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2009.10.30 Fri
立花隆さん『頭脳の鍛え方』
評論家の立花隆さんと作家・元外務省主任分析官の佐藤優さんの対談集、『ぼくらの頭脳の鍛え方』(文春新書)を読みました。 「付録」として掲載されている『立花隆による「実戦」に役立つ十四カ条』から抜粋して紹介します。
『最初に断っておくが、あくまで仕事と一般教養のための読書についてであって、趣味のための読書についてではない。
(1)金を惜しまず本を買え。 (中略) 一冊の本に含まれている情報を他の手段で入手しようと思ったら、その何十倍、何百倍のコストがかかる。
(2)一つのテーマについて、一冊で満足せず、必ず類書を何冊か求めよ。
(3)(読書の)選択の失敗を恐れるな。
(4)自分の水準に合わないものは、無理して読むな。
(5)読みさしでやめることを決意した本についても、一応終わりまで一ページ、一ページ繰ってみよ。
(6)速読術を身につけよ。 できるだけ短時間のうちに、できるだけ大量の資料を渉猟(しょうりょう・・・たくさんの書物をあさり読むこと)するためには、速読以外にない。
(7)本を読みながらノートを取るな。 (中略) ノートを取りながら一冊の本を読む間に、五冊の類書を読むことができる。
(8)人の意見や、ブックガイドのたぐいに惑わされるな。
(9)注釈を読みとばすな。 注釈には、しばしば本文以上の情報が含まれている。
(10)本を読むときには、懐疑心を忘れるな。 (中略) 世評が高い本にもウソ、デタラメはいくらでもある。
(11)オヤと思う箇所(いい意味でも、悪い意味でも)に出合ったら、必ず、この著者はこの情報をいかにして得たか、あるいは、この著者の判断の根拠はどこにあるのかと考えてみよ。 それがいいかげんである場合には、デタラメの場合が多い。
(12)何かに疑いを持ったら、いつでもオリジナル・データ、生のファクトにぶちあたるまで疑いを推し進めよ。
(13)翻訳は誤訳、悪訳がきわめて多い。 翻訳書でよくわからない部分に出合ったら、自分の頭を疑うより、誤訳ではないかとまず疑ってみよ。
(14)大学で得た知識など、いかほどのものでもない。 社会人になってから獲得し、蓄積していく知識の量と質、特に、二十代、三十代のそれが、その人のその後の人生にとって決定的に重要である。 若いときは、何はさしおいても本を読む時間をつくれ。』
以前、立花さんが何かの本に「世の中には、異常食欲者・異常権力欲者・異常金銭欲者などがいるが、私は異常知識欲者である」と書かれていました。 私も、暇な時のために読むべき本はかならず手元に何冊か置いておく方なので、異常かどうかわかりませんが(笑)、「知識欲者」だと思います。
ともあれ、「読書の秋」です。 よい週末を。
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2009.10.29 Thu
乾貴美子さん『運がいい』
昨日の日経新聞夕刊でタレントの乾貴美子さんが『家族とともにどんなときも「運がいい」と思って生きていきたい。』というタイトルの文章を書かれていました。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①両親はあたたかいまなざしで、私の性格や素質を成長に合わせて見抜いていたのだと実感しました。
②とても印象的なのは「運がいい」という言葉。 何かがスムーズにいったときはもちろんのこと、福袋にこんなものが入っていた、など日常の些細なことでも「お前は運がいい子」とことあるごとにいってくれました。
③私はその言葉に暗示にかけられたかのように、未だに自分は「運がいい」と思い込んでいます。 この言葉は自分を楽観的にしてくれ、仕事をするうえでも、生きていくうえでも、根拠もないのに漠然と「大丈夫」と思えてしまう。
④家族として、両親と共に過ごした時間は今、新しい家庭の中で、大きな支えとなっています。』
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2009.10.28 Wed
『怒らないこと』
元々短気な方ですが、最近は怒ることが少なくなったと自分では思っています。 しかし、たまたま行ったレストランでの接客態度や言葉に対して、久々(?)に怒ることが二度続き、家内に注意されました。 ということで、自戒の意味を込めて『怒らないこと』(アルボムッレ・スマナサーラ著 サンガ新書)から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①大雑把にいうと、我々人間は二種類の感情によって生きていると言えます。 ひとつは愛情の感情で、もうひとつが怒りの感情なのです。
②なぜ怒るのでしょうか。 「自分は正しい。 自分の言葉も正しい。 自分の考え方は正しい」という概念が頭にあるのです。 (中略) 「私は正しい、とは言えない。 私は不完全だ。 間違いだらけだ」ということが心に入ってしまうと、もうその人は二度と怒りません。
③自分のからだに火をつけたら、触れるものすべてに火をつけて破壊することができます。 でも、その前に何が起きますか? まず自分が燃えているのです。 このことからわかるように、怒りには何かを破壊する力がありますが、何よりも先に破壊されてしまうのは自分なのです。 (中略) 怒りの感情をよく起こす文句だらけの人は、病気がちで、他人よりも先に老けてしまいます。
④なぜ怒るかというと、余計なプライドやエゴがあるからなのです。 それを捨てればほとんどのことは問題ありません。 「私は社長だ」 「私は部長だ」 「私は奥さんだ」 「私は旦那だ」。 そういうのは余計な概念です。
⑤怒りを治めるためには智慧が必要ですが、智慧と相性がいいのが「笑い」です。 我々は近頃、「笑い」を忘れがちです。 「怒り」と「笑い」は両立しませんから、怒らないでいるためには、とにかくよく笑うようにしてみてください。 人間は笑いを忘れたことによって、ずいぶん不幸になっているのですよ。 (中略) 私が勧めるのは「家の中にいても、家の外にいても笑える。 仕事がうまくいっても、仕事が失敗しても笑える」という、自分の心ひとつでいつでもできる笑い方なのです。
⑥笑いは強者の証明で、怒りは敗北者の烙印(らくいん・・・焼印のこと)です。
⑦我々は「怒ることは格好いいものではない」ということをきちんと理解して、怒った瞬間には恥ずかしくなるべきなのです。 もしも怒ってしまったら、すぐに「ああ、自分は弱いんだ。 精神的にも、肉体的にも、弱いんだ」と思ってください。』
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2009.10.27 Tue
福澤朗さん『声と言葉の教科書』
フリーアナウンサーの福澤朗さんが書かれた『声と言葉の教科書』(東京書籍刊)から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『1.リラックス
①体も心もリラックスさせる最も手っ取り早い方法は、運動することです。 運動してひと汗かき血の巡りがよくなると、まず体内からムダな力が抜けます。 呼吸も深くなります。 呼吸が深くなると心が落ち着くのです。 緊張している人って体に余分な力が入っているし、呼吸も浅くなっています。 だから単純に深呼吸するだけでも効果がありますね。
②それに有酸素運動を三、四十分もするとストレスホルモンがなくなって、プラス思考のエネルギーが湧いてきます。 緊張したらどうしよう、失敗したらどうしよう、噛んだらどうしよう・・・。 この「どうしよう」というストレスを三、四十分の有酸素運動で消去できるわけです。
2.姿勢
①立っている状態のとき、人によっては背中が丸く猫背ぎみになります。 あるいはハトみたいに胸をグッと張っている人もいます。 これ、どちらも不自然なダメな立ち方なのです。 (中略)
②力が抜けたいい姿勢をするためには、自分が操り人形になった状態を想像してみてください。 頭のてっぺんから糸が出ていて真上に引っ張られる自分をイメージするのです。 (中略) こうすると、肩からも上半身からも余計な力が抜けて、人間が立っている状態で一番楽な姿勢になるのです。
3.目の充血
①目が充血しているのは、眼球が疲れて酸素を欲しがっている状態です。 目に一生懸命酸素を送り込もうとして血管を膨張させるから目が充血するわけです。
②充血をとる目薬には血管収縮剤が入っていて、せっかく膨張した血管を収縮させて充血をとります。 これは酸素を欲しがっているマラソンランナーの首を絞めるようなものです。 目がどんどん疲れていくし、薬効が切れたあとは、リバウンドのようにもっと目が充血してしまうのです。』
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2009.10.26 Mon
ジョアン・サルバンスさん『バルセロナの育成メソッド』
スペインのプロサッカーチーム・FCバルセロナのカンテラ(下部組織)元監督、ジョアン・サルバンスさんが書かれた『史上最強バルセロナ 世界最高の育成メソッド』(小学館新書)から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①指導者にとってすべての選手は特別な存在である。 だから指導者は、それぞれの選手が何を持っていて、これから何が必要かを探し出してあげなければならない。 その上で一人ひとりに適したメニューを用意する必要がある。 Aという選手には有効なメニューが、Bにはまったく不要というケースがある。
②わたしはサッカーにおけるすべてのプレーは、トレーニングによって上達できると考えている。
③サッカーに無数の状況がある以上、メニューが尽きてしまう心配はない。 指導者に学習意欲さえあれば、毎日新しいトレーニングメニューは浮かんでくるものだ。
④重要なのは、すべてのメニューをよい感覚のまま終えることだ。 極端なたとえになるが、フォワードがシュートを20本外し続けたら、21本目に決めたところで終える。
⑤モチベーションとコンセントレーション(集中)は、反比例の関係にある。 モチベーションが高まり過ぎると集中を失う。 やる気があり過ぎて、過緊張の状態になった子供が大きなミスを繰り返してしまうのを見ればわかりやすいだろう。 監督にとって大切なのは、モチベーションと冷静さがバランス良く保たれた状態で、選手達を送り出すことなのである。
⑥ボージャン・クルキッチには最初からはっきりと伝えた。 「君に要求するものはものすごく高い。 それはわかってくれ。 他の選手たちの目標は、プロの選手になることだ。 でもキミの場合は、カンプ・ノウ(FCバルセロナのホームスタジアム)で満員の観衆を沸かせることだからな。」
⑦ジオバニの弟ジョナサン・ドスサントスには、こう励ました。 「今、キミはジオバニの弟かもしれない。 でもいつかジオバニがキミのお兄さんだと言われるようになる日が来るよ。」 私はドスサントス一家と同席した食事中に、あえてこの話をした。 監督が、それだけ能力を認めてくれていることがわかれば、ジョナサンも自分の力を信じてがんばれる。 またそれを聞いたジオバニにも励みになる。
⑧「気持ちで負けた」というのは安易な分析である。 指導者ならもっと現実的な敗因をしっかりと探すべきだろう。
⑨どんな素晴らしいプレーも、その第一歩は真似ることだ。 だから私は、トレーニングの最中に頻繁にトッププレーヤーの名前を出すようにしている。
⑩指導者は、選手を引き上げるためにも、常に最高峰の試合を見てプレーをチェックしておく必要がある。
⑪トレーニングがうまくいかないのは、生徒ではなく、指導者の側に責任がある。
⑫アドバイスはなるべく端的な言葉が良い。 的確に伝えられないようなら、アドバイスは送らないほうが良い。』
⑫に関して、本書中の「(ジョアン・サルバンスさんが現在コーチを務める)東海大学菅生高校中等部・藤原利文監督の証言」から抜粋して紹介します。
『子供たちが、ジョアンのたった一言のアドバイスで、今までできなかったテクニックを習得してしまう。 例えばシュートをふかしてしまう子に「かかとを上げろ」、ボレーが合わせられない子には「自分のポイントまで待て」とひと言伝えてあげる。 (中略) 本当にその一言だけで子供が一変してしまうんですよね。』
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2009.10.23 Fri
夏井睦先生『傷はぜったい消毒するな』
1.先週の土曜日、靴箱からスニーカーを出そうとしたら引き戸にはさまれて左手の人差し指をケガしました。 爪の生え際から1センチ下の皮膚が5ミリ四方くらい削ぎ取られたのです。
2.1ヵ月ほど前に『傷はぜったい消毒するな』(夏井睦著 光文社新書)を読んだ際に買っておいた「キズパワーパッド」を貼っていたら、いつもより早く治りました。
3.夏井睦(なつい・まこと)先生は石岡第一傷の治療センター長です。 本書より抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①筆者はおよそ10年前、この「傷は消毒してガーゼを当てる」という治療が、科学的根拠のない単なる風習にすぎないことに気がついた。 (中略) 筆者が提唱しているのが「傷の湿潤(しつじゅん)治療」である。 「傷を消毒しない、傷を乾かさない」という二つの原則を守るだけで、驚くほど早く、しかも痛くなく傷が治ってしまうのである。
②皮膚の傷の治療、つまり皮膚の再生に絡(から)んでいるのは、皮膚の細胞、その細胞の移動と分裂の舞台となっている真皮、肉芽だ。 これらの共通点は「乾燥に弱い」ことであり、むしろ最大の弱点といってもいい。
③従来は、カサブタができると治る、と誤解されていた。 だから、早くカサブタができるようにとせっせと乾かしていたわけだが、何のことはない、傷が治らないように、細胞が早く死ぬようにと一生懸命乾かしていたのだ。
④擦りむき傷やヤケドの治療に有用なものとしては、次の二つの条件が満たされているものであればいい。 (1)傷にくっつかない。 (2)滲出液(しんしゅつえき=細胞成長因子)を外に逃がさない。 もちろんこれでいいのだが、さらにもう一つ、(3)ある程度水分(滲出液)吸収能力がある、という条件が加わればベストである。
⑤この三つの条件を満たした治療材料を「創傷被覆材(そうしょうひふくざい)」といい、(中略)現在、「キズパワーパッド」という商品名でドラッグストアーなどで販売されている。
⑥消毒薬は人体細胞はすぐに殺せるのだが、細菌を殺すのには時間がかかる。 (中略) 誰でも一度や二度、傷をヨーチンやイソジンで消毒されたことがあるだろう。 すごく痛かったと思う。 なぜ痛かったのだろうか。 (中略) 消毒薬は傷口の破壊薬だから、傷口が破壊されて痛かったのだ。』
4.簡単に言うと「乾燥させないほうが早く治る」ということだと思います。 「キズパワーパッド」の箱に書いてあった「正しく効果を得るために」を番号を付けて紹介します。
『①キズは水道水でよく洗う。
②ケガをしたらすぐ使う。
③消毒剤やクリームと一緒に使わない。
④キズの経過観察を怠らない。』
5.「キズパワーパッド」は貼ったまま手を洗っても「(通常の)救急ばんそうこう」のようにびしょびしょにならないので便利でした。 今日は「通販番組の商品宣伝」みたいなブログになってしまいました(笑)。 よい週末を!
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2009.10.22 Thu
本郷孔洋先生『松下幸之助さん』
辻・本郷税理士法人理事長、本郷孔洋(ほんごう・よしひろ)先生のブログ『時代を読む』については何度も紹介(引用?)させていただいています。 昨日のタイトルは「任せて任さず」で、パナソニックの創業者・松下幸之助さんの「部下に対する接し方」を取り上げていらっしゃいます。 番号を付けて紹介します。
『1.①任して任さず・・・これは、松下幸之助の言葉だそうです。 上司は、部下に仕事を任せることはとても大事ですが、かといって、放りっぱなしではいけない。 上司は、期限を切って仕事させること、口をはさんで、よく仕事をマネージしなければならない、平たく言いますと、「丸投げはダメよ」になります。
②昔は、新入社員に、「根性入れてやれ」と、タダ丸投げする上司が結構いました。 でもさすが最近はそんな上司は見かけないですが、具体的指示をしない上司が多いのも事実。 すると昔は、「根性論を言うだけマシ」となります。
2.「自分は凡人」、「すべての人を自分より偉いと思え」、「本気で叱れ」・・・これらも松下幸之助さんの言葉だそうです。
3.①「今日はこれでやめとく、明日までよく考えておいて」と言って、次の日また説明を聞いて、「しゃあない、これで行くか」と決めるのも、松下幸之助さんの常とう手段だったそうです。すると、部下が考えてくるというわけです。
②何回も質問して、何回も部下に考えさせる。部下は育ちますよね。「ああせい」「こうせい」と言わないんだそうで、「腑に落ちん」「ピンとこん」と言うんだそうです。
③「結論から言え」と、私はすぐ言ってしまいます。 反省します。(笑)
④奥さんに「結論から先に言え」といった人がいます。 奥さんは1週間、口をきいてくれなかったとか。』
「わかりやすい」、「面白い」、それでいて「薀蓄(うんちく・・・深く研究して身につけた知識)がある」。
いつもながら本郷先生のブログは最高です。
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2009.10.21 Wed
北康利さん『吉田茂』
『吉田茂・・・ポピュリズムに背を向けて』(北康利著 講談社刊)から抜粋し、番号を付けて紹介します。 1946年5月に内閣総理大臣に就任した吉田茂さんは元外交官で、麻生太郎前首相の祖父です。
『①大平正芳元首相はこう語っている。 「慾のない人は強い。 金も欲しくない。 名誉も望まない。 命も惜しくない。 その人は強い人であり始末に困る人である。 吉田さんはそういう人である。」(『素顔の代議士』)
②1916年、寺内正毅が大隈重信に代わって首相に就任すると、茂は思いを残しながらも(中国から)日本に帰国することになった。 この時寺内は、「俺の秘書官にならんか」と言ってくれたが、「私は首相なら務まると思いますが、首相秘書官は務まりません」と答え、みすみす首相秘書官になれるチャンスを棒にふっている。 確かに彼は指揮官にはなれても補佐官には向いていないだろうが、それを本当に口に出す人間も珍しい。
③(英国大使時代に)茂の見事な動きに感動した(一等書記官の)加瀬が、報告書を外務省に打電しようと思い、前もって茂に見せたところ、「報告するのはやめておこう。 外交官というのは功を求めずに縁の下の力持ちをもって甘んずるべきものだよ」と静かに制したという。 (中略) 彼は意外にも目立つことを好まなかった。
④実際に食料支援を開始してみると、日本側要求の450万トンも必要なく、70万トンほどで国内に十分な食料が行き渡った。 このことに腹を立てた(占領軍・最高司令長官の)マッカーサーは茂を呼んで詰問した。 (中略) 茂はにっこり笑って、「もし日本が正しい数字を出せる国だったら戦争に負けてなどいませんよ」と開き直った。
⑤(対日講和の実務責任者のダレスとの交渉の際)トップが強運の持ち主であるかどうかは、ついていく者にとってとても大切なことだ。 戦場においては、それが生死さえ分けかねない。 そしてこの時、茂は怖いほどの運を味方につけていた。』
2007年11月30日のブログでも『吉田茂のユーモア』というタイトルで吉田茂を取り上げました。 なかなか味のある人物だったようですね。
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2009.10.20 Tue
阿久悠さん『星を作った男』
『星をつくった男・・・阿久悠と、その時代』(重松清著 講談社刊)を読みました。 作詞家・作家の阿久悠(あく・ゆう)さんの人生について、直木賞作家の重松清さんが書いています。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①作詞作品の総売上枚数は2009年2月時点のオリコン調べで6826万枚・・・史上第1位、それも第2位の松本隆さんとは1800万枚以上の差があるのでダントツと言っていい。 日本レコード大賞の大賞は5回、作詞賞は7回受賞。 こちらも作詞家としては最多記録である。 また8回受賞した日本作詞大賞も最多記録。 (中略)
②1980年、半年間の休筆から復帰した阿久悠は、八代亜紀さんの歌う『雨の慕情』(作曲・浜圭介)で日本レコード大賞と日本歌謡大賞の二冠に輝き、健在ぶりを見せつけた。 だが、両賞とも、それが阿久悠にとって最後の受賞になってしまった。
③そして、1989年、それまでは常に作詞賞などなんらかの賞に輝いていた阿久悠だが、その年は十数年ぶりの無冠に終わる。 『紅白歌合戦』で歌われていた楽曲にも、阿久悠の作品はなかった。 (中略)
④(2007年8月、70歳で逝去された阿久悠さんの伊豆の自宅を、重松清さんが逝去後訪問した際に)ご家族の許可を得て、その書斎にある原稿や資料類を整理していたら、雑誌記事の切り抜きが大量に入った書類封筒を見つけた。 切り抜きはすべて、歌詞だった。 (中略)
⑤中森明菜、小泉今日子、近藤雅彦、光GENJI、少年隊、森高千里、Wink・・・1989年のヒット曲がほとんどだった。 ただし、その中に、阿久悠作詞のものは一切ない。 (中略)
⑥時代を映すキーワードを探していたのか、ヒットの秘密を分析していたのか、「なぜこんな詞が売れるんだ」と首をかしげていたのか、負けじ魂をかきたてていたのか、若い才能に危機感を抱いたのか、逆に安堵感を覚えたのか、歌謡界に失望したのか、希望の光を見つけたのか・・・・・・。 (中略)
⑦現役だった、最後の最後まで、阿久悠は現役の作詞家であり、作家だった。 現役のハードルは、ヒット曲や連載小説の多寡で決まるのではない。 「本気」をどこまで持ちつづけているか・・・その意味では、やはり、阿久悠はどこまでも現役でありつづけたのだ。』
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2009.10.19 Mon
『折形・感謝・しびれる』
今日のブログは昨日(10月18日)付けの新聞・メルマガ等からの引用です。 それぞれ抜粋し、番号を付けて紹介します。
1.折形・・・日経新聞別紙「日経マガジン」より
『①和紙で贈り物を包む形の礼法のことを「折形(おりがた)」という。 感謝や敬意などの気持ちを託す、日本固有の精神世界だ。 (中略)
②和紙が数回折られた袋を開き紙幣を包み直す時、手順にとまどう。 (中略)
③慶事は下部が上になるように折り上げ「天をあおぎ喜びを表す」。 弔事は上部が上になるように折り下げ「頭をたれて悲しみに目をふせる」といった意味がある。』
祝儀袋の元の折込順を忘れないように、といつも気を使っていましたが、これでもう大丈夫です(笑)。
2.感謝・・・あおぞらきりんさんのメルマガ「運の達人1000人に学ぶ今日の秘訣」より
『①中川昌蔵『不運より脱出する運命の法則』より。 中川昌蔵さんは大阪・日本橋電気街の「中川無線電機」の創業者社長。
②60歳前後まで実業に没頭されていた中川さんは、「臨死体験」され、以降守護霊と交流ができ、いろいろなことで守護霊に示唆を仰ぐことになりました。 (中略)
③心の波動の高い人は、人格者、心が広い人といわれ、魂の波動の高い人は徳のある人と尊敬されます。
④一方、怒り、憎しみ、恨み、心配、イライラ、クヨクヨ、人の悪口を言うなどのときは心の波動が低下し、悪い心の人間ばかりが集まり、相互に騙し合い奪い合う悪の集団に入ってしまうのです。
⑤では、魂の波動を高めるにはどうすればよいのか? 中川さんは、そのキーワードとして、「感謝」を挙げています。
⑥「一人では生きられない。私は生かされている」ことを認識し、そのことに対して、「ありがとう」という感謝の気持ちを表す。 こうすることで、魂の波動は上がるという実にシンプルな真実なのです。
⑦また、同時に奉仕の気持ちも大切であると中川さんは伝えています。 感謝の気持ちをきちんとお返しをする。 これにより一層波動は高まるのです。』
3.しびれる・・・安岡正篤一日一言(致知出版社刊)の10月18日の内容より
『①何にしびれるかによって、その人は決まる。
②中江藤樹は『論語』と王陽明にしびれていた。
③人間は本物にしびれなければならない。』
一人でも多くの人が極真空手にしびれるようになってもらいたいものです。 でも、もしかしたら「しびれる」って死語ですか?(笑)
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2009.10.16 Fri
伊勢白山道さん『人生を狂わす物』
1.今年の7月30日にも紹介した伊勢白山道さんのブログの10月14日のタイトルは「人生を狂わす物 前編」でした。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①ある企業に勤務するAさんは、未来を霊視する正確さで有名なB先生の所へ興味半分で行きました。 B先生は、A氏が数年以内に今の企業を退職して、友人の経営している会社を手伝う事になるでしょうと予言しました。 (中略)
②そして、それから約1年後、A氏は勤務中に上司に呼ばれました。 会社の収益が落ちているので、給与の2割カットを受け入れるか、嫌ならば退職を考えて欲しいと相談を受けました。 この話を聞いた時、A氏の脳裏には以前に聞いたB先生の予言を思い出していました。
③「あ~、この事を予言していたんだあ」と思ったA氏は、これが自分の運命だと思い、会社と深く相談する事も無く、以前から誘いを受けていた友人の会社に再就職する道をアッサリと決めてしまいました。 (中略)
④そして5年後・・・A氏は独身のまま、不安定な収入の中で苦しんでいました。 退職後の友人の会社も、意見が合わずに1年足らずで退職し、フリーの仕事請負人で食い繋いでいました。 (中略)
⑤ある日の駅で、以前の企業の元同僚とバッタリと出会いました。 彼は未だに企業に勤務していて、結婚もしていました。 会社の近況を聞くと、新しい分野も始めて何とか収益を出しているとの事でした。 上司の顔ぶれもガラリと変わり、遣り易くなったと笑っていました。
⑥この日の帰り道、Aさんは自分の人生を考えていました。 そもそも何故自分は、あの時にアッサリと企業を退職してしまったのか? 2万円も出して、興味半分でB先生に会わなかったならば、自分の人生はどうなっていたのかを考えました。 少なくとも言える事は、アッサリと退職を自ら選ぶ事はなかったと思いました。 (中略)
⑦この時にA氏が思った事は、「予言で示される内容=自分にとっての最善では決してない」という事でした。』
2.同じく10月15日はその後編です。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①ここで一度、B先生の立場を考えて見る必要があります。 相談者から金銭を貰う限り、何かを言わなければいけない宿命があります。 A氏の未来から何も感じ取れない場合でも、必ず何かを言います。 (中略)
②先生にとっては一時の面会であり、その内容を忘れるほどの物でしかありませんが、相談者にとっては帰宅後も言われた内容を繰り返し反芻し、意識の奥に深く染みこんでいきます。 自分でも気付かない内に他の選択肢を排除し、先生から言われた事を中心とした選択の組み立てを無意識下で始めます。 (中略) これが人生の幅を自ら狭め、ブレーキを掛ける事になります。 未来を当てるのではなく、縛りを掛けているだけなのが真相です。 (中略)
③良く当てる能力の高い先生ほど、私生活は寂しく不幸な人が非常に多いです。 そんな人物に対して大金を出し、有り難く大小様々の卵を買っている相談者にも責任があります。 来もしない未来を知ろうとし、楽な道を捜そうとするのは、貴重な「今」を捨てる行為になります。 (中略)
④多くの神々や先祖霊、縁ある人々の御蔭により今の自分の現状があります。 苦しい現状ならば、改善するべき事があるという有り難いサインです。 短い人生において、無駄な不幸などはありません。 (中略)
⑤気付いたならば、今から現状への感謝の磁気を積んでいきましょう。 未来は簡単に変容します。』
考えさせられる内容だったので、ちょっと長くなりましたが紹介しました。 日曜日は城西支部内の交流試合です。 よい週末を!
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2009.10.15 Thu
川田修さん『デレク・ジーター』
プルデンシャル生命のトップセールスマン・川田修さんが書かれた『かばんはハンカチの上に置きなさい』(ダイヤモンド社刊)の中に、あるお客様から聞いたデレク・ジーターの話が出ていました。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①「川田さん、お金とか順位をモチベーションにするには限界がある。 だけど、人に喜んでもらったり、感動してもらうことには限界がないんだよ」 (中略)
②その方の話によると、ニューヨーク・ヤンキースの遊撃手(ショ-ト)で主将でもあるジーター選手は、二塁ランナーになったとき、次の打者がヒットを打てば、必ず三塁を回って本塁まで突っ込むらしいのです。 その試合が0対1で自分のチームが負けていようが、反対に10対0で勝っていようが、その試合状況や得点差にかかわらずに彼は突っ込むらしい。
③しかし、それは彼の個人成績とか収入、あるいはチーム内での評価を優先的に考えるなら、まるで無謀なプレイなのです。 その打球の方向や勢いによっては、本塁でアウトになる危険性も高いわけですから。
④ではなぜ彼が本塁へ突っ込むことにこだわるかと言えば、彼が二塁走者になったとき、スタンドのお客さんたちはいっせいに立ち上げる。 立ち上がった人たちが、ジーターが本塁に突っ込むのを期待して、敵も味方も関係なく、全員が「ウォーッ」とすごい歓声を上げるらしいのです。 球場だけではなく、全米のテレビの前でも野球ファンたちがすごく興奮して、その場面をワクワクしながら待っているんだというのです。
⑤「ジーターは、そんなファンの期待をよく知ってる。 だから、彼は本塁でアウトになるリスクや、無理に突っ込んで本塁上でケガするかもしれないリスクを承知で、突っ込む。 それは野球ファンに対して感動を与えることを、彼自身が、何よりも優先しているからなんだよ。」』
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2009.10.14 Wed
幸田真音さん『舶来屋』
1.『舶来屋』(幸田真音著 新潮社刊)を読みました。 グッチやエルメスを日本に紹介したことで有名な「サン モトヤマ」の茂登山長市郎(もとやま・ちょういちろう)氏をモデルにした、「サン モリタニ」の茂里谷長市郎(もりたに・ちょういちろう)が主人公です。
2.長市郎が息子の喜一郎とともに、フランス・パリのエルメス本社に行き、商権を返した後の二人の会話を抜粋し、紹介します。
『長市郎「すまないな、喜一郎。 グッチもエルメスも、おまえの代まで残してやることができなかった・・・・・・」
喜一郎「なに言ってるんですか。 そんなの、お父さんらしくないですよ。 なにごともお月さまと同じだって、いつも僕にそう言っているじゃないですか」
長市郎「お月さま?」
喜一郎「そうですよ。 満ちたら欠ける。 みんな同じだって。 糸みたいに痩せた二十六夜の月を見たら、闇夜になることは覚悟しろ。 だけど心配しなくていい。 その翌日から、いずれまた満ち始める。 そうでしょう?」
長市郎「そんなこと、言ったかなあ」(茂里谷はとぼけて首を傾げた。 そうしてごまかさないと、息子の前で本当に涙を流してしまいそうだ。)
喜一郎「嫌だなあ、お父さん。 人生もお月さまとおんなじなんだぞって、僕にはいつもうるさいぐらいに言ってきたくせに、自分で忘れちゃいけませんね」
長市郎「そうだったな。 満ちたら欠ける。 欠けたら、また満ちる。 だった。 いくら欠けても、必ず次があるんだ。 お前の言うとおりだよ。 明日からまた頑張るか、なあ、喜一郎。」
喜一郎「はい、会長。 そうこなくっちゃ」
長市郎「よし。 サン モリタニもこれからが正念場だ。 いいか、喜一郎。 ここからが本当の出発だぞ」』
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2009.10.13 Tue
落合信彦さん『伊東正義』
『恥の殿堂』(落合信彦著 小学館新書刊)から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①「これぞ政治家の中の政治家」と言えるのが、伊東正義だった。
②1913年生まれの伊東は東京帝大を卒業し農林省の官僚となった。 戦後、事務次官にまで上りつめ、1963年に衆院選で初当選し、79年の大平正芳内閣で官房長官を務めた。 大平首相が選挙遊説中に倒れた時には内閣総理大臣臨時代理となった。
③臨時とはいえ総理大臣の座が転がり込んできたのだ。 並の政治家なら、きっと小躍りし、舞い上がったに違いない。 しかし、伊藤正義は並の政治家ではなかった。
④彼は臨時総理を務める間、いくら周りから勧められても総理執務室には頑として入らず、それまで通り官房長官室で執務を続けたという。 閣議の際も決して総理の椅子には座らなかった。 病に倒れた大平首相に配慮しての振る舞いだった。
⑤その後も伊藤は自民党の重鎮として活躍し、何度も党の総裁に推されたが、彼は固辞し続けた。 そのたびに、「自分は総理大臣の器ではないんだ」と謙遜していたという。 「謙譲の美徳」とはまさにこのことだ。 (中略)
⑥89年のリクルート事件による竹下登首相の退陣後に後継党総裁に推された際に、「本の表紙を変えても、中身を変えなければだめだ」と語ったことは有名だ。
⑦彼は自分自身で総理大臣の器ではないと固辞した。 しかし、彼のような男こそが総理大臣にふさわしいと私は思う。』
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2009.10.09 Fri
『モウリーニョの流儀』
1.ジョゼ・モウリーニョ監督はポルトガル出身のサッカーの名監督です。 ポルトガルの名門・FCボルトの監督(2002年~2004年)、イングランド・プレミアリーグのチェルシーの監督(2004年~2007年)、イタリア・セリエAのインテルの監督(2008年~)をそれぞれ務め、優勝を積み重ねてきました。
2.ウィキペディアで検索したモウリーニョ監督の獲得タイトルは以下の通りです。
①FCポルトの監督として・・・スーペル・リーガ優勝2回、ポルトガルカップ優勝1回、UFEAカップ優勝1回、UFEAチャンピオンズリーグ優勝1回
②チェルシーの監督として・・・プレミアリーグ優勝2回、FAカップ優勝1回、リーグカップ優勝2回、コミュニティーシールド優勝1回
③インテルの監督として・・・スーペルコッパ・イタリアーナ優勝1回、セリエA優勝1回
3. 『モウリーニョの流儀』(片野道郎著 河出書房新社刊)の中でモウリーニョ監督が「選手に要求する行動規範」について語っている部分を抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①私が毎日1時間半前には着いているのに、選手が遅刻するのを受け入れるわけにはいかない。
②これはシンプルな論理だ。 重要なのは、練習を10時から始めると伝えたら、練習は10時から始まらなければならないということだ。
③全員が揃っていれば完璧だが、揃わなくても練習はスタートする。
④遅れてきた者は、家に戻らなければならない。 試合の日にも家に送り返されるだろう。』
「時間を守る」という一見するとサッカーとは直接関係ないような、人としての基本的なあり方が、超一流のプロサッカーチームの勝利にも影響するのですね。
東京では台風一過の青空が広がっています。 三連休です。 よい週末を!
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2009.10.08 Thu
本山博先生『人間の本質』
1.昨日紹介した『人間の本質』(本山博・稲盛和夫著 PHP研究所刊)の「はじめに」で稲盛さんは本山先生に関して次のように書かれています。
『私自身にはまったく霊能力はない。 いつか、そういう素晴らしい力を秘めた方にお会いしたいものだと考えていたところ、ある方を介し、本山博先生をご紹介いただいた。 以来、親しくお付き合いをさせていただくことになり、すでに30年ほどが経過した。 お会いするたびに、「真の霊能力を持つ人だ」との認識を新たにし、尊敬の念を深めてきた。』
2.同書の中の本山博先生の発言から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①稲盛さんのように「超作」(物と自分が一つになって、自分を離れて物も自分も見ることができるようになること。)ができる人は、本当に真剣に仕事に打ち込んでいると、物の中にある魂が自然にわかるようになります。 西田(幾多郎)哲学では、これを「行為的直観」と言っています。 要するに、一生懸命打ち込んでいると、物のほうから「こうしてください、ああしてください」と言うようになるのです。 人間は、その言うとおりにすればいいのです。
②行をするときには、何かを得たいとか、霊能者になりたいなどということを決して思ってはいけません。 神様を信じてただ座るだけです。
③釈尊だって、釈尊自身が、「百千の過去の生涯を想い起こした」と言われたと伝えられているように、数え切れないほど生まれ変わって、やっと悟りを得ることができたのです。 空海も同じだと思います。 ですから、誰でもただ一回の生の間に、一生懸命行をしたから悟れるかというと、そうはいかないんですよね。
④稲盛さんは子供の頃に結核になられたでしょう。 そこで死との対面があったわけだけれど、自分なりに乗り越えていかれた。 それが神様の大きな力をいただく一つのきっかけになったのですね。
(中略) 人間というのは、死に直面したり、自分の能力の限界を感じたりしないと、より大きなものに生かされているという直観が出てこないのです。
⑤新興宗教の中には、何十万という信者を抱えている教団があります。 その多くは教祖がある種の霊能力を持っていて、病気を治したりすると、人びとが驚いて帰依するという形で信者を増やしています。 本当はそういう超常現象を起こせるような霊能力がなくても、心を高めることに努め、美しい愛に満ちた魂になることができた人が、教祖として多くの人びとに教えを与えることが、一番すばらしいことなんでしょう。
⑥祈りができないような人は、魂の成長はできませんね。 魂の成長ができれば、自然に自分というものを超えて、みんなの役に立つことができるようになります。 知恵が湧いて、想像力が出てくるのが祈りです。 祈りというのは基本的には、人間を超えた何かによって動かされることです。
⑦要するに、われわれはただ神様の道具にすぎないのだ、ということがわかると、自然に祈りが毎日できるようになります。 すると神様と一つになりながら動けるようになる。 だから、祈りは人間にとって一番大事なことなのです。 魂が成長するためにはね。 祈りができない人は、やはり伸びないですね。』
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2009.10.07 Wed
稲盛和夫さん『人間の本質』
『人間の本質』(本山博・稲盛和夫著 PHP研究所刊)を読みました。 対談の中の稲盛さんの発言から抜粋し、番号を付けて紹介します。 稲盛さんは京セラおよび第二電電(現KDDI)の創業者です。
『①人智を超えたものが存在すると考えたほうが、この世界の成り立ちやその意義をうまく説明できるし、何よりもそのような存在に畏敬(いけい)の念を持ち、謙虚に生きるほうが、人間はよりよく生きることができるのではないだろうか。・・・「はじめに」より抜粋
②私は本山先生がおっしゃるような、神様が降りてくる体験をしたことはありませんし、霊的なことについてもよくわからないのですが、なるべく心をきれいにして、思いやりに満ちた人間にならないといけないと思っていきています。 そのために、常に自分に反省を求めて生きてきました。 そうしていますと、神様との直接の接触はありませんし、その実感もありませんが、すべて神様が守ってくださったんだ、神様が手伝ってくださったんだと思えるくらい、すばらしい人生を歩んでこられたように思います。
③私はよく、「経営を上手くやっていこうと思えば、心を高めることが必要です」と話します。
④中には偉そうに振舞う大学の先生もいますが、それでは本当に独創的な研究はできません。 真にクリエイティブな新しい研究ができる先生というのは、実際にお会いしてみても、やはり人柄のいい人が多いように思うんです。 それは心の根底に愛があるからでしょう。
⑤こんなことを言うと失礼かもしれませんが、お坊さん、特に禅宗のお坊さんは座禅などを通じて、自分の心のレベルを高めているわけですが、位の高いお坊さんにお目にかかっても、人柄まで立派だと思える人は非常に少ないですね。 社会のため、みんなのために役立てたいと思って修行するなら、すばらしい人間性を身につけることができると思うんですが、高い地位に昇りたい、有名になりたいと、自分のために修行をしておられるせいか、自然と頭が下がるような人にはなかなかお目にかかれないのが残念でなりません。
⑥また霊能力がある方でも、その霊能力でせっかく神様とつながっているはずなのに、人間としてはいかがなものかと思える人がいます。 霊能力と人格、品格がパラレルでないということが非常に問題だと私は思うんです。
⑦一人の技術者が窯(かま)の横で半べそをかいていたんです。 「どうしたんだ」と声をかけたら、「一生懸命やっているのに、何日徹夜してもなかなかできないんです」と答えるわけです。 私は「お前、神様に祈ったか」と、彼に問いました。 本当に全力を尽くしたのか、そうであれば、後は神に祈るしかないという意味だったのです。 彼はすぐにはピンとこなかったようですが、再び勇気を奮い起こして開発に取り組み、見事に難しい製品を作り上げたんです。 (中略) 本当に無心になって、精魂込めてやったのであれば、人は自然と神様にすがり、神様に祈ろうとするはずです。』
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2009.10.06 Tue
『照千里 守一隅』
1.今朝の日経新聞に『致知』という雑誌の一面広告が載っていました。 日本BE研究所所長・行徳哲男先生の推薦文の中に次のような文章がありました。
『カントは死ぬまで我が街から一歩も出でず。 キリストの布教は僅か五哩(マイル・・・約1609メートル)四方。 然し二人は人類を永遠に照らす深い真実を遺した。』
2.その文章を読んで、3月4日のブログでも取り上げた『守一隅 照千里』という言葉を思い出しました。 医学博士・鈴木一作先生のブログ『時代を担う子ども達のために』に明快な解説文が載っていました。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①天台宗の開祖・最澄の言葉に、「古人曰く、径寸十枚、これ国宝に非ず。 一隅を照らす、これ則ち国宝なり」(山家学生式) というのがあります。
②最初の 「古人曰く、径寸十枚」 とは、史記・田敬仲完世家にある有名な国宝問答 「照千里、守一隅」 の故事を踏まえたものとされています。
③すなわち、魏王が言うに、「私の国には直径一寸の宝玉が十枚ある。これが国の宝だ」―。 すると斉王が答えて、「私の国には、そんな宝玉はない。だが、自分の一隅をしっかり守り、千里を照らす人材がいる。これこそ国の宝だ」 と。
④最澄の言葉は、読んで字の如く、「一隅を照らす人こそが国宝」 という解釈が一般的なようです。
しかし、故事にあるように、「一隅を守りながら千里を照らすほどの逸材こそが国宝」 という解釈もあります。
⑤どちらの解釈が正しいかは別にして、「一隅を照らす」 とは、人としての真摯な生き方を示すと同時に、人材の大切さを表す言葉として使われていることは確かでしょう。
⑥私は、もちろん千里まで照らせる逸材には遠く及びませんが、せめて一隅を照らせる人間でありたいと思います。 小学校での絵本読み語りも、そういう気持ちで続けてきました。』
⑥については私もまったく同じ気持ちで生きています。
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2009.10.05 Mon
『頂きはどこにある?』
1.『頂はどこにある?』(スペンサー・ジョンソン著 扶桑社刊)を読みました。 日本で370万部の大ベストセラーとなった『チーズはどこへ消えた?』の著者の新作です。
2.「谷間」に住む若者が「山」を目指し、そこで不思議な老人と出会います。 この老人が若者に「人生における『山』と『谷』の話」をします。 それがテーマです。 本書の中にいくつかの教訓が出ています。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①山と谷はただ順境と逆境のことをいうのではない。 外部の出来事を心の中でどう感じ、どう対応するかということでもある。
②山と谷はつながっている。 今日の順境で過ちを犯せば明日の逆境をつくり出す。 そして、今日の逆境で賢明なことを行なえば明日の順境をつくり出す。
③外部の出来事はかならずしも思いどおりにはならない。 しかし、心の中の山と谷は考え方と行動しだいで思いどおりになる。
④谷から出る道が現れるのは物事に対する見方を変えたときである。
⑤順境に感謝し賢明に対処すれば逆境はほとんど経験しなくてすむ。
⑥谷の苦しみはそれまで無視してきた真実に気づかせてくれる。
⑦山にいるときには物事を実際よりもよく思ってはならない。 谷にいるときには物事を実際よりも悪く思ってはならない。 現実を味方にすべきである。』
3.巻末の『物語をおえて』の最後の文章も紹介します。
『仕事も私生活もともに好転したものの、二人は現実をよく知っていたので、行く手には逆境も待っているのがわかっていた。 それでも、いまや、順境も逆境もうまく活用することができる、素晴らしい指針と現実的な方法を手にしていることもわかっていた。 そして、それを他の人びとにも伝える機会がこれからも数多くあると思うと、何とも満ち足りた気持ちになるのだった。』
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2009.10.02 Fri
齊藤泉さん『またあなたから買いたい!』
『またあなたから買いたい!』(齊藤泉著 徳間書店刊)を読みました。 齊藤さんはカリスマ新幹線アテンダントです。 齊藤さんが乗っている山形新幹線の車内販売の平均売上は7万円程度と言われていますが、時には片道で26万円強売るそうです。 また、片道で旅客数(400人程度)の半分弱にあたる187個の駅弁を販売したという驚異的な記録も保持しています。 「プロローグ」から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『①限定された条件で、しかも毎日同じ業務の繰り返しですし、どこに工夫する余地があるのか? と思われるかもしれません。 でもちょっとした工夫や気遣いによって、売上の結果が大きく変わってくることを、私は身をもって体験してきました。 (中略)
②私が人に驚かれる実績を残しているとすれば、こうした工夫や接客方法について、つねに気を配り、目を配り、心を配り、試行錯誤を繰り返してきた積み重ねだと言えるのではないかと思います。
③そして、その根本にあるのが、「もし自分だったら、どうされたら気分がいいか」ということに尽きます。 「心地よさの追求」と言い換えてもいいでしょう。
④私には天才的な能力、もともともって生まれた能力があるわけではありません。 見ず知らずのお客様の立場に立つといっても、なかなか本意を想像することは難しいのですが、少なくとも自分がしてもらってうれしいことならわかります。 (中略)
⑤ワゴンに乗せる商品のセレクトから配置方法、効果的なPOPの利用、車内放送を流すタイミングやその口調・内容、お客様への声のかけ方・・・・・・そういった細々としたことまで、「こうしたほうが、よりいいんじゃないのかな?」と思うことは、日々、出てきます。 (中略)
⑥たとえば、私たちの仕事は、乗車前のワゴンづくりから始まりますが、通勤途中に感じる天候や人の流れを見ながら、「だいぶ寒くなってきたな、ずいぶんコートを着ている人が増えたな。 こんな日は温かい飲み物だな。 よしホットコーヒーをいつもより多めに積もう」とか、「大きな荷物を抱えた家族連れが多いな。 3連休は遠出をする方が多いな。 東京土産よりも、ファミリー向けに、車内で召し上がるアイスやお菓子、沿線のお弁当などの販売に力を入れよう」といったことを、自然に考えるようになりました。』
空手が強くなる上で、最も大切なことは「創意工夫」だと思っています。 「いかに脳みそに汗をかかせるか」ということです。 もちろん、体に汗をかかせることもお忘れなく(笑)。 日曜日は城西カップです。 よい週末を。
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