていない。 物腰は静かだが、自信と親愛感に満ち溢れた立派な指揮官だ」と書いた。』
私が理想とするリーダーのあり方です。