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神経活動の適応

『科学的に正しい筋トレ 最強の教科書』(庵野拓将著 KADOKAWA)を読みました。  

1.「右手を鍛えれば左手も〝教育〟される」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①筋肉の収縮は、脳の神経から伝わる指令によって起こります。  現代の脳科学では神経活動を高め、運動に適応させていくことが筋力アップに繋がると示唆しています。

②例えば、神経活動にアプローチすることで、筋肥大に関係なく簡単に筋力を強くする方法があります。  「右手」に重めのダンベルを持ち、アームカールを疲労困憊になるまで行ってみましょう。  実は、これだけで「左手」の筋力は10%アップします。  

③何とも奇妙な話ですが、ここにも科学的なエビデンス(根拠)があるのです。  (中略)  2018年にはイタリア・サッサリ大学のマンカらが、31の研究成果(785名)をもとに解析したメタアナリシス(複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること)により、「片側のトレーニングは、反対側の筋力を11.9%(腕9.4%、脚16.4%)増強させる」と報告しています。』


2.1.に続く「イメージトレーニングだけで筋力が上がる」の項からも抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①神経活動にアプローチすることで簡単に筋力を強くする方法は、もう1つあります。  それは「自分がトレーニングしている姿をイメージする」こと。  実は、これだけで筋力は10%ほど増強されます。  これは、最新の脳科学において筋肉と神経活動の関係を検証したエビデンスが示されています。

②2017年、フランス・ブルゴーニュ大学のGrospretreらは、同様のイメージトレーニングを7日間連続で行った結果、被験者の下腿三頭筋の筋力が9.46%増強したと報告しています。  また、終了後、被験者の脊髄の神経活動が増加することを神経生理学的評価によって明らかにしています。

③同じく2017年、同大学のルフィーノらは、イメージトレーニングによる筋力増強のメカニズムを検証した過去の研究報告をレビューし、脊髄とともに大脳皮質の運動野の神経活動が増加することを示唆しています。

④このように、筋肉の大きさが変わらなくても、神経活動を変化させることにより、筋力を増強することができるのです。  しかし、紹介した2つの方法(片側のトレーニングとイメージトレーニング)による筋力増強は、一時的な神経活動の変化がもたらすものにすぎません。  翌日には元の筋力に戻ってしまいます。  これでは真の筋力増強には繋がりません。

⑤そこで重要になるのが「神経活動の適応」です。  (中略)  新しい運動に取り組むと、最初はうまくできなかったものが、繰り返し練習するうちに次第に上達していきます。  つまり「体が覚える」ということです。  これは、新たに得た様々な情報を伝達するうちにシナプス(神経細胞間の接合部)が組み替わり、神経のネットワークが変化することに起因しています。

⑥このようなネットワークの再構築を「神経活動の適応」と言い、脳科学では運動が上達するメカニズムとして活用されています。  そして、筋力増強の効果を長期的に得るためには、筋肥大とともに、筋力を強く発揮できるように神経活動を変化させ、適応させることがポイントになるのです。』

ちょっと専門的になりますが、私が極真空手と併せて修行してきた意拳の稽古方法の1つである「試力」の効果も、「神経活動の適応」によるものかも知れません。

早いもので、来週末は国際親善大会と全日本ウェイト制大会ですね。  

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軍事の日本史

1.『軍事の日本史』(本郷和人著 朝日新書)を読みました。  第1章「戦いとは何か」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①この章の締めくくりとして、ぜひ僕がご紹介したいデータがあります。  

②『〈玉砕〉の軍隊、〈生還〉の軍隊・・・日米兵士が見た太平洋戦争』(河野仁著 講談社選書メチエ 2001年)という本です。  これによると「玉砕する軍隊」と「生還しない軍隊」があるそうです。  日本の軍隊は玉砕する軍隊で、アメリカ軍は玉砕しないというのがその結論です。

③第二次世界大戦時のアメリカ軍兵士の戦闘行動に関する興味深いデータがあります。  それによると、敵と戦っているまさにそのとき、「撃て!」という上官の命令で鉄砲を撃とうとしても実際打てた人は四人に一人しかいなかったというのです。  自分の小銃を発砲した割合(発砲率)はせいぜい「20から25%」だった。

④この本の中で著者は、不用意に発砲することで逆に自分の居場所を敵に知られるリスクについて言及しています。  そうしたことは確かにあったことでしょう。  あるいは、キリスト教を信仰している人が多かったなど別の理由があるのかもしれない。  本当のところは分かりません。  ただ、人の命を奪うのは、アメリカ人にとってそれは大変なことだったというのです。

⑤別のアメリカの学術書にも、南北戦争のとき50%もの兵隊は敵の命すら奪うことはできずに、「撃て!」と命令されてもわざと的を外したという驚くべきリポートがなされているのを読んだことがあります。  それが人間の本質であるならば、当然、人間性を重視し、人間性に立脚した軍事というものが考えられてよいはずです。  だから国際法では捕虜の保護規定を設けているのです。』 


2.上の②で紹介されている『〈玉砕〉の軍隊、〈生還〉の軍隊・・・日米兵士が見た太平洋戦争』の講談社学術文庫版(2013年)も読みました。  序章「戦争と死」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①「戦闘意欲」の問題を最初に取り上げたのは、米陸軍の戦史研究者S・L・A・マーシャル大佐である。  

②かれは古典的業績となった『戦火の兵士』の中で、第二次世界大戦における欧州戦線および太平洋戦線での米軍兵士の戦闘行動を実際に前線に行って観察したり、作戦終了後に戦闘に参加した兵士を面接調査した結果、「米陸軍部隊兵士の交戦中の発砲率は最大限25%である」との観察結果を公表し、当時の米軍内部で大きな波紋を巻き起こした。

③これをうけて、朝鮮戦争までに米陸軍は兵士の訓練方法を改善し、1950年の朝鮮戦争時には歩兵部隊の夜間防御と昼間攻撃のいずれにおいても発砲率は55%を超えた。

④このマーシャルの研究によって明らかとなったのは「人間としての兵士」の問題である。  (中略)

⑤歩兵中隊長が「撃て」の号令をかければ「自動的に」その命令に服従して兵士たちは小銃を撃つ、というのは「神話」に過ぎない、ということを改めてわれわれに教えてくれたのである。』


3.31年目に入った「平成」が終わり、5月から「令和」が始まります。  テレビや新聞では様々な分野の「平成の歴史」が取り上げられています。

色々な面からの評価もあるでしょうが、少なくとも、日本が戦争することのない30年間を過ごせたことは幸せでした。
 

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