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2011年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2011年03月

塩野七生先生『現実を見極める』

『ローマ人の物語』の著者である塩野七生(ななみ)先生の『生き方の演習――若者たちへ――』(朝日出版社)を読みました。  高校生から大学初年頃の若者を対象にした講演会(1998年)の内容を本にしたものです。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①これからレールを敷きはじめようとしているあなた方にとって、どのようなことが大切か、私が思っていること、それをお話したいと思います。

②まず、一番大切なのは現実はどうであるのかということです。  その現実を見極めることだと思います。

③皆さんは、テレビや新聞などを見ていればそれで現実がわかると思っているのかもしれません。  では、ほんとうにわかるのかというと、ジャーナリストたちが嘘をついているわけではないけれど、それだけではわからないんですね。

④イギリスにBBCという放送局がありますが、ここは、動物のドキュメンタリー番組で非常に定評があるところです。  そのBBCの作った動物のドキュメントには、動物同士が殺し合うところまでちゃんと映されているのです。

⑤ライオンは群れの中に大人のボスがいて、それが他のオスと交代する時があります。  交代というのは世代交代と言いましょうか、つまり強者がとって代わるわけですね。  その時に、先代のボスの子の子どもライオンが殺されることが多いのです。

⑥そういう場面も、BBCのドキュメントではきちんと映されます。  なぜなら、それが動物の世界の現実だからです。  ところが、それとまったく同じドキュメンタリー番組が日本の放送局で放映されると、そういう場面がカットされてしまうんですね。

⑦なぜそんなことをするのかと言いますと、つまり、日本人にとっての動物というのはかわいいもので、その動物同士が――しかも同種の動物の間でも殺し合うというような場面を見せてはいけないというか、避けたほうが無難だということです。  日本のマスメディアでは、とかくそういうことがなされていると思います。』

普段はテレビをあまり見ませんが、NHKの『ダーウィンが来た!』(日曜日の午後7時30分から)だけは毎週見ています。  塩野先生が言われるような場面は少ないようです。  ただ個人的には、動物が殺されるような映像は見たくない、という思いもあります。

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萩本欽一さん『三つの運』

『ダメなときほど運はたまる』(萩本欽一著 廣済堂新書)を読みました。  『はじめに――目の前には三つの運がある』から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①だれにでも運と不運は平等にきます。  だから今がついていない時期なら、そのあと幸運な時期がきっとくるはずです。  不運の度合いが大きければ大きいほど、これからやってくる運も大きくなるの。

②だからつらくても「今は運をためてる時期なんだ」と思って耐えていれば、いつか状況は変わっていきます。  運の神様は、そうそう一人の人間ばかりいじめません。


2.①僕が思うに、運を大きく分けると、三つの種類があるような気がします。  最初の運は「生まれながらの運」。  大金持ちとか立派な仕事をしている家に生まれたから、運がいいわけじゃないんです。  むしろその逆。

②つらい環境や子育てに向かない親の元に生まれてきた人って、最初から運がプラスの状態になってるの。  世間の人から、「かわいそうな生い立ちね」と言われる人は、僕から言わせればすごくラッキー。  

③こういう人は、自分の境遇を恨まず、ごくふつうに生活を送っているだけで、必ず幸運がやってくるんです。  その代わり、今目の前にある現実を嘆いたり、親を罵(ののし)ったり、不平不満を言うたびに運はだんだんと消えていきます。


3.①二つ目の運は、誰かが持ってきてくれる運。  生まれた環境には関係なく、向こうからやってくる運です。  といっても、だれにでもやってくるわけじゃなく、いくつか条件があります。

②たとえば人から好かれている人には、ちゃんとだれかが運を持ってきてくれます。  いやなことをじっと我慢している人にも、運は必ずきます。  人間関係に悩んでいる人、いじめられている人にも、大きな運がきます。


4.①三つ目の運は、努力した人の元へやってくる運。  「努力は人を裏切らない」という言葉がありますが、運の神様も努力している人を裏切りません。

②コツがあります。  「努力は隠れてしろ」  「いいことをすればだれかが必ず見ていてくれる」  世間的にはこれがかっこいいことになっているでしょ。  でも、本当に隠れてやっていると、運の神様には見えないかもしれない。  だから、一見隠れているようだけど、だれか一人ぐらいには見てもらえるようにするのがいいの。

③だから受験勉強するときはお母さんにチラッと見えるようにドアを薄~く開けておくとか、夜サッカーの練習をするときはコーチの家の近くでするとか、運のためにちょっと工夫したほうがいいの。  そうするとたまたまそれを見たお母さんやコーチが、神様の代わりに運をくれるかもしれないですからね。』

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自分でテスト

昨年の10月から週3回中国語の授業を受けています。  でも年のせいか、努力不足か、習った端から忘れてしまうといった感じです(笑)。

そんな私にとって興味深い記事が2月6日の日経新聞に出ていました。  タイトルは『自分でテスト 記憶残りやすく』です。  番号を付けて紹介します。

『①教科書などで学んだことをきちんと覚えたかどうか自分でテストする作業が、他の学習法に比べて効率的に記憶を定着させるという研究結果を、米パデュー大のチームが米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。

②テストで学んだことを思い出すと、知識の構造に大きな影響を与える可能性があるという。  知識を詰め込むより、脳から引き出すことの重要性を示唆する結果で、研究チームは「日常の学習に、思い出すというプロセスを盛り込むべきだ」とアドバイスする。

③研究グループは、学生80人を4組に分け、それぞれに、科学の教科書を①1回読む ②4回繰り返し読む ③教科書を観ながら図表化する ④教科書を読んだ後、本を伏せて覚えた内容を書きだす自己テストを2回繰り返す――という作業に取り組ませた。

④1週間後にどの程度覚えているかを試験すると、①1回だけ読んだ組の正答率は平均27%、②4回の繰り返しは49%、③図表化は45%だったのに対し、④自己テストをした組は67%と最も成績が良かった。』

反復の重要性は分かっていたつもりですが、ただ「繰り返す」だけでなく「思い出す」という作業が効果的なんですね。

  

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三井八郎兵衛と松田優作

1.『暁の群像――豪商 岩崎弥太郎の生涯――』(南條範夫著 文春文庫)を読みました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①(三菱の始祖)岩崎弥太郎はすでに33歳だ。  ――このまま、土佐の一商賈(しょうこ・・・商人)として埋もれてしまうのか。  と考えると、時には居ても立ってもいられない焦慮に襲われる。

②――俺にはどういうものか運が向いて来ないらしい。  少々自棄(やけ)になりかけていた時、丸十の主人瀬左衛門から聞いた話が、崩れそうになっていた彼の精神を立て直した。

③「三井家の始祖の八郎兵衛という人のことですがな。  いや、何とも偉いお人じゃ」と前置きして、瀬左衛門は、彼自身も、大阪で聞いてきたその話をしてくれたのだ。

④八郎兵衛高利は、若い時江戸に出て長兄の三郎左衛門俊次の店で働いて、将来の大富商を夢みていたが、28歳の時、郷里の伊勢松阪に戻った。  母を扶けて質屋業をやっていた次兄の三郎兵衛重俊が死んだからである。

⑤24年間、黙々としてそこで働いた。  八郎兵衛が、江戸に出て、若い時に中絶した夢を実現すべく再出発したのは、母を見送った52歳の時であった。

⑥そしてその愕くべき商才と努力とは、死に至る20年の間に、彼を江戸第一の呉服商兼両替商に、仕上げたのである。

⑦「20年であれだけの富を築いたのも偉いが、そのどえらい才略を持ちながら、母御のために、50幾つまで20何年も、松阪の片田舎で黙って働いておられた心が尊いものじゃ」

⑧瀬左衛門がそう言ったのは、暗に、弥太郎を訓(さと)す気持ちがあったのかどうか分からないが、弥太郎にはまさしく強い影響を与えた。  ――そうだ、機会はいつ来るか分からぬ。  まだ諦めるには早い。  と自分を説き伏せて、できるだけ明るい気持ちで働こうと努力している。』


2.昨年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」で岩崎弥太郎役を演じた俳優・香川照之さんが、ガンと知りながらアメリカ映画「ブラックレイン」に出演した俳優・松田優作さんの壮絶な“ラストデイズ”を辿る、ドキュメンタリー『「ラストデイズ」 「お前は、オレになれる」 松田優作×香川照之』の再放送を30日の日曜日に観ました。  NHKホームページの番組概要から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①「人の人生は、その最後に輝きを放つ」  この番組は、時代を駆け抜けた巨人たちの“ラストデイズ”を、今、同じ道を歩む者が辿るドキュメンタリー。  道を究めんと格闘する日々を、“追体験”することで、その熱い“生き様”に迫ります。

②今回は、がんと闘いながらも映画「ブラックレイン」でハリウッドを震撼させた俳優・松田優作さんの“ラストデイズ”を、「龍馬伝」で岩崎弥太郎役を演じた香川照之さんが辿ります。

③香川さんには、松田さんに「墓を暴いてでも」その真意を確かめたい“謎”があります。  21年前、松田さんの遺作となったTVドラマで共演を果たした香川さんは、雲の上の存在である松田さんから、「お前はオレになれる」という意味深な言葉をかけられます。  だがまもなく松田さんは他界してしまいました。
 
④あの時、松田さんは自分に何を伝えようとしたのか、その答えを探すために、香川さんは、“ラストデイズ”を辿る旅に出ます。

⑤“ブラックレイン”の撮影地・ロサンゼルスを始め、およそ1ヶ月に及ぶ今回の旅を通じて、香川さんは20年来の“謎”にどんな答えを見いだすのか?』

前にも書きましたが、松田優作さんは昭和44年に極真会館総本部に入門されていたようです。  ある先輩に聞いたのですが、体が大きかったこともあり、初めての審査会でいきなり緑帯になったそうです。

無茶なタイトルですが、岩崎弥太郎つながりでした(笑)。

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