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メンタンピン戦略

『ビジネスをつくる仕事』(小林敬幸著 講談社現代新書)を読みました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①マージャンの戦略からビジネスをつくる戦略を考えてみよう。  偶然とうまく付き合うには、将来、どんなことが起こってもプラスになるように、可能性をできるだけ広く取りながら柔軟にことを進めるのが大切である。

②ビジネスの状態が悪くなってくると、どこの企業でも、選択と集中といった戦略の名のもとに事業分野を絞り込み、さまざまな可能性の芽を摘んでしまう。  これは、マージャンの初心者がよくやる、チンイツ、ホンイツばかりを狙う「ホンイツ戦略」に陥っていないだろうか。  いまの時代には、状況の変化に柔軟に対応する「メンタンピン戦略」こそが必要だろう。

③マージャンの「ホンイツ(混一色)」とは、一つの種類の牌(パイ)を集めてあがる役である。  はじめにホンイツ狙いに決めると、戦いの序盤では、とにかく集めると決めた種類の牌を残し、それ以外の種類の牌を捨てればいいので、判断が容易にできる。

④「メンタンピン戦略」というのは、タンヤオやピンフといった、あがりやすいが点が低い役を複合させる戦略で、上級者も採用するマージャンの基本戦略である。  状況がよければ、タンヤオやピンフ以外の様々な役とも複合して高得点を目指したり、状況が悪いと、低い点で早く簡単にあがろうとしたりする。  それだけに状況判断が難しいともいえるが、上級者には、それが面白いのだろう。

⑤ビジネスの状況が厳しくなると、しばしば選択と集中とかいっていろいろな事業を切ってしまう。  結局のところ、いま、儲かっているかどうかということだけで、集中する分野を決めているようにさえ見える。  マージャンの初心者が、最初に自分に配られた牌を見て、一番多い枚数の種類に決めつけて、ホンイツを狙い出すのと似た風景だ。

⑥マージャンにおける「ホンイツ戦略」の欠点は、いわば「決め打ち」戦略であることだ。  最初の外形的な基準でのみ方向性を決め、しかも状況が変わっても方針を変更できないやりかたでその方向に突き進む。  また、単純な作戦なので相手にばれやすい。  ビジネスでいうと、競合他社に対策を取られやすく、交渉相手に足もとを見られ、成功が難しく、大きな損失案件になる可能性の高い事業戦略といえよう。

⑦事業の創造に役立つ「メンタンピン戦略」とは、将来に起こりうる多様な事態を柔軟にプラスに捉え直していく戦略となる。  最終的にどうあがるかを決め打ちせずに、三つ以上のいろいろな成功の可能性を維持しつつ、来た牌をできるだけ肯定的に捉えて、目標を変えていく。

⑧そして外部の状況の変化に合わせて、こちらの目標のレベルも変えていく。  上振れの期待として八千点の役を目指していても、敵がもっと大きな点でいまにもあがりそうなら、スピード優先で目標を下げて低い千点の役で先にあがってしまう。  また、あがれそうもないなら、振り込みをして損失を拡大しないように、防御に徹する。』

著者は商社マンとして「お台場の大観覧車」や「ライフネット生命」の立ち上げをされたそうで、抜粋した⑧の後は「ライフネット生命」の立ち上げの際の「メンタンピン戦略」が書かれています。

極真空手の試合においても、マージャンやビジネス同様、事前に相手との戦い方を決めつける「ホンイツ戦略」でなく、状況に応じて戦い方を変化させる「メンタンピン戦略」が重要ですね。

マージャンをやったことのない方には、理解しにくいかもしれません(笑)

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