2014.07.27 Sun
フォアマンとタイソン
7月20~22日は中国・煙台出張でした。 東京から直行便がないので往復で4回飛行機に乗ります。 機中で読んだボクシング関係の本2冊から抜粋し、番号を付けて紹介します。
1.『マイノリティーの拳』(林壮一著 新潮文庫)
(ジョージ・フォアマンがモハメド・アリに世界タイトル戦で8ラウンドKO負けしたことを語っている部分から)
『①苦しみ抜いて、やっと一つの解答に行き着いた。 1974年10月のあの日、アリは私に無いものを持っていた。
②アリが私よりも強かったのは、「敗北の意味」を知っていたからだと思う。 彼もフレージャーとノートンによって、打ちのめされていた。 二つの敗戦を乗り越えたうえで、私との試合を迎えたんだ。
③「誰も自分を倒せる者などいない」と信じていた相手に対し、アリは戦略を練り上げ、十分過ぎるほどの準備をした。 私のなかにエゴも感じたんだろうね。 そして、裏をかいたんだ。
④〝負け〟を知り、そこから這い上がったファイターっていうのは強いのさ。 ボクサーとしてだけでなく、人間としてもね。 そのまま潰れてしまう選手が多いなか、アリは本当に偉大だよ』
2.『真相』(マイク・タイソン著 棚橋志行訳 ダイヤモンド社)
(1980年10月、モハメド・アリが4度目の世界王座返り咲きをかけてラリー・ホームズに挑戦し、11ラウンドTKO負けした翌朝のできごとから)
『①翌朝、アリの側近のジーン・キルロイがカス(タイソンのトレーナー、カス・ダマト)に電話をよこして、アリに代わった。
②「なんであんな下手くそにやられたんだ? あいつは下手くそだ、モハマド、あいつは下手くそだ。 ・・・・・・いいや、あいつは下手くそだ。 ・・・・・・そうじゃない、あいつは下手くそだ。 なんであんなやつに打たれた?」
③カスの話に聞き耳を立てていたが、彼が「下手くそ」と口にするたび、身を切られる思いがした。 俺は泣き出した。
④そのあと、カスは俺を仰天させる行動を取った。 「うちに居候している若い黒人がいる。 まだほんの子ども(当時14歳)だが、いずれヘビー級チャンピオンになる男だ。 マイク・タイソンというんだ。 こいつと話してやってくれないかな、モハメド。 俺の言うことをよく聞けと言ってくれ」
⑤カスは俺に受話器を渡した。 「昨日は残念でした」と、俺は言った。 突然のことでなんて言ったらいいのかわからなかったんだ。 「体調を崩していた」と、アリは言った。
⑥「薬を飲んだら、逆に体がいうことをきかなくなった。 だからホームズにやられたんだ。 よくなったら、カムバックして、必ずホームズを倒すさ」
⑦「心配いらないよ、チャンプ」俺は言った。 「俺が大きくなったら仕返ししてやるから」』
アメリカの本って大著が多いですよね。 本書もなんと669ページです。 機中で持ち上げて読むのは大変でした(笑)
1.『マイノリティーの拳』(林壮一著 新潮文庫)
(ジョージ・フォアマンがモハメド・アリに世界タイトル戦で8ラウンドKO負けしたことを語っている部分から)
『①苦しみ抜いて、やっと一つの解答に行き着いた。 1974年10月のあの日、アリは私に無いものを持っていた。
②アリが私よりも強かったのは、「敗北の意味」を知っていたからだと思う。 彼もフレージャーとノートンによって、打ちのめされていた。 二つの敗戦を乗り越えたうえで、私との試合を迎えたんだ。
③「誰も自分を倒せる者などいない」と信じていた相手に対し、アリは戦略を練り上げ、十分過ぎるほどの準備をした。 私のなかにエゴも感じたんだろうね。 そして、裏をかいたんだ。
④〝負け〟を知り、そこから這い上がったファイターっていうのは強いのさ。 ボクサーとしてだけでなく、人間としてもね。 そのまま潰れてしまう選手が多いなか、アリは本当に偉大だよ』
2.『真相』(マイク・タイソン著 棚橋志行訳 ダイヤモンド社)
(1980年10月、モハメド・アリが4度目の世界王座返り咲きをかけてラリー・ホームズに挑戦し、11ラウンドTKO負けした翌朝のできごとから)
『①翌朝、アリの側近のジーン・キルロイがカス(タイソンのトレーナー、カス・ダマト)に電話をよこして、アリに代わった。
②「なんであんな下手くそにやられたんだ? あいつは下手くそだ、モハマド、あいつは下手くそだ。 ・・・・・・いいや、あいつは下手くそだ。 ・・・・・・そうじゃない、あいつは下手くそだ。 なんであんなやつに打たれた?」
③カスの話に聞き耳を立てていたが、彼が「下手くそ」と口にするたび、身を切られる思いがした。 俺は泣き出した。
④そのあと、カスは俺を仰天させる行動を取った。 「うちに居候している若い黒人がいる。 まだほんの子ども(当時14歳)だが、いずれヘビー級チャンピオンになる男だ。 マイク・タイソンというんだ。 こいつと話してやってくれないかな、モハメド。 俺の言うことをよく聞けと言ってくれ」
⑤カスは俺に受話器を渡した。 「昨日は残念でした」と、俺は言った。 突然のことでなんて言ったらいいのかわからなかったんだ。 「体調を崩していた」と、アリは言った。
⑥「薬を飲んだら、逆に体がいうことをきかなくなった。 だからホームズにやられたんだ。 よくなったら、カムバックして、必ずホームズを倒すさ」
⑦「心配いらないよ、チャンプ」俺は言った。 「俺が大きくなったら仕返ししてやるから」』
アメリカの本って大著が多いですよね。 本書もなんと669ページです。 機中で持ち上げて読むのは大変でした(笑)