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幸福と信頼

『賢者は幸福ではなく信頼を選ぶ。』(村上龍 KKベストセラーズ)を読みました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①日本の現状を冷静に判断するのは、むずかしいというより、気が遠くなるくらい面倒で、真剣に考えれば考えるほど、神経がすり減り、いたたまれない気持ちになる。  だから、多くの人が「思考放棄」に陥っている。

②シリアスな現実から目をそらし、希望的観測をまじえて将来を予測し、考えることから逃げる。  その方法、生き方は、とても楽だ。  (中略)

③福島第一原発から垂れ流される汚染水、それに溜まり続けて保管場所がなくなりそうな使用済み核燃料のことを考えるだけでも、限度を超えた憂鬱(ゆううつ)が生まれ、私たちはある方法を選ぶ誘惑にとらわれる。  「思考放棄」という、楽で便利な方法である。


2.①「思考放棄」に陥った人や共同体には特徴的な傾向があるように思う。  「幸福」を至上の価値として追い求め、憧れ、生きる上での基準とするということだ。  わたしたちの社会では、よく「幸福であるかどうか」が問われる。  (中略)  

②だが、幸福という概念は主観的であり、かつ曖昧でもある。  わたしは、『55歳からのハローライフ』という作品で山谷の住人たちに取材したが、ホームレスに近い生活をしている何人もの人たちが「俺は気ままで、案外幸福なんだ」と言うのを聞いた。  「これで充分だ」と納得さえすれば、その人は幸福を手に入れることができる。


3.①今、わたしたちに必要なのは、幸福の追求ではなく、信頼の構築だと思う。  外交でいえば、日本は、緊張が増す隣国と、「幸福な関係」など築く必要はない。  しかし、信頼関係にあるのかどうかは、とても重要だ。

②幸福は、瞬間的に実感できるが、信頼を築くためには面倒で、長期にわたるコミュニケーションがなければならない。  国家だけではなく、企業も、個人でも失われているのは幸福などではなく、信頼である。』


『信頼を築くためには面倒で、長期にわたるコミュニケーションがなければならない。』というフレーズにはまったく同感です。  逆に、長期にわたって築き上げてきた信頼が、きわめて短期間で失われる経験もしました。

大山総裁もよく「金を失うことは小さい事である。  信用を失うことは大きい事である。」と言われていました。

「信頼を得る」、「信用を失わない」、最近私が一番大事にしていることです。

午後から姪の結婚式です。  雨が心配だな~。

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修徳

1.『気功』(寥赤虹・寥赤陽著 春秋社)を読みました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①気功の修練には二つの内容がある。  一つは「練功」といい、身体の健康レベルや能力などを高めることであり、もう一つは、「修徳」といって、道徳心を高めることである。  合わせて「功徳」という。

②老子、釈迦、イエスなどの修練の達人はみんな道徳のことを強調していた。  老子の『道徳教』は「道教」と「徳教」の二つの部分から構成され、「徳教」は「道教」の前に置かれた。

③そのため、三人とも現代の学者に道徳家と見られている。  しかし、三人は単なる道徳家ではなく、偉大な修行者でもある。  彼らが道徳を強調するのは修練上、それなりの理由があるのである。

④普通の人ならば、自分のために他人に害を加えようとすれば、法律のような社会的裁きを下される。  しかし、ある程度の能力を得た人にとって、法的裁きのできる枠以外で他人に害を加えることも不可能ではない。

⑤たとえば、筆者および(筆者が指導する)無為気功教室での練習者の経験からいえば、気功の状態で遠隔の地にいる患者を癒すことは確かにできる。

⑥同様の方法を逆用して、遠く離れた場所の他人の身体を壊すことも可能であろう。  しかし、もしこうした能力を思うままに使えると思ったら、わが身を破滅へ導く第一歩になる。

⑦この自然のなかに存在するあらゆるものは、すべてこの自然の法則に拘束されている。  たとえ法の裁きのような社会的拘束の枠を超えたとしても、いわゆる天地神明(てんちしんめい・・・天地の神々のこと)がいる。  

⑧自然の仕組みを壊すものは必ず自然の仕組みに仕返しされる。  また、その罰の軽重はその人の能力に比例する。  練功のレベルの高い人にとっては、悪い考えを持つだけで罰を受けることがある。

⑨練功の唯一の安全保障は「修徳」である。  つまり、絶えず自分の修養を高めていくことである。』


2.21日に行われた西東京都大会で次のような話をしました。

「極真空手の修行を通じて肉体的に強くなると同時に、精神的にも強くならなければなりません。  その精神的な強さとは、頑張ること・あきらめないこと・礼儀正しいこと・感謝すること・素直であること・他人に思いやりを持てること、などです。」

1.で紹介した「修徳」の重要性を言ったつもりです。

もちろん道場内だけで礼儀正しいのではなく、道場を離れた日常生活全般で礼儀正しくなければ意味がありません。

最近、年齢を重ねてもわがままな人・仏教修行しても独りよがりな人・空手の有段者でありながら近所に迷惑をかけている人、の話を見聞きしました。

年を取ったり、宗教や武道を修行しただけで人間性が高まるわけではないようです。  自分自身の中に常に人間性を磨いていこうとする気持ちが必要だと思います。

自戒を込めて(笑)

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日本人

1.前回紹介した『GIVE&TAKE』(アダム・グラント著 三笠書房)の監訳者は一橋大学大学院の楠木建教授です。  『監訳者のことば』から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①おそらくビジネスにおいては、日本のほうが「ギバー(与える人)が多い社会」だと思う。

②アメリカでは一人ひとりの人間は本性においてはギバーであっても、ことビジネスとなると、極端な「テイカー(受けとる人)社会」である。  「うかうかしているとやられてしまう」という考え方が、歴史的、社会的、文化的に共有されている。

③だとすれば、それは日本にとって重要な意味のあることだ。  ビジネスにおいてもギバーが(潜在的に)多いということは、日本の社会と日本人が伝統的に持っている「天然資源」といってよい。  本書の議論は、われわれがふだん意識していない日本の可能性についても光を当てている。』


2.『未来への言霊』(船井幸雄著 徳間書店)を読みました。  本書中にも日本人に関する記述があります。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①資本主義社会で大事なことは、結局はお金と自分だと言いきってよさそうです。  生きる最大の目的は、所有欲、名誉欲、権力欲など、あらゆる我欲の追求でした。  その欲望を実現するために、人類は大量生産、大量消費というシステムをつくり上げました。

②その仕組みは、ことごとく自然や環境を破壊するものだったのです。  つまりは、資本主義は、宇宙の理を踏みつけにしてエゴを増大させ、拡大に拡大をしてきました。  しかし、どうやら限界に来たというのが、現在の状況と言えるでしょう。

2.①日本人はお人好しです。  アメリカに原爆を落とされたことを多くの日本人は恨みに思っていないかのように思えます。  (中略)  いまの、世界常識から考えれば、不思議で変な人種です。

②日本人の大衆は「宇宙の理」的人間が多いと思います。  これらは日本語(日本人の特性をつくり上げている)と日本の環境・風土のせいだとしますと、地震や台風など天災の多い国で、程度のよくない政治家や官僚やリーダーは多少いますが、それも「必然、必要で、努力してベストにする」ために自然というか、天が与え給うた恩恵だと「プラス発想」するほうがよさそうです。

3.いま、本物が世の中に続出しています。  ということは、明らかに時代の潮流が変わろうとしていると認識する必要があります。  しかも、それは日本からというのが、私の意見であり、どうやら間違いなさそうだと言えるのです。

4.①ともかく、日本人は、他の人種や国民性と比べて類を見ない特性をたくさん持っているという点において、もっとプライドを持ってよいと思うのです。  (中略)  そういう点で言いますと、これらの特性を活かして、世のため、人のため、世界のために尽くす覚悟をすることが、地球が優良星となり、地球人が優良星人となるスイッチとなるのではないかと思います。

②そのためのキャスティングボードは、まさに日本人が握っていると考えられます。 日本人は、自信を持って日本人的に生きればよいのだと、強く読者にはお伝えしたいのです。』


船井先生は本年1月20日にご逝去されました。  ご冥福をお祈り申し上げます。

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