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2010年03月 | ARCHIVE-SELECT | 2010年05月

阿佐田哲也さん『勝つ人柄はつくれる』

『ツキの波』(竹内一郎著 新潮新書)を読みました。  竹内一郎さんは「さいふうめい」の名前で、1997年から2004年まで『週刊少年マガジン』で連載された『哲也 雀聖と呼ばれた男』の原案を担当しています。

1.『はじめに』から抜粋して紹介します。

『ツキを支配や制御することはできないが、現象はあるのだから、利用できないだろうか、と誰よりも深く考え、語り続けた作家がいる。  麻雀小説で一時代を画し、雀聖(麻雀の神様)と呼ばれた、阿佐田哲也(直木賞作家の色川武大)氏である。  本書の目的は、彼が生涯をかけて語り続けた「ツキ」というつかみどころのないものについて考えてみることである。』

2.『勝つ人柄はつくれる』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①『阿佐田哲也の麻雀秘伝帳』には、「〝勝つ人柄〟はつくれる」とある。

②「マージャンの玄人がするフェイスはたんに無表情ではない。  無表情は陰気で気持ちが悪い。  気持ちが悪いやつは相手に嫌悪感を抱かせる。  嫌悪感は疑惑につながる」(同前)

③阿佐田は、大らかでニコニコした感じが「勝つ人柄」だという。  

④「あいつは、どんな手に振り込んでも、笑っている。  スケールがでかいのか、回復できる自信があるのか」(同前)  そう思わせることである。  相手はそれだけで当惑する。

⑤漫画や映画では、ギャンブラーといえば苦みばしった二枚目が渋い顔をしているようなことが多い。  実際にそういうタイプの強者もいないわけではないのだが、どうもそれは多数派には思えない。  

⑥(プロ麻雀師の)井出洋介氏、金子正輝氏も見た目は極めて柔和である。  一見、とても勝負師には見えない。

⑦麻雀を離れてみても、たとえば将棋の羽生善治氏や競馬の武豊氏。  いずれも阿佐田のいうところの勝つ人柄にあてはまるような気がする。』

昨日は、私のブログでもたびたび紹介させていただいている公認会計士・本郷孔洋先生の食事会に誘っていただきました。  本郷先生のブログ同様、大変楽しい会でした。

明日から5連休ですね。  よい休日を!

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ビル・グロス『己・事実・本質を知れ』

日経ヴェリタスの連載『ビル・グロス 債券王の奥義』4月18日分のタイトルは『「己を知れ」 偉人に学んだ投資の根幹』でした。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『投資家は経済だけでなく人間を知る必要がある――これが米債券運用大手ピムコの最高投資責任者、ビル・グロス氏の持論だ。  答えは自室に掲げた伝説の3人の写真にある。  1世紀前を生きた3人のメッセージはグロス氏の投資姿勢の根幹だ。

1.ジェシー・リバモアは1907年の金融危機や29年の株価大暴落に乗じて空売りで大もうけし、米屈指の富豪にのし上がった投機家。  一方で綿の投機で全財産を失うなど8度の破産も経験した。  「己を知れ」は成功と失敗が生んだ教訓だ。

「例えば自分が悲観的な人間でリスクを避けすぎる性格か、逆に楽観的でリスクを取りすぎるのか。  それが分かれば、どんな状況になれば自分がどう反応する人間なのかも分かります。  自分を客観的に見ることができれば間違いにも気づくでしょう。」

2.バーナード・バルークはリバモアと同じく1907年には空売りで財産を築いた。  メッセージは「事実を知れ」だ。  

「①人は恐怖を感じたとき、事実を見失って真っ暗に感じるものです。  でも、行き過ぎは修正されるので希望を持てと。

②しばらくたてば希望が事実を逆に通り越して、無から有が生まれるかのような錯覚に陥る。  でも、貪欲は禁物という警告です。

③事実をとらえることで極端な悲観や楽観を和らげることができるのです。」

3.金融王ジョン・ピアット・モルガンの写真には「融資の基準は財産ではなく人格だ」と名言を沿えている。  見かけではなく「本質を知れ」という意味だが・・・。

「投資家は資産の価値を計って値段をつけはじめました。  ところがモルガンは警告します。  「違う。  人格だろ」と。  資産ではなく、資産のオーナーに目を向けろと言うのです。」』

ゴールデンウィークが始まります。  明日は昭和の日(昭和天皇の誕生日)です。  よい休日を!

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宋文洲さん『消費者に適応する』

先週末に配信されたソフトブレーン創業者・宋文洲さんのメルマガ『論長論短』のタイトルは『嘘、消費者が企業を育てる』です。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①最近よく思うのですが、「消費者が企業を育てる」という言い方は本質を間違えているような気がします。  地元の企業が地元の消費者と同じ低いレベルから共に成長する場合、「消費者が企業を育てる」ように見えますが、これはあくまでも土着企業の論理です。

②複雑な消費層と消費パターンが混在する未知の市場(しかし、これこそ真の市場)においては、消費者が企業を育てるのではなく、企業が消費者に適応するのです。

③企業は合理化の固まりです。  1円のコストに1円以上の収入が無いとやっていけないのです。  ということは品質を消費者に決めてもらうしかありません。  1円のコストをかけた品質が消費者から0.1円の価値しかないと思われるとその企業は大損を抱える訳です。

④「1円のコストに1円以上の品質」を感じてもらえるかどうかは結局、適応能力であり、成長力ではないのです。  だから「育てられる」のではなく、適応するのです。

⑤企業と消費者が同じ場所と同じ発展段階を共有できるのはむしろ特殊なケースであり、普遍的ではないのです。  戻って日本の高度成長を考察してみると、あれは地元の企業が消費者の成長に適応(順応)するプロセスであり、育てられるプロセスではないのです。

⑥より広い市場、より複雑な市場に適応できるようにこれまでのビジネスの常識から本質を抽出してこそ、これまでの経験が無駄になりません。  そのままの適応は完敗を意味します。  顧客が企業を育てるのではなく、顧客に適応する企業が育つのです。』

何度も紹介していますが、ダーウィンが『種の起源』で言っていることは『環境変化に適応した種だけが生き残る』ということです。  企業の生き残りも一緒ですね。    

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鳥居徳敏先生『サグラダ・ファミリア』

昨日の朝日新聞夕刊の連載『世界遺産に生きる』でサグラダ・ファミリア(スペイン・バルセロナ)を取り上げていました。  専属彫刻家の外尾悦郎さんと神奈川大学教授の鳥居徳敏先生に関する文章です。  外尾さんについては昨年5月14日のブログで紹介していますので、鳥居先生についての記述から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①ガウディは特異な造形で建築史に名を刻んだ。  直線を排して波打つ外観の邸宅があれば、ヤシの木を模した柱が並ぶ回廊がある。  

②集大成がサグラダ・ファミリアで、構想40年。  完成すれば170メートルを超す「イエスの塔」など18の塔と三つの門を持つ。

③ところが最初の塔ができた翌1926年、ガウディは市電にはねられ息を引き取る。  30年代のスペイン内戦で設計図は焼かれ、模型は壊されてしまった。

④設計図なき後、サグラダ・ファミリアの建築現場でバイブルになっている本がある。  神奈川大学教授の鳥居徳敏が、スペイン内戦で散逸した資料を集めて刊行した。

⑤建築家を志してスペイン留学中の74年、バルセロナで地下鉄の駅から出た鳥居は眼前の建物に体がしびれた。  壁は光を反射して波打つよう、色ガラスは輝いて――これがガウディか。

⑥スペインの研究書を手当たり次第に読んだ。  サグラダ・ファミリアの造形には起源があるはずだ。  ガウディは自分が設計したモロッコの伝道会本部だと言っている。  ではその発想の源は?

⑦鳥居は資料を探し、バルセロナ出身の冒険家がエジプトでスケッチした建物に行き着く。  幾つもの塔が並ぶ図版は1892年の出版で、ガウディが伝道会本部を計画していた頃だった。

⑧鳥居はガウディが生きた時代の写真や雑誌を片端から集め、年代順に並べた。  そして計800ページの大著「ガウディの謎に満ちた世界」をまとめる。』

昨年も書きましたが、サグラダ・ファミリアにはぜひ一度行きたいと思っています。

明日・明後日は国際親善大会(幕張メッセ)、月曜日は大山倍達総裁の16年祭(秩父・三峯神社)です。  

良い週末を!

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岡田正彦先生『認知症予防』

4月18日の日経新聞の連載『ほどほど健康術』は新潟大学教授の岡田正彦先生が書かれています。  タイトルは「運動・食事工夫で認知症予防」です。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①欧米には認知症に関する大規模調査が数多くあり、予防につながるヒントがいろいろ分かってきた。

②予防効果がもっとも大きいのは運動だ。  日々の運動量が多い人ほど、明らかに認知症になりにくい。  ただ、ある程度の運動量が必要で、最低でも週に90分くらいの散歩をしなければならない。

③食事とも関係が深い。  ポイントは「野菜、果物、豆類、パン、脂がのった魚を多く取る」 「動物性脂肪より植物性脂肪の割合を大きくする」ことだ。

④こうした情報は海外の調査で得られたものだが、和食に置きかえれば、ご飯、みそ汁、豆腐、納豆、ごま油などは優良食品ということになる。

⑤ほどほどの酒を飲んでいる人も認知症になりにくい。  肥満や喫煙も影響が大きい。  特にたばこは本数に比例して認知症になる割合が高まる。』

野菜・果物・納豆・パン・魚を食べて空手の稽古を続けていれば大丈夫ですね。  もちろん、タバコと体重オーバーはダメですよ。  ところで、ほどほどの酒ってどれくらいの量を言うんだろう?(笑)

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地質学者ダーウィン

しつこいようですが、またダーウィンです(笑)。  4月14日の日経新聞夕刊に国際高等研究所所長・長池和夫さんが『地質学者ダーウィン』という文章を書かれていました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①4月19日は英国の科学者、チャールズ・ロバート・ダーウィンの命日である。  昨年は彼の生誕200年、進化論を展開した「種の起源」の出版から150年でもあり、世界各地でさまざまの行事が行われた。

②「学術の動向」3月号は、2つの特集を組んだ。  (中略)  その中で、わたしがとくに興味を持って読んだのは、矢島道子さんによる「ダーウィンと地質学」であった。

③ダーウィンというと生物学者だと思っている人が多いが、実は地質学者である。  ダーウィン自身が1838年のノートに「私は地質学者であるけれども・・・」と書いているという。  ヨーロッパではダーウィンが地質学者という認識は最近になって確立した。

④ダーウィンが生まれた町シュルーズベリーは多様な地質の見られる場所である。  町にある「ベルストーン」という、どこから来たかが不明の迷子石に、彼は興味を持ったと自伝にある。  氷河が運んできた石であることが19世紀の中ごろわかった。

⑤地質学から地球の長い時間の営みを学んだダーウィンは、それを生物進化を考える基本にしたと、矢島さんはこの解説を結んでいる。』

『種の起源』の中にも「地層と化石」に関する記述が多くあります。

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北方謙三先生

1.『児玉清の「あの作家に会いたい」』(PHP研究所刊)を読みました。  児玉清さんと25人の作家との対話集です。  北方謙三先生との対話の項から抜粋して紹介します。

『(北方)仲間と同人誌を立ち上げたら、そこに書いたものが『新潮』に転載されて、いきなり〝大学の星〟ですよ。

(児玉)それで、そのまま作家になられたわけですか。

(北方)『新潮』の編集長から「君は大江健三郎以来の学生作家だ。  天才だ、頑張れ」と言われましてね。  で、何の疑問も持たずに純文学をやろうと思ったわけです。 

(児玉)就職せずに最初から筆一本で食べていこうと思われたというのが、すごいですね。

(北方)でも、いつまで経(た)っても認められない。  十年してようやく、「俺は天才じゃない。  ただの石ころだ」と気づいた。

(児玉)その間も、たくさん書いてこられたわけでしょう。

(北方)自分の背丈を越えるくらいの枚数の原稿用紙を文字で埋めました。  でも、発表できたのはたったの四編です。

(児玉)そんなにご苦労されていた時代がおありだったとは。  年齢的にも三十を過ぎて、焦りも相当なものだったでしょう。

(北方)同期に中上健次がいたんですが、彼は文学として表現せねばならない叫びを一杯抱えていて、小説を書くために生まれてきたような人間でした。  僕のほうが流麗な文章を書くし構成もうまいのに、僕はそこまでして書かなければならないものがなかった。  それが、当時の敗北的な自覚でした。』

2.①北方先生は掌道鍼灸整骨院の菊澤院長の古くからの患者さんです。  その縁で10年ほど前に紹介していただきました。  私が中央大学の後輩であることが分かると、その時から「山田」と呼んでいただいています。

②一年ほど前、松井館長と川島智太郎と一緒にある寿司屋に入ったところ、偶然、北方先生がいらっしゃいました。  その席でも「山田」と親しげに呼びかけていただきました。

③ところが同じ中央大学出身の松井館長には「松井さん」と話しかけられます。  酔った勢いもあって「先生、館長には『さん付け』で私は『呼び捨て』ですか。」と冗談を言いいました。

④すると北方先生は「だって、山田は100人組手をやっていないだろう。」と言われました。  納得(笑)。

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小林正観先生『二つの幸せ論』

『幸も不幸もないんですよ』(小林正観著 マキノ出版刊)を読みました。  「終わりに――二つの幸せ論」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①日本の社会全体を覆(おお)っている、「幸せ論」というものがあります。  どういう幸せ論かというと、足りないものを(たとえば10個)リストアップして、その足りないものを手に入れたときは幸せだと思ってよい。  しかし、手に入らないうちは、ずーっと不幸なのだという幸せ論です。

②実は、幸せ論にはもう一つの考え方、もう一つの仕組みがあるように私は思いました。  足りないものを10個挙げ連ねて、それが手に入らない間は不幸である。  この考え方も否定はしません。

③しかし、よく考えてみましょう。  足りないものを10個挙げ連ねているエネルギーを、すでにいただいている9990個のものを1個ずつずーっと挙げていく。  こちらのほうにエネルギーを転換したとします。  そうすると、すでに自分が恵まれていると思われるものが、ものすごくたくさんあることに気がつきます。

④そして、同じエネルギーを使ってものを探すにしても、手に入っていないものを探すより、手に入っている、恵まれていると思われるものを挙げていくほうがはるかに楽しくて、幸せであることに気がつきます。  こちらのほうの幸せ論も、もう一つあることに私は気づきました。  

⑤すでに手に入って恵まれているもの。  例えば、目が見えること。  これはあたりまえではありません。  世の中には、目が見えない人がたくさんいます。  目が見えることはあたりまえのことではなく、ものすごくありがたいことなのです。  ただそれに気がついていないので、目が見える人は、目が見えることに感謝をほとんどしません。  (中略)

⑥社会全体が(①の)幸せ論を教え込んだにもかかわらず、100%の人がそうなったわけではないのです。  1%の人は違う価値観で、違う(④の)幸せ論を見つけ出してしまいました。  その1%の人は、病気になったり、事故に遭(あ)ったり、災難・トラブルに巻き込まれた経験のある人たちでした。  なにもない平穏な日々の積み重ねが、どれほどありがたくて幸せであるかということに、体験的に気がついてしまったのです。

⑦すべてのことはすばらしくありがたいことなのだ、と気がついたら、そこに山ほど幸せが転がっています。  どれほど数えても数え切れないほど幸せが転がっています。  そこに膨大(ぼうだい)なる幸せと感謝の世界が広がっています。』

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ヘミングウェイの流儀

1.『ヘミングウェイの流儀』(今村楯夫・山口淳著 日本経済新聞社刊)を読みました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①20世紀を代表する文学界の巨人の中でヘミングウェイほど大衆の心をとらえた作家はいないだろう。

②ヘミングウェイがJ・F・ケネディやジェームズ・ディーンらと並び20世紀アメリカのアイコン(ICON・・・象徴・偶像)として多くの人々の記憶に留められ続けているのはむろん彼の文学的功績と商業的な成功抜きには成立しない。 

③だが、それだけではない。  実際、作品を読んだことがない人にもヘミングウェイほど顔やライフスタイルについて知られている作家はいない。

④ヘミングウェイについて書かれた研究書や書籍に、釣り、酒、食、狩猟、キューバでの生活、いきつけのバーやホテルを扱ったものや写真集が多いのも時に作品以上に彼のライフスタイルが魅力的だったからに他ならない。』


2.何度も書いていますが、2006年10月にキューバに行きました。  そのとき、ヘミングウェイに関連する次のような所も見て回りました。

①かってのヘミングウェイの家で、今ではヘミングウェイ博物館となっているところ(ちょうど改装中でした)。

②ヘミングウェイの定宿、ホテル・アンボス・ムンドス(ヘミングウェイが泊っていた511号室はミニ博物館になっています)。

③61年あまりの生涯で、ヘミングウェイが最も多く通ったと言われる、ハバナの酒場フロリディータ(フローズン・ダイキリが有名)。

④ハバナの酒場ラ・ボデギータ・デル・メディオ(モヒートが有名)。

⑤『老人と海』にも登場する、ハバナから東へ7マイルの漁村コヒマル村にある、レストラン・バーのラ・テラサ。

本書を読んでまたキューバを思い出しました。  楽しかったなー(笑)。 

日曜日は東京城西支部の内部試合です。  よい週末を!

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吉村仁先生『危機を生き延びる者』

1.3月8日の日経新聞に静岡大学教授の吉村仁先生へのインタビュー記事が載っていました。  「最適者は危機で生き残れず」というタイトルです。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『――適者生存の競争社会のあり方に異論があるとか。

「①ダーウィン流の適者生存は、環境に適応し、より多くの子孫を残した者を強者と考えます。  ただし、これは環境変動による生存の危機が起きないとの前提の下です。  

②鳥類には産卵能力を下回る数しか卵を産まない種がいます。  目いっぱい卵を産むと、余裕をなくして危機の際に全滅しかねないからです。

③生き物は危機と遭遇しそれを乗り切ることで進化してきました。  人間社会も同じです。  

④環境変化による影響を受けにくくするため、私たちの祖先は集団生活を始め、都市を築き文明を育ててきました。  協調が社会の基本にあります。  文明の初期段階では、生き延びるため、皆が協調します。  

⑤しかし、生存が既定のものと思うようになると、自分さえよければいいという自己利益の最大化に走ります。  結果は滅亡です」』


2.日経新聞・編集委員の滝順一さんが書かれた「聞き手から」を抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①本当の強者は、平時に支配的な者ではなく危機を生き延びる者だ。

②吉村さんはダーウィンの自然選択・適者生存の進化論を修正する環境変動説を定式化した。

③協調が必要とわかっても人間は一人勝ちへの欲望を時に抑えきれない。  

④経験や知識を体系化し伝える科学や教育は激変を乗り越える人類の生存装置とも言える。』

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外山滋比古先生『ブタも木にのぼる』

1.昨日の日経新聞夕刊でお茶の水女子大学名誉教授の外山滋比古先生が『ブタも木にのぼる』というテーマで文章を書かれていました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①ほめることばには驚くべき力がある。

②いまかりに40人のクラスがあるとする。  学力が平均するようにA、B、20人ずつのグループをこしらえる。

③テストをして、Aのグループの答案は採点して返し、Bグループの答案は返さず、〝よくできていた〟とだけ告げる。

④これを数度くりかえしたあと、AとBとを比較すると、わけもなくほめられたBグループの方が点が高い。  ピグマリオン効果といわれるものである。

⑤山本五十六元帥は「ほめてやらねば人は動かじ」という名言をのこした。  俗には、ほめればブタも木にのぼる、という。

⑥あいにくのことに、人間は、ほめるより叱(しか)り、くさし、ケチをつける方が好きだ。』

空手の指導においても、ほめることは大事ですね。  特に少年部は。


2.①今朝、NHKBS1でヤンキースvsエンジェルス戦(ニューヨーク・ヤンキー・スタジアム)を放映していました。  

②試合開始前に2009年ワールドシリーズ優勝のチャンピオンリングがヤンキースのメンバーに授与されました。  一番最後が今シーズンからエンジェルスに移籍した松井秀樹選手への授与です。  

③シリーズMVPでもあった松井選手に対する観衆のスタンディング・オベーションと、松井選手にヤンキースメンバーが駆け寄ったシーンには感動しました(涙)。

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伊集院静さん『読書の愉悦』

今週発売の『週刊現代』、伊集院静さんの連載のテーマは「読書の愉悦 ゴルフの真髄」でした。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①今までなら本を出版してもインタビューを受け、サイン会をする程度だが、もっと積極的に販売に協力しようというので京都、大阪、東京の書店回りをした。  書店を回ってわかったことがいくつかある。

②この国は出版物であふれている。  新刊は国民一人あたりが一年かかって読める冊数を越えているのではないか。  状況を見てしまうと私の本でさえ必要なのかどうかと問うてしまう。


2.①読書は人間がなす行為の中できわめて特別なものだ。  文字なり、絵を読み、これを一人で(子供であっても)解釈、解読する。

②本の中には人が得ることができる自由で無限のひろがりと可能性がある。  人間がどう生きるかの手がかりであふれている。

③己一人で生きていくものではないことを体得させてくれる。  向上心、慈愛、寛容・・・・・・といったものを学ぶことができる。

④孤独に耐えること、孤独を知ることの必要性も、人は決して孤独ではないことも本の中にあり、世界が人間だけのものではないこともわかる。』

伊集院さんの文章が大好きです。  昨日も今日も伊集院さん(タレントの光さんと作家の静さん)でした(笑)。

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伊集院光さん『運命の出会い』

『のはなし』(伊集院光著 宝島社)を読みました。  『「運命の出会い」の話』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①昨日の夕方のこと、仕事が早く終わったので散歩がてらに適当に道を歩いていたら、前から一人の男の人が歩いてくるのが見えた。  その人、あたりに連れがいる様子もないのに、物凄く笑っている。

②そしたらその人、すれ違いざまに僕の顔を見て「えー!?」という顔をした。  思わず、こっちも目で追うと「えー?  えー?  えー?」と小さい声で。

③急いで前を向き直し歩き出そうとしたら、その人が小走りに僕の正面に回り込んで「ビックリしましたよ、だってこれ」といってイヤホンを差し出した。  なんでも僕のラジオをMDに録って聴きながら歩いていたそうだ。

④そりゃあビックリしただろう。  イヤホンから聴こえてきた声の主がいきなり視界に現れたんだから。


2.①先週の土曜日の深夜、かみさんと一緒にお酒を飲みに行った。  僕もかみさんも基本的にはお酒が苦手な方なので、これは結構珍しいこと。

②そんな僕だから、お酒の種類はよくわからない。  お店の人に「僕はお酒があまりよくわからないので、飲みやすくて、値段が手頃で、今日しか飲めないようなものを」というと、出てきたのがなんだか派手なデザインのワンカップ。  持ってきた店員さん曰く「これ、限定デザインなんであまり手に入らないんですよ。」  

③翌日、ラジオ局へ行き本番前の打ち合わせをしていると、机の上に画集が一冊。  その日のゲスト、横尾忠則氏の作品集とのこと。  その作品集をめくってビックリ。  3ページ目に昨日の日本酒のラベルがドカーン。

④僕が飲んだのは、横尾氏が若かりし頃にラベルをデザインした日本酒の復刻版だったという。


3.①僕はこういう事を別に「運命」とか、もっと厄介に「神のお導き」だとかまったくもって思わない。  無神論者だし、確率的に十分に起こりうる話だし。

②けれど、こういうことがいくつか続けて起こるということ・・・いや、自分の周りにこういうことが起きていることを感じとれるテンションで過ごせていることは、とても良いことだと思う。』

私はビックリするようなことに比較的多く出会います。  昨日もちょっと驚いたことがありました。  でもプライベートなことなので内緒です(笑)。

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吉田松陰『真忠』

『吉田松陰一日一言』(致知出版社)の4月1日の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。  4月1日の項のタイトルは「晩節を全(まっと)うするに非(あら)ざれば」です。

『①国が強く、勢いが盛んな時には、誰でもまごころを尽くすものである。  しかし、国が衰え、勢いが去ってしまうと、志を変えて敵に降参し、主人を売るようなタイプの人間も少なくない。

②だから、人は晩年の節操を全うするのでなければ、どれほど才能があり、頭の回転が速く、幅広い知識があったとしても、尊敬するほどの価値はない。

③立派な主人に仕えてまごころを尽くすことは、珍しいことではない。  おろかな主人にまごころを尽くすことこそ、本当の忠臣(真忠)である。』

③は考えさせられる一文です。  よい週末を!

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山崎直子さん『神学者ニーバー』

昨日の朝日新聞『天声人語』で宇宙飛行士の山崎直子さんについて言及していました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①頭では分かっていても、「男女同量」的な実践は難しい。  (夫の)山崎大地さんの場合も単なる美談ではなかったようだ。

②仕事をやめて家事や育児、介護もこなしてきた。  葛藤(かっとう)の中、夫は心身の調子を崩す。  妻も追い込まれた。

③すべて崩壊しかねない危機を、米国の神学者ニーバーの一節に支えられたと、直子さんは自著に書く。

④「神よ、変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。  変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。」

⑤宇宙飛行士も生身の人間の営みなのだと、改めて思う。』

松井秀樹選手もよく「自分でコントロールできるものとコントロールできないものに分け、コントロールできないものについては受けいれるしかない」とコメントしています。

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渡辺淳一先生『変われるのが才能』

3月25日に続き渡辺淳一先生です。  『幸せ上手』(講談社)を読みました。  『変われるのが才能』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①自然環境が大きく変化していくとき、生き残るために必要な能力とはなんでしょう。  どんな生き物が、生きながらえていけるのでしょうか。

②イギリスの動物学者チャールズ・ダーウィンは、いまから180年も前にビーグル号という帆船に乗り込み、南太平洋を巡る大航海に出発しました。  そして、このときの研究をもとに『種の起源』を著わしました。

③ダーウィンは、「いまこの世にいる生き物、長い歴史のなかで生き残ってきた動物は、強い生き物とは限らない。  また賢い動物でもない。  それより、その時どきの環境の変化に対応できた動物だけが、生き残ることができたのだ」といっているのです。

④社会状況が大変革をおこしている現代に暮らす私たちにとっても、このダーウィンの言葉は傾聴に値します。  時に応じて「変わる」こと。  いままでとは違う方法、新しい考え、新しい自分を創り出していける人や社会や国家が生き残っていけるのだと、教えてくれているのです。

⑤このために必要なのは、まず頭と心の柔軟さです。』

またダーウィンでした(笑)。  明日は事情によりブログを休みます。

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有田秀穂先生『ストレス』

『脳からストレスを消す技術』(有田秀穂著 サンマーク出版)を読みました。  東邦大学医学部教授の有田先生は「脳内セロトニン神経」研究の第一人者です。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①人はストレスに勝てないようにできています。  また、ストレスは決してなくなりません。  「ストレスに強い人」というのは、ストレスを打ち負かしていく人ではありません。  襲い来るストレスを上手に受け流し、自分にとって適度なストレスにコントロールできる人のことなのです。

②脳ストレス(精神的ストレス)をコントロールするための機能は二つあります。  一つは、ストレスを受け流す体質をつくる機能です。  これは「セロトニン神経」を活性化することで高まります。  もう一つは、溜まってしまったストレスを一気に解消する機能です。  これは「涙」を流すことでスイッチが入ります。

③網膜から入った太陽の光が信号として達することによってセロトニン神経は興奮します。  冬になると、どうしても気分が落ち込みやすいという人や、雨や曇りが続くと気分がうつうつとしてくるという人は多いと思いますが、これは日照不足からセロトニン神経の機能が低下し、その結果、脳内のセロトニン濃度が低くなったことによって軽いうつ状態が生じているのです。

④セロトニンは朝につくられるので、朝の太陽光を浴びることが、セロトニン活性には最も効果的なのです。  (中略)  最も効果的にセロトニンを活性化させるのは、太陽の光を30分程度浴びることです。

⑤日々セロトニン神経を活性化させるためには、太陽に合わせた規則正しい生活を心がけるとともに、セロトニン神経を高めるもう一つの秘訣、「リズム運動」を行う習慣を身につけることが必要です。

⑥リズム運動というのは、「一定のリズムを刻みながら身体を動かすこと」で、たとえば、産声とともに始まる「呼吸」は人間が最初に行うリズム運動です。

⑦精神的ストレス経路は、セロトニン神経を鍛えることである程度抑えることができます。  では、身体的ストレス経路はどうすれば抑えられるのでしょう。  ここで思い出していただきたいのが、人間に備わっているもう一つの抗ストレス能力、「涙」の存在です。    

⑧同じようにストレス解消力があるといっても、涙を流したときは「スッキリ」し、笑った場合は「元気が出る」という違いが会ったのです。  実験結果から、「笑い」にもストレス解消の効果があることがわかりましたが、それは涙による効果よりは遥かに小さなものだといえます。

⑨「これはいつ見ても泣いてしまう」という泣ける素材(映画など)を一つ持っているとストレス解消の強い味方になってくれます。  (中略)  涙を流すのは朝よりも夜のほうが適していると言いましたが、同様に、月曜日よりは週末の方が効果は高いといえます。』

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池田清彦先生『生物進化の旅』

1.以前から「生物の進化」あるいは「生物の生き残り」に興味がありました。  

2.リーマン・ショック以降の経営環境の悪化から多くの企業が経営不振におちいっています。  企業経営者のはしくれとして「企業の進化」「企業の生き残り」はまさに最大テーマとなっています。  昨年の6月30日、今年の2月22日、3月26日とダーウィン関係の本を取り上げました。

3.生物学者の池田清彦先生が書かれた『38億年 生物進化の旅』(新潮社)を読みました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①サメは幾多の困難を全部乗り越えてきた動物だと言えるかもしれない。  

②デボン紀(4.1~3.6億年前)に現れ、デボン紀末の絶滅もペルム紀(2.9~2.5億年前)末の絶滅も、三畳紀(2.5~2億年前)末の絶滅も、白亜紀(1.45~0.65億年前)末の絶滅もすべて乗り越え、さらに、いつの時代でもコンペティション(競争)の相手がそれなりにいたであろうにそれらにも負けなかったという、希有(けう)な生き物である。

③サメは海洋の中では最強の肉食動物(トップ・カーニバー)のひとつでたしかに、古生代(5.4~2.5億年前)にはそんなに強い肉食動物はほかにあまりいなかったからトップ・カーニバーでいられたのだろうけれども、中生代(2.5~0.65億年前)になるともっと恐ろしげな海棲爬虫類(かいせいはちゅうるい)がいっぱいいた。  そういう強敵ともコンペティションをしながらサメは生き延びたのだ。

④新生代(0.65億年前~現在)になっても、シャチなどの獰猛(どうもう)な哺乳類がいるなかで、滅びることなく生き延びている。

⑤そう考えると、古生代から基本的な姿形も変わらないサメは、環境の変化に適応できる能力を持った最強の動物かもしれない。  きっと人類が絶滅してもサメは絶滅しないだろう。』

サメのような企業にしたいものです(笑)。   

気象庁の発表によると、東京の桜(ソメイヨシノ)は昨日(1日)満開になりました。  よい週末を! 

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本郷孔洋先生『謙虚』

公認会計士・本郷孔洋(ほんごう よしひろ)先生のブログは度々紹介させていただいています。  昨日のテーマは『謙虚』でした。  抜粋して紹介します。

『「謙虚」という言葉だって、持って生れた人間が謙虚であれば、ことさら言うことはないのだが.....。  でも人間はすぐ「後方(うしろ)へお辞儀をする」ようになる。(笑)

と言うことで、今日は、その例えを。

①いばるな!→「スタッフが威張ったら、すぐ連絡してください(総務部)」  こんな張り紙を昔、事務所にしていたことがありました。  連絡は来なかったけど(笑)

②『実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな』  『実るほど頭(あたま)の下がる稲穂かな』→人格の高い人ほど、相手に対して態度が謙虚である

③「謙虚に学び続ける」→学び続け、成長し続けること!
 
④『おごる平家は久しからず』

⑤『未熟ということは大切なんだよ。僕だって未熟。天狗になったらおしまいだよ』 -池波正太郎-

⑥『空高く飛ぼうとしない精神は、やがて地に堕ちる』 -サミュエル・スマイルズ-

⑦『一方は「これで十分だ」と考えるが、もう一方は「まだ足りないかも知れない」と考える。  そうしたいわば紙一枚の差が、大きな成果の違いを生む』 -松下幸之助- 

⑧『我以外皆我師(われいがい みな わがし)』 -吉川英治-

⑨「人々が懸命になればなるほど、ますます、彼らは腰を低くし、他人から学ぼうとする』 -ベーコン-

⑩『学問なり技術があるということは立派なことにはちがいないが、それを人間のために有効に使って初めて、すぐれた人間だということができるのだと思う。  何よりも大切なのは人を愛する心ではないだろうか』 -本田宗一郎-

「偉い人ほど腰が低い!」のも事実。  わざわざ言わなければならないのも事実(笑)』

明日の午後、久しぶりに本郷先生にお目にかかります。  楽しみです。

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