2015.08.09 Sun
口に苦い良薬よりも
『幸運の条件』(五木寛之著 新潮新書)を読みました。 『口に苦い良薬よりも』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①どんなに強い信念をもって生きたとしても、人の心というものは弱いものです。 (中略) そんな人間のたよりなさを、言葉でもってなぐさめることを、仏教では「言辞施(ごんじせ)」といい、布施行(ふせぎょう)の一つとしたらしい。
②もちろん、それは口から出まかせの適当なお世辞を言うこととはちがいます。 しかし、それでも素直な忠告よりも、巧言令色(こうげんれいしょく・・・口先や顔つきだけを取り繕い、人に媚びへつらうこと)のほうがありがたいときがある。
③「良薬は口に苦し」などといいますが、しかし、苦ければ良薬、というわけでもないでしょう。
④かって私の仕事を担当してくれた編集者の一人に、すこぶる気配りのいきとどいた有能な人物がいました。 しかし、私は彼が苦手でした。
⑤いつも顔をあわせるたびに、心配そうに眉をひそめて、こうきくのです。 「ちょっとお疲れのようですが、大丈夫ですか。 また徹夜のお仕事でもなさったんでしょう」
⑥「うん。 まあ、いろいろとね」などと適当にこたえながら、徹夜なんかしていないぞ、今日はふだんより元気なんだぞ、と内心むっとする。 ひょっとしたら、よほど疲れた顔をしているんじゃないかと、気分も沈んでくるのです。
⑦「ほんとうに大丈夫ですか」と、たたみかけてきかれると、こっちが疲れた顔をしていなければ悪いような感じになってくる。
⑧嘘でもいいから、「きょうはなんだか元気そうですね。 いいことでもありましたか」と、言われたほうがいい。』
東京は猛暑日の連続でした。 昨日・今日は若干過ごしやすいようですが、熱中症にはくれぐれもご用心を!
『①どんなに強い信念をもって生きたとしても、人の心というものは弱いものです。 (中略) そんな人間のたよりなさを、言葉でもってなぐさめることを、仏教では「言辞施(ごんじせ)」といい、布施行(ふせぎょう)の一つとしたらしい。
②もちろん、それは口から出まかせの適当なお世辞を言うこととはちがいます。 しかし、それでも素直な忠告よりも、巧言令色(こうげんれいしょく・・・口先や顔つきだけを取り繕い、人に媚びへつらうこと)のほうがありがたいときがある。
③「良薬は口に苦し」などといいますが、しかし、苦ければ良薬、というわけでもないでしょう。
④かって私の仕事を担当してくれた編集者の一人に、すこぶる気配りのいきとどいた有能な人物がいました。 しかし、私は彼が苦手でした。
⑤いつも顔をあわせるたびに、心配そうに眉をひそめて、こうきくのです。 「ちょっとお疲れのようですが、大丈夫ですか。 また徹夜のお仕事でもなさったんでしょう」
⑥「うん。 まあ、いろいろとね」などと適当にこたえながら、徹夜なんかしていないぞ、今日はふだんより元気なんだぞ、と内心むっとする。 ひょっとしたら、よほど疲れた顔をしているんじゃないかと、気分も沈んでくるのです。
⑦「ほんとうに大丈夫ですか」と、たたみかけてきかれると、こっちが疲れた顔をしていなければ悪いような感じになってくる。
⑧嘘でもいいから、「きょうはなんだか元気そうですね。 いいことでもありましたか」と、言われたほうがいい。』
東京は猛暑日の連続でした。 昨日・今日は若干過ごしやすいようですが、熱中症にはくれぐれもご用心を!