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2013.08.27 Tue
稲盛和夫さんJAL再生
1.先週末、京都・極真祭への往復車中で『稲盛和夫 最後の戦い』(大西康之著 日本経済新聞出版社)を読みました。 副題は『JAL再生にかけた経営者人生』です。
2.JALの破綻から再生までを時系列で見てみます。
『①2010年1月19日、経営不振・債務超過を理由に、日本航空(JAL)は子会社2社とともに東京地方裁判所に会社更生法の手続を申請。
②2010年2月1日、 稲盛和夫・京セラ株式会社代表取締役名誉会長が会長に就任。 2010年2月20日、上場廃止。
③2011年3月28日、会社更生終了。 2012年9月19日、経営破綻に伴う上場廃止から2年7カ月ぶりに、東京証券取引所第1部に再上場。
④2013年3月31日、稲盛会長が退任。』
3.以下は稲盛さんの略歴です。
『①1932年鹿児島県鹿児島市薬師町生まれ。
②1959年、社員8人で京都セラミツク(現京セラ)を設立し、1966年に社長に就任。 1969年、株式上場。 ファインセラミックスの技術で成長する。
③1984年には第二電電(DDI)を設立(後にケイディディと合併し、今日のKDDIとなる)。 その独特な経営管理手法は「アメーバ経営」と呼ばれている。
④2010年1月に日本航空の代表取締役会長として日航再建に取り組むよう、鳩山由紀夫首相(当時)から要請され、2月1日から、日航の会長を無給で務め、見事にJALを建て直すことに成功した。』
4.本書から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①2013年3月19日の退任の記者会見。 経営の一線を去るにあたり、国際競争力を失いつつある多くの日本企業の経営者へのメッセージはあるか、と問われると、稲盛はこう言った。 「日本企業のリーダーは、もっと強い意志力で会社を引っ張っていかなければならない。 経営には格闘技と同じように闘魂がいる。 闘志なき経営はダメだ。 経営者は、自分の会社を何としても立派にしてみせる、という闘魂を燃やしてほしい」
②(京セラから会長補佐としてJALに来た)大田は稲盛のフィロソフィをJALに浸透させるため、稲盛のスローガンをポスターにしてオフィスに貼ろうと提案した。 「新しき計画の成就は只 不屈不撓の一心にあり さらばひたむきに只想え 気高く強く一筋に」 稲盛が尊敬する思想家、中村天風の言葉である。
③この頃、稲盛はある種の達観した境地に至っている。 第二電電とほぼ同時期に、稲盛財団と盛和塾を立ち上げているのだ。 (中略) そうは言っても京セラや第二電電の経営は慈善活動ではない。 ビジネスとしてやるからには絶対に勝つ。 稲盛は私心を否定し利他の心を説く一方で、ひとたび競争になると相手を完膚なきまでに叩きのめす。
④(前略) 無給で取り組んだJAL再生も同じだ。 動機が正しいのだから、自分が負けるはずがない。 ピンチの連続だったJALでの3年間、「失敗するかも、と考えたことは一度もありません。 そういうネガティブな気持ちを一度でも持ったら、本当に失敗していたかもしれませんね」。
⑤「自分は正しい」 一点の曇りもなくそう信じ込めるところが、稲盛の強さである。』
木曜日から中国・煙台です。 事務所は新しいビルに入ったのですが、先月末の出張時には電気系統が未完成(?)で、クーラーが入りませんでした。 軽い熱中症にかかったのか、帰国後に体調を崩しました。 今回はクーラー効くのかな~(笑)
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2013.08.21 Wed
美学
1.月曜日に北京から帰国しました。 今回ビックリしたのは到着した16日金曜日の北京の大気汚染です。 1月末に行ったときは「室内の暖房燃料として石炭を使うことが多いから」と説明を受けましたが、今回はナゼだったんだろ~?
2.17日土曜日に新幹線に3~40分乗って天津に行きました。 わざわざ迎えに来てくれた李さんたちが言うには「昨日まで効いていた車のクーラーが今日になって壊れたんです」とのことでした。 その車で何ヵ所か案内してもらいましたが・・・(笑)
3.往復の飛行機と新幹線の中で3冊の本を読みました。 そのうちの2冊の中に「美学」についての記述があったので抜粋し、番号を付けて紹介します。
(1)『タモリ論』(樋口毅宏著 新潮新書)
『①タモリが赤塚不二夫の弔辞を吹聴することがないようのと同様、明石家さんまも不幸で人の涙を搾り取ることを良しとしません。 なぜか? それが彼らの「美学」だから。 お涙頂戴ほどこの世で簡単な、そして低俗なやり口はないと知っているから。
②さんまは芸人として駆け出しだった頃を除けば、インタビュ―どころか、楽屋などの舞台裏でカメラを回すことも許していません。 「陰」は見せたくない、「陽」の顔しか見せたくないから。 そのアティチュードはまるで往年の大スターのようです。』
(2)『人間にとって成熟とは何か』(曽野綾子著 幻冬舎新書)
『①最近では、受けて与えるのが人間だという自覚は全く薄くなった。 長い年月、日教組的教育は、「人権とは要求することだ」と教えた。 これが人間の精神の荒廃の大きな原因であった。 しかし少なくとも(カトリックの信仰を基準にした教育を受けた)私は「人権とは、受けて与えることです」と教えられて育った。 (中略)
②昔、少なくとも明治生まれの母たちの世代には、もう少し別の「美学」があった。 その当時の人々は、今の高校二年生までに当たる女学校を出ていれば高い教育を受けた方であった。 (中略) 今の人たちに比べると、教育の程度はずいぶん低かったのである。
③しかし精神の浅ましさはなかった。 遠慮という言葉で表わされる自分の分を守る精神もあったし、受ければ、感謝やお返しをする気分がまず生まれた。』
4.「美学」の意味をネットで検索すると次のように出てきます。
『① 美の本質、美的価値、美意識、美的現象などについて考察する学問。
② 美しさに関する独特の考え方や趣味。 「男の美学」など。』
上の2冊で言っているのはもちろん②の意味です。
5.私にも私なりの「美学」があります。 けっこう頑固(?)な性格なので私の「美学」から外れていること・もの・人物とはなるべく関わりたくありません。 ときどき、「もう少し広い心を持たなくては」と自分自身思わないでもありませんが(笑) たまたま同時期に読んだ2冊の本の中にあった「美学」という言葉に惹かれたので取り上げました。 私の「美学」ですか? 今日は内緒にしておきましょう(笑)
6.北京の「前方が見えなくなるほどの大気汚染」は到着した16日だけでした。 翌日から晴れたので解消したのかもしれません。 天津も暑かったけど空気はキレイでした。
7.週末は京都で極真祭です。 明後日の金曜日から入ります。
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2013.08.15 Thu
スマイル
1.日本中が猛暑となっていますが、昨日と今日は全日本大会に向けて朝錬です。 稽古中、選手たちにリミッターの話をしました。
2.8月2日のこのブログでも、脳がつくり出す(?)リミッターについて、認知神経生物学が専門の泰羅雅登(たいらまさと)教授への取材記事を取り上げました。 その記事の中に次のような記述があります。
『「昔からいわれているように、つらいときでも笑いをつくれば楽しくなる。 だから、走っているときは、つらくても笑顔をつくったほうがいい」(泰羅教授) 苦境が訪れても、意識的に笑顔を保つことで脳に『まだ大丈夫』と思い込ませることができるかもしれない。 このへんはランナーと脳との駆け引きになる。』
3.最近配信された公認会計士・藤間秋男先生のメルマガにカール・ルイス選手のことが書かれていました。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①マイルドとは、穏(おだ)やかで、安らかで、和やかで、のどかで、柔らかな様子を言う。 その逆は、ものものしい、威圧的、鋭い、にらみつける、いらだち、角張る、などだ。
②マイルドにはゆるみがあり、その反対は硬(かた)さがある状態。 スポーツにおいて、硬さは、「歯をくいしばれ」とか、「力の限り頑張れ」という言葉に代表される。
③カール・ルイス選手は、オリンピックに4大会連続で出場し、通算9個のメダルを獲得したアメリカの陸上競技の選手だ。 彼は、コーチに、「50m過ぎたところから笑え」という指導を受けたという。
④笑うと緊張が緩(ゆる)み、筋肉も柔らかくなり、リラックスできる。 そのことで、思わぬ力を発揮できるという。
4.また、藤間先生の直近のメルマガではマラソンの高橋尚子選手のことが取り上げられています。 これも抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①自分の実力を遺憾なく発揮する選手たちは、結果が出たから感謝するのではなく、感謝するというライフスキルを実践するからこそ、フロー化が起こりパフォーマンスが高まり、結果を出しているのだと考えられる。
②このライフスキルの持ち主で思い出すアスリート代表は、マラソンの高橋尚子選手だ。 これまでのマラソンランナーは、周りの期待に応えるために走っている中、彼女は違っていた。
③まず、どんな時もフルマラソンを走れることに感謝しながら走っていたそうだ。 そして沿道の人たちにも感謝。 さらには、30キロ付近で競り合っているライバルにすら感謝していたと聞く。
④30キロの一番きついところで、「こいつだけには負けるか」と考えていると、身体は緊張し、筋肉は硬くなるだけではなく、末梢血管は収縮して酸素の供給も悪くなり、パフォーマンスは低下する。
⑤相手にすら感謝する状況はフロー状態を作るので、身体のパフォーマンスは低下することなく、パフォーマンスを維持・向上させる。
(「ゾーンに入る技術」 辻秀一 著 フォレスト出版より)』
5.どうも私たちの肉体的な状況や限界は、私たち自身の態度や考え方にも大きく左右されるようです。 ある程度の期間、トレーニングを見ていると、選手それぞれの脳内リミッターがかかる(ペースが落ちる)ときの特定の態度が目についてきます。 昨日は善十朗とそんな話をしましたが、今朝は「スマイル(笑顔)」の重要性をファブに話しました。
フランス語では「スマイル」のことを「sourire」と書き、「スーリール」と発音するそうです。 「スリー(3)に似ているね」と言うと「そうですね」と言っていましたが、わかったのかな~(笑)
明日から北京・天津です。 天気予報を見ると最高気温は35度前後ですが、最低気温が24度ぐらいなので夜は東京よりましかも。 でも空気が悪いからな~(笑)
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2013.08.10 Sat
神様にほめられる生き方
(1)春日大社権宮司の岡本彰夫さんが書かれた『神様にほめられる生き方』(幻冬舎)を読みました。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『1.①「瑞気(ずいき・・・めでたい気、新鮮でかつ美しい気)」を呼ぶと家が栄えます。 来客が多い家は栄えるといいますが、人々で賑わい、談笑が絶えないと活気が家に充満し、繁栄をもたらすのです。
②家だけではありません。 人もそうです。 陰気な人では瑞気は呼べません。 何事にも前向きで陽気な人には瑞気も集まってきます。 笑うことが大切で、神様もよくお咲(わら)いになることが『古事記』にも書かれています。
2.①普通、我々が家を建てる場合、家に合わせて土を削り、聖地をします。 ところが春日大社では神の地に人間が触れることを畏れ多いとして、地形には一切手をつけず、地面に合わせてお社を建てているのです。 そのため、回廊は登り楼が多くなりました。
②つまり、人が決して侵してはならない神聖な神の領域があるということを、この回廊から学ばせていただかねばならないのです。 (中略) この世には、知ってはならないことや立ち入ってはいけない場所があり、神仏の領域を詮索することは慎むべきなのです。
3.①神様は絶対おいでになるという確信を持つ瞬間(とき)があります。 もちろん、それまでに何度もふるいにかけられ、ときには、神も仏もあるものかという思いでいっぱいにさせられます。
②それでも、「いや、必ずおいでになる。 きっと見ていてくださるのだ」と信じて、一所懸命苦しい坂道を上っていると、あるときそっと教えてくださいます。 「いるぞ」と。
③もっとも、この体験は人に話してわかってもらえるものではありません。 すべては偶然で片付けられてしまいます。 でも、本人だけは、これは神仏の力以外では為し得なかったと、確信を得る瞬間があるのです。
4.①二宮尊徳は、風呂の湯を例に出してこんなことを言っています。 「風呂の湯は、自分のほうへかき集めようとすると、反対側へ流れてしまう。 けれども向こう側へ押すとみな手前に返ってくる」と。 これは自らの利益を得ることを考えず、人に施すことをせよという教えです。
②自分だけのために利益を得ようとしていたら、すべて失っていく。 しかし、人様のためになることをすると、まわりまわって必ず自分のところへもその徳が及びます。 (中略)
③もちろん、それを見越して「いずれ自分にまわってくるだろう」と思いながら施すのでは意味がない。 心から相手のことを考えなければなりません。』
(2)①カラダ全体が痛いという患者が医者に行った。
②「先生あらゆる場所が痛いんです。 指で膝を押すとイタ! 頭を押してもイタタ! 胃を押してもイタ! 顔を押しても痛い!」
③「ちょっと見せてください。 あー分かりました。 指の骨が折れていますね。」
(公認会計士・本郷孔洋先生のメルマガ8月5日配信分より)
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2013.08.02 Fri
リミッター
1.『修行論』(内田樹著 光文社新書)を読みました。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①たしかに人間は、ぎりぎりまで追い詰められると、どこかで「リミッター」が切れて、「こんなことが自分にできるとは思わなかった」爆発的な身体能力のブレークスルーを経験することがある。 これは長距離走における「セカンド・ウィンド」と呼ばれる現象に似ている。
②もう限界だ、これ以上一歩も足が進まないというところまで追い詰められたときに、ふいに「背中を押す風」が吹き、筋肉疲労が消え、足が軽くなることがある。
③むろんこれは脳内麻薬物質の効果にすぎない。 筋肉の苦痛とは、「もうこれ以上身体に負荷をかけない方が、生物学的には、望ましい」という、身体からの警告である。
④そのアラームが消えるのは、「いくらアラームを鳴らしても、この人間は筋肉に負荷をかけることを止めない。 それはおそらく、一時的に健康を害しても、成し遂げなければならない緊急性の高い仕事を今しているからだろう」と身体が判断して、最初の判断を撤回するからである。
⑤肉食獣に追われているようなときには、「そんなに走ると健康に悪い」という判断で、走行にリミッターがかかったら、追いつかれて死んでしまう。 そのほうが健康に悪い。
⑥「より健康に悪いことを回避するという緊急避難装置としてなら、人間は一時的にはかなり健康に悪いことができる」。 これは生物としては合理的な機制である。
⑦ある種の競技やスポーツで行われている「つよい負荷をかける練習法」は、この機制を利用したものである。 青筋を立てて怒声を張り上げる監督やコーチは、象徴的には「肉食獣」である。 彼に捕食されないために、選手たちは必死で「健康に悪いこと」をする。』
2.マラソンにおけるリミッターについて、7月26日の日経新聞に認知神経生物学が専門の泰羅雅登(たいらまさと)教授への取材記事が掲載されていたので、抜粋し番号を付けて紹介します。 ※「」の中が泰羅教授の発言部分です。
『①「総司令部である脳は末端の状態をみていて、ここが危ないと思ったらストップをかけるのが基本戦略。 脳を擬人化して語るのは好きではないが、脳は体が死んだら『自分』も死んでしまうと考えているので、無理をする前にランナーを止めようとする」
②水分の枯渇など体に問題が生じると本物のリミッターが働く。 「しかし、脳が偽物の痛みをつくり出してリミッターを掛けることもあるような気がする」
③少し話がずれるが、実は脳の中には痛みを抑えるシステムが存在する。 たとえば、兵士が戦場で深い傷を負っても痛みを感じないことがある。 兵士を戦場から生還させるため、つまり個体を守るために脳がリミッタ-を外すのだという。 俗にいう『火事場のバカ力』とはこのことだ。
④「昔からいわれているように、つらいときでも笑いをつくれば楽しくなる。 だから、走っているときは、つらくても笑顔をつくったほうがいい」 苦境が訪れても、意識的に笑顔を保つことで脳に『まだ大丈夫』と思い込ませることができるかもしれない。 このへんはランナーと脳との駆け引きになる。』
明日から山中湖で夏季合宿です。 参加される方は安心してください。 合宿中、皆さんを追い詰める「肉食獣」はいません(笑)。 楽しく稽古しましょう。
合宿が終わると、11日(日)まで道場は夏季休暇で休館となります。
その間、全日本大会の出場選手たちは、長野県・蓼科で高地トレーニングだそうです。 そこには「肉食獣」がいるかも(笑)。 詳しくは先月末に発売された『ワールド空手』9月号をご覧になってください。
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