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2019.07.28 Sun
いつも心にプランBを
テニスコーチのサーシャ・バインさんが書いた『心を強くする』(飛鳥新書)を読みました。 2018年に世界ランキング68位だった大坂なおみ選手のヘッドコーチに就任し、2018全米・2019全豪オープン優勝、世界ランキング1位を達成させた名コーチの著書です。 「いつも心にプランBを」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①プランAは誰でも用意している。 でも、あなたはプランB、プランC、場合によってはプランDまで用意しているだろうか? ゲームが動いて、ここ一番が期待される局面になったら、プランE、プランFまで編みだせるだろうか?
②どんな分野でも、他に抜きんでている人は、柔軟な頭で情勢を分析し、最良の問題解決策を案出できる人間だ。 (中略)
③なおみの思考の柔軟さに気づいたのは、2018年の全米オープン4回戦でアーニャ・サバレンカと対決したときだった。 グランドスラムで初の準々決勝に進めるかどうかの熾烈な戦いで、なおみは効果的なショットを素早く切り替えて頭の柔軟さを示したのである。
④この試合、最初の二度のマッチポイントで、なおみはサバレンカを動かそうとゆるいリターンを返した。 ところが、二度ともボールはコート外に出てしまう。
⑤デュースとなったところで、なおみは一つの決断をした。 アグレッシブなショットに切り替えることにしたのだ。 なおみの強みはもともと強烈なショットだが、あれほどのプレッシャーの下では、同じようなリターンをくり返す方が楽だったはずだ。 けれども、なおみは、ここで戦法を切り替えて、別の手でいかなければだめだと気づいた。
⑥そこで放った強烈なフォアハンドは最良の選択だった。 デュースになると、なおみはサバレンカの最初のサーブをダウンザライン(サイドラインに沿う軌道のショット)に打ち返し、またしてもマッチポイントを奪った。 このアグレッシブな戦術はサバレンカに大きなプレッシャーを与えたのだと思う。 彼女は痛恨のダブルフォールトを犯し、なおみは見事に準々決勝に進んだのだった。
⑦プランBに切り替えるときは癪(しゃく)だと思うだろうし、相当な決断力を要する。 だが、その決断は、プランAで成功したときよりはるかに多くのものをもたらす。 あのときのなおみの決断は見事だった。 彼女の成長を、私はまのあたりにした。
⑧人生は、もろもろの問題をいかに解決していくかにかかっている。 解決法は、プランAとは限らない。』
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2019.07.21 Sun
継続 ひたすら継続
1.7月7日のブログで『老いと記憶』(増本康平著 中公新書)を取り上げました。 その中で、「熟練者とされるだけの技能の獲得には一万時間の訓練が必要となると言われています。 一万時間は途方もない時間のように思えますが、1日3時間で10年程度です。」という文章がありました。
2.今回のテーマも「10年間の継続」です。 6月30日の日経新聞・日曜特集インタビュー記事「My Story」は北方謙三先生でした。 北方先生が仕事場の机の前で日本刀を持っている一面写真の右下に直筆で、サインとともに「継続 ひたすら継続」と書かれています。
北方先生には、菊澤院長から20年以上前に紹介されたのですが、昨年の40周年パーティーにもサプライズ・ゲストとして登場していただきました。
「一途な青春 はるかなり」というタイトルの「My Story」から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①大学を受験する。 文学部志望だったが、父親は「男なら天下国家を論じるべし。 さもなければ理工系に行け」とにべもない。 「オヤジに言わせると、小説家は人間のクズ。 まず貧乏で食えない。 弱いくせに酔っ払い、ケンカする」。 父は外国航路の船長だった。 (中略)
②1970年、22歳での純文学作家デビュー。 新潮の編集長に「君は大江健三郎以来の学生作家。 天才だ」と言われ、その気になった。 しかし、新作をいくら持っていっても、ことごとくボツ。 次こそはと期待した作品も三島由紀夫の切腹があり、関連原稿を入れるために押し出された。 「5年もたつと気付きますよ。 天才じゃないな、って」
③結局、10年間に書いた100本のうち、掲載されたのはたった3本。 持ち込み仲間の中上健次さんや立松和平さんらを大きく下回る採用率だった。 肉体労働のバイトで生活をつないだ。
④転機は集英社のある若手編集者との出会いでもたらされた。 文芸誌にぽつぽつと載った作品をまとめて本にしないかというのが用件だった。 ただ、話は思わぬ方向に進む。 「あなたはこんな暗い話を書いている場合じゃない」 エンタテインメント作家への転身の勧めだった。
⑤81年発行の「弔鐘はるかなり」で単行本デビューする。 容疑者を射殺し刑事の職をおわれた主人公が、事件の謎を追うハードポイルドだ。 そこからウソのように注文が舞い込み、2、3年で10冊ほどの書下ろしを出版する。 「月刊北方」の始まりだった。 「中上は文学をやるために生まれてきた男。 では自分の進むべき道はどれか。 それは物語で人の心を揺り動かすことだと思った」。 (中略)
⑥物語はいくらでもあふれてきた。 そして10年間、純文学を書き続けてきたことで、「月に千枚書いても文章は乱れなくなった」。 もがいていた時代に、父がかけてくれた言葉がある。 「10年、同じ場所でじっと我慢していられたら、何かが出てくるもんだ」。 そのときは「『作家はクズ』って言ってたくせに、ふざけんじゃねーやと思ったんですけどね」。』
何ごとも10年間継続すれば、それなりに成果を得ると思います。 そう言えば、大山倍達総裁もよく「石上十年」とサインされていました。
3.昨日は、極真会館の友好団体の全日本空手道連盟の理事、糸川まさあき先生の総決起大会に行ってきました。 本日投票の参議院選挙・比例代表(全国区)に自民党から立候補されています。 当選されることを祈っています。
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2019.07.16 Tue
2019東日本大会その2
以下は、一昨日の東日本大会のB・Cコート以外の支部入賞者です。 コメントは城西支部の指導員ブログに掲載されています。 私自身の備忘録として、メモ書きしました。
①深沢 泰洋(小学3年生男子+30kg級の部・第3位)
②諸岡 幸乃(小学4年生女子の部・第3位)
③江島 晴陽(小学6年生男子−40kg級の部・第3位)
④小野 そら(小学6年生女子+40kg級の部・第3位)
⑤上江洲 志穂(女子35歳以上−55kg級の部・準優勝)
⑥鈴木 武彦(壮年45〜49歳−70kg級の部・第3位)
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2019.07.15 Mon
2019東日本大会
昨日は墨田区総合体育館で2019東日本大会でした。 一般選手権は第12回全世界大会の最終選抜戦で、準決勝進出者4名が代表に選ばれました。 本部席前のB・Cコートの支部入賞者についてコメントします。 他のコートの入賞者については、それぞれのセコンドがコメントを書くことになっています。
①江島陽向(小学3年生男子-30㎏級・第3位)
左右へのサイドステップが秀逸ですし、動きながらも冷静に相手の動きを見ていました。 また、組手全体のバランスが整っている印象です。 今後は、蹴り込みなどによって上段の蹴りを磨くとともに、強い突きが打てるよう腕立て伏せなどで筋力を鍛えれば、優勝も見えてきます。
②川合貫太郎(小学4年生男子-30㎏級・優勝)
決勝を含め、安心して観ていられました。 動きの中での上段への蹴り、相手との間合い操作が光っていました。 欲を言えば、これからも安定して勝ち続けるための力強さが欲しいです。 江島陽向同様、腕立て伏せなどで筋力を鍛えることは必要でしょう。
私自身の体験ですが、小学5年生の時に鉄棒の懸垂が1回もできませんでした。 担任の先生に家で腕立て伏せをするようにアドバイスを受け、毎日続けたところ、一年後には懸垂が10回できるようになりました。 バーベルを用いたウェイトトレーニングは高校生になってからだと思いますが、自重(自分の体重)を用いた筋力トレーニングは、小学生でも可能です。
③小木戸瑛斗(高校2・3年生男子-65㎏級・第3位)
腰が落ちた安定した戦い方で、力強さも出てきました。 準決勝は相手選手の、左右へのサイドステップと突きの連打に若干圧倒された印象です。 あの戦い方に対抗するには、㋑自分自身もサイドステップを取り入れること、㋺連打の回転スピードが上がるようにトレーニングすること、㋩連打の回転を一定時間続けられるようスタミナトレーニングに励むこと、㋥強い連打が打てるようウェイトトレーニングにも注力すること、が必要です。
④岡部慎太郎(高校2・3年生男子+65㎏級・準優勝)
国際親善大会のときと同様、自分より体の小さい選手に動き回られ、ラッシュを仕掛けられ、手数負けしたように見えました。 もし、サポーターを着用しない一般の試合だったら違った判定になったかも知れません。 でも、与えられた条件の中で勝たなければならないわけですから、やるべきことは小木戸瑛斗と同じ㋑~㋥です。
今回は、上段の蹴りで技あり寸前までいく惜しい場面もありました。 その蹴りが技有りとなるためには、他の技とのコンビネーションや相手の攻撃に合わせたカウンターで蹴ることなど、もっと創意工夫しなければなりません。 「空手頭(からてあたま・・・空手のトレーニング方法・戦い方など試合全般に関する知能)」は磨き続けなければ向上していきません。
⑤竹岡拓哉(一般選手権・第4位)
竹岡らしい勝負強さを見せてくれました。 特に、準々決勝の樋口知春戦・再延長での力強いラッシュは、相手もラッシュを仕掛けてくるあの局面を考えると、簡単にできるものではありません。 欲を言えば、3位決定戦の高橋扶汰戦でもう少し踏ん張れたのではとも思いますが、そこも竹岡らしいと言えば竹岡らしいです(笑)
でも、絶対取らなければならない勝負で勝ちを取ってくる、その戦いは、チーム城西の後輩たちに良いお手本を示してくれました。
いずれにしても、竹岡、世界大会出場おめでとう! また、11日に男の子が生まれたそうです。 パパ、頑張りましたね(^^)/
選手・セコンド・応援の皆さん、お疲れ様でした。 次は、来月の極真祭です。 ともに、稽古に励みましょう。
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2019.07.07 Sun
一万時間の訓練
1.『老いと記憶』(増本康平著 中公新書)を読みました。 「はじめに」から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①アメリカの神学者ラインホルド・ニーパー(1892~1971)の次の言葉をご存じでしょうか。
神よ、
変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。(大木英夫訳)
②この言葉は、「平静の祈り(Serenity Prayer)」とも呼ばれ、さまざまな場所で引用されています。 生活、仕事、健康状態など、私たち自身や私たちを取り巻く環境には、変えられることと変えられないことがあります。 この言葉にあるように、変えられることと変えられないことの見定めは、私たちが何を目標とし、その目標をどのように達成すればよいのかを考えるうえで極めて重要になります。』
2.同書の「何かをはじめるのに遅すぎるということはない」の項からも抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①クランプ教授らは、高齢になっても活躍するピアニストが多いことに着目し、若年と高齢の熟年のピアニストとアマチュアのピアニストに対して、㋑一般的な認知課題と㋺ピアノの鍵盤を用いた音楽課題を実施しました。 その結果、音楽の熟達者、初心者にかかわらず、㋑一般的な情報の処理速度は加齢による低下が認められました。
②しかし、㋺音楽課題ではアマチュアのピアニストでは加齢による低下が認められたのに対して、熟練のピアニストでは加齢による低下が認められませんでした。
③また、高齢のピアニストの技能の程度には、直近10年の計画的な練習量が影響していました。 この結果は、長年の練習によって熟練化した技能は、計画的な練習を行うことで高齢期でも維持されることを示しています。
④車の運転は多くの人が獲得する技能の一つですが、教習所に通い始めたばかりの時は、アクセルとブレーキの位置でさえも意識しなければなりません。 そのため、エンジンをかけてサイドブレーキを下ろし、左右前方を確認し、ゆっくりとアクセルを踏む・・・・・・というように車を発進させるだけでも前頭葉に依存したワーキングメモリが働きます。
⑤しかし、運転に慣れて、これらを意識せずにできるようになると、運転中の脳活動にも変化が生じ、線条体といった、高齢者でも機能の低下が小さい部位が活動するようになります。
⑥熟練者とされるだけの技能の獲得には一万時間の訓練が必要となると言われています。 一万時間は途方もない時間のように思えますが、1日3時間で10年程度です。
⑦平均寿命が80歳を超えていることを考えると、退職した後でも何か新しいことにチャレンジし、その分野のエキスパートになることは可能なのです。』
⑥・⑦から高齢の入門者は大歓迎ですし、③からは私たち指導者も計画的な練習を行って技能が低下しないようにしなければなりませんね。
3.今日7月7日は、故・大西靖人の誕生日です。 毎年、七夕になると思い出します。 1957年生まれですから、生きていれば62歳でした。
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