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2018年10月 | ARCHIVE-SELECT | 2018年12月

第26回全関東大会

昨日は水戸で全関東大会でした。  以下は本部席前のB・Cコートの入賞者についてのコメントです。

①金子雄大(高校生男子-65㎏級・優勝)・・・雄大らしいメリハリのある組手で優勝しました。  特に、準々決勝(?)で相手選手に上段の技有りを取られてから、上段前蹴りの技有りを取り返した試合はさすがでした。  足払いの技術を磨いて、上下への振り分けができれば、さらなる技術アップが可能だと思います。  YouTubeで緑健児選手の「第1回千葉県大会2回戦」を観て参考にして下さい。

②酒井真由(一般女子-55㎏級・第3位)・・・ウェイトトレーニングの成果が徐々に出てきました。  ただ、突きで押し込まれる場面が少し見られたので、自分も強い突きを打つこと、(構えが高いので)もう少し腰を落とすこと、が必要です。

③因徹也(一般新人戦-70㎏級・優勝)・・・上段内廻し蹴りや足掛け下段突きの技有りを取るなど、技にキレがあります。  今後は、そういった特性をさらに磨くとともに、ウェイトトレーニングによるパワーアップが欠かせません。

④杉沢豪也(一般新人戦-70㎏級・準優勝)・・・スネ受けが甘いので準々決勝あたりから左足が効いているようにも見えました。  それでもダメージを抱えながら、あきらめずに勝ち上がったのは素晴らしいです。  稽古を積んで基本的な攻防の技術を身に付けて下さい。

⑤山田魁(一般新人戦-70㎏級・第3位)・・・準決勝の因徹也戦はキャリアの差が出ましたが、よく頑張りました。  まだ9級ですから、次の審査会や試合に向けて継続的な稽古を重ねていってもらいたいと思います。

⑥佐藤拓海(一般男子上級-80㎏級・準優勝)・・・体が柔らかく技にキレがあります。  決勝の高木信選手とは5月の富士山杯の準決勝でも対戦しましたが、連敗です。  壁になる特定の相手選手がいるというのは、自分が強くなる上で大きな助けとなります。  技術面においては次に勝つために何が必要かを考える糧になりますし、メンタル面においてはその選手をイメージすることで稽古に打ち込む大きな動機(モチベーション)となります。  次回対戦の勝利に期待します。

⑦橋本拓人(一般男子上級-80㎏級・第3位)・・・準決勝で高木信選手に敗れました。  特に、何度も場外注意を取られたのはいただけません。  佐藤拓海同様、次回は高木選手に勝つべく、高木戦を念頭に置いたハードトレーニングを期待します。   

選手・セコンド・応援の皆さん、お疲れ様でした。

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二種類の頑固

(1)昨年の4月に86歳で亡くなられた渡部昇一先生が書かれた『終生 知的生活の方法』(扶桑社新書)を読みました。  2004年に出版された『老年の豊かさについて』(大和書房)の加筆修正版です。  亡くなられる直前に入稿されていたそうです。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.豊臣秀吉と伊達政宗

①豊臣秀吉も朝鮮出兵などしなければ、豊臣家滅亡という悲惨な結末を招くことはなかったはずです。  彼はそれまでずっと成功し続けてきました。  その成功体験で最後の最後に大勝負に打って出たのですが、完全に時期を誤りました。  膨大なエネルギーを要する大事業は三十代か四十代でやるべきです。  (中略)

②指揮系統がしっかりして補給さえうまくいけば勝つことは難しくなかったはずです。  若い頃の秀吉、あるいは信長なら、その辺をよく分析して、抜かりなく準備したと思います。  

③しかし、現実には二度目の朝鮮出兵は惨憺たる結果に終わりました。  残念ながら秀吉は、日本史において晩節を汚した典型になってしまったのです。

④一方、猛将でありながら、節度ある晩年をおくり、名誉を保った人もいます。  それは伊達政宗です。  政宗は天下を狙える力量を持つほどの武将でしたが、天下の大勢を判断して、関東には攻め上がりませんでした。

⑤秀吉の器量に服し、のちには家康につきます。  天下を狙えるほどの能力を持ちながら、天下の大勢と自分の年齢を考えて徳川幕府と共存することにしたわけです。  彼が仙台にとどまったのは決して恥ではありません。  むしろ英断と称えられる行為です。


2.二種類の頑固

①今の秀吉の例にも関連しますが、よく老人は頑固だと言われます。  ただこの場合は、単に適応能力の喪失を示すだけの頑固と、一つの信念に基づいた頑固との二種類あると思います。

②私は、信念に基づく頑固者がたくさんいる国の方が尊敬されると思います。  その例がイギリスです。  ヨーロッパのどこの国に行っても、好き嫌いは別として、イギリスには一目置いているところがあります。

③イギリス人は頑固者や変わり者が多い国です。  頑固でなければ生きられない状況があったのです。

④イギリスではピューリタン革命でクロムウェルが国王の首を切りました。  その時に王党派についた騎士階級はひどい目に遭いましたが、王様と英国協会に対する忠誠心を捨てないで王政復古を迎えたのです。

⑤王政復古の後は、ピューリタンは失脚して再び迫害を受けますが、断固として自分たちの信念を守りました。  ピューリタンはウソを言わず、勤勉に仕事をしましたから、上流階級にはなれなかったものの、中産階級の中心になりました。  これがイギリス人の背骨になったのです。

⑥信念の固い彼らの血を受け継いで、イギリス人は愛国心が強く、新しいものが流行しても、自分たちは自分たちだという考えで古いものを容易に捨てません。』

「信念に基づく頑固者として、晩節を汚さずに生きたいなぁ~」と思う今日この頃です。


(2)老人の話をもう一つ。

『おじいさん 「肉まんください」
 
店員   「おいくつですか?」

おじいさん 「いくつに見えますか?」
 
店員   「・・・いくつでしょうかね・・・?」

おじいさん 「もう80なんですよ」

店員   「肉まん80個で7,392円になります」
 
おじいさん 「いや・・・そうじゃなくて」
 
店員   「7,392円になります」

おじいさん 「・・・」』

(一昨日配信されてきた公認会計士・本郷孔洋先生のメルマガより)

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三船久蔵十段からのヒント

1.柔道の三船久蔵十段(1883~1965)の生涯を描いた『荒ぶる魂』(嶋津義忠著 PHP文芸新書)を読みました。  三船十段は、身長159cm・体重55㎏と小柄ながら「空気投げ」などの新技をあみ出し、「柔道の神様」と言われた柔道家です。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『(1)①相手を倒すことから始めた柔道だから、久蔵は立ち技の方が性に合っていた。  得意技は持たない。

②勝敗は、相手の虚(弱点)をつき、迅速に動いて敵を倒すことで決まる。  得意技があったとしても、相手はその技に入るかたちになってくれるとは限らない。  そのかたちを作ろうと努めれば、そこに虚(弱点)が生じて、相手につけ込まれる。

③体の動きは千変万化ゆえ、お互いに多様な虚(弱点)を作り出す。  その虚(弱点)に適応した技を繰り出した方が、勝ちを得ることになる。

④久蔵はそう考えるから、得意技を作ろうとしなかった。  多くの技を研究し、生涯に一度しか使うことがなくても、それでよい、と思っている。

(2)①「これまでは、押さば引け、引かば押せ、と言われてきた。  そこから進んで、おれは、押さば回れ、引かば斜めに、と言いたい。  つまり、大事なことは円運動なんだ」と久蔵は言う。  

②相手が押してくる。  それは直線的な力の働きである。  そのとき、こちらが回って背後を押してやれば、相手を前へ突き飛ばすことができる。  

③相手が引くときも同じである。  こちらは斜めに出て押してやればいい。  それは自分が球になることだ。

(3)まだまだ、(空気投げの)完成にはほど遠い。  練り上げ、精度を上げ、美しくしなければならない、と久蔵は思う。  よい技はすべからく美しいのだ。』


2.私の感想を書いてみます。

(1)①の「得意技は持たない」について

松井館長・フィリョ師範・木山監督などの世界チャンピオンに共通するのは、「得意技は○○」という評価がされないことです。  逆に言えば、手技・足技のどの技を取り上げてもすべてが強力で、ひとつの技に絞り切って評価できない、ということだと思います。  世界チャンピオンになるには、すべての手技・足技がトップレベルで使いこなせるオールラウンドプレーヤーであることが必要です。

(2)①の「押さば回れ、引かば斜めに、と言いたい。  つまり、大事なことは円運動なんだ」について

昨年は両手押しが解禁になり、今年の第50回全日本大会から「場外」注意がルールに盛り込まれました。  実際、大会で場外に押し出され、結果として「減点」を取られた選手も見受けられました。  体が大きく手も長い外人選手の押しに対抗する技術の開発が急務です。  その際、三船十段の言われた「押さば回れ、引かば斜めに、と言いたい。  つまり、大事なことは円運動なんだ」ということばは大いに参考になるはずです。

(3)「練り上げ、精度を上げ、美しくしなければならない、と久蔵は思う。  よい技はすべからく美しいのだ。」について

約20年前、東中野で東京城西支部を再スタートさせましたが、その時の私の目標は「芸術的なチャンピオン」を育てることでした。  つまり、大山総裁の言われた「華麗なる組手」の体現者を城西から生み出すことです。  20年経った今もその目標は変わりません。  「よい技はすべからく美しく」、「よい選手の動きはすべからく華麗」です。

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アイデアはどれも偉大

10月30日に配信されてきた公認会計士・藤間秋男先生のメルマガから抜粋し、番号を付けて紹介します。  タイトルは『アイデアはどれも偉大』です。

『①家族でアメリカへ移民してきた青年がいた。  青年は兄弟の繊維業を手伝った。  

②24歳、彼は新たなビジネスとして、毛布やテントを売る行商を始めた。  しかし、テントは売れ行きも悪く、在庫が山のように残った。  ふと気づくと、世の中にはゴールドラッシュが沸き起こり、一攫千金を狙う男たちが大勢集まっていた。  彼は男たちの作業ズボンの需要に目をつけた。  男達は激しい労働に耐え抜く、丈夫なズボンを必要としていたのだ。  売れ残ったテントの生地でつくったズボンは、一般的なズボンの10倍の値段で飛ぶように売れた。

③37歳、彼の会社は4階建てのビルに・・・彼は成功者の仲間入りをする。

④43歳、ある男から、ポケットを破れにくく工夫したブルージーンズを見せてもらった。  その男のアイデアはポケットに金属鋲を打ち付けて補強することにこだわった。  彼と男は、ポケットのアイデアを特許として申請。  そのブルージーンズを「オーバーオール」と名づけ、製造を始めた。  のちに会社の売上は20億ドルに達し、世界最大の既製服メーカーになった。

⑤彼の名は、リーバイ・ストラウス。

⑥57歳、彼はブルージーンズの頑丈な品質を最大のセールスポイントにしょうと考えた。  腰に「もし、このズボンが破れたら取り替えます」と記した革のラベルをつけたのだ。  このラベルには製品番号の「501」も記載された。  彼のアイデアは偉大なものだった。

⑦73歳で彼が亡くなった後、ブルージーンズは若者のシンボルとなった。

⑧130年以上もたった今も「リーバイス501」は世界で最も売れているジーンズである。

⑨アイデアはどれも偉大。  それを実行すれば・・・  アイデアがうまくいかなければ、変えてみればいい・・・  人生もうまくいかなければ、変えてみればいい。  あなたの人生は、成功するようにできているのだから・・・

(『情熱思考』是久昌信著)』

私が極真空手修業で一番大切にしていることは「創意工夫」、つまり「常にアイデアを生み出そうとする」ことです。  組手技術もトレーニング方法も創意工夫次第で素晴らしいものになりますし、創意工夫しなければありきたりの陳腐なものになってしまいます。  ありきたりの組手技術やトレーニング方法からは、ありきたりの選手しか生まれません。

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