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知的好奇心と共感力その2

前回のブログで、子どもの将来にとって大切な能力として「知的好奇心」と「共感力」を取り上げました。  

『秘伝』今月号の連載『武道者徒歩記』(日野晃著)のタイトルは『社会で一番重要な能力とは?』でした。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①自分が活動する場としての社会で、一番重要な事は何だろう?   これも当たり前の事だが、「コミュニケーション能力」とそれと同時にある「人間関係を築く能力」がある事だ。  さらに贅沢を言えば「気遣いが出来る事」だ。

②その3つがあれば、そして、それらに加え人間に嫌味がなければ、社会に出ても上司や先輩達に引き立てて貰える。  そういった引き立てがあるから、学校を卒業した当初の社会生活の未熟な時、仕事であれ人間関係であれうまく行くのだ。  もちろん、起業をするとしても同じ能力が必須だ。

③重要なのは、決して専門のスキルではない事だ。  もちろん、スキルはあった方が良いに決まっているが、それが無くてもこの3つの能力さえあれば、社会では生き抜いていけるのだ。  (中略)  

④これらの能力の基礎は、幼児期から少年期に鍛えられるのではないかと私は考える。  それは、野生の時代だからだ。  お母さんから産まれ、良いも悪いも何もかもを知らない、何もかもを体験していない状態があり、そこからたった1年や2年しか経っていない時期だ。

⑤また、幼児の出だしは、それこそ家族や周りの見知った大人達しかいない状態から、同年代、もしくはそれに近い年代の幼児達と初対面し、自分の言い分というか我がままというか、思い通りにいかない事がある、という事に戸惑う時期だ。  (中略)

⑥幼児期少年期の良い所は、年齢差を超えて遊ぶところにある。  お兄ちゃんお姉ちゃんから、遊びやルールを教えて貰う事があったり、時には意地悪されたりもする。  そんなごった煮が気持ちを強くさせたり、顔色を見るという事も覚えるのだ。  これぞ社会性が育つ種である。  (中略)

⑦そして、自分自身の「好奇心」のおもむくままに行動するのが基本だが、見知った人以外の人が出現する事で、つまり、知らない人と認識する事で、人見知りしたり懐いたりといった事が混在する時期でもある。

⑧また、「好奇心」のおもむくままの行動や行為は視線に表れていて、驚くほど透明で怖いほど鋭い視線を浴びせて来るのもこの時期だ。  この視線は生物として本能に属する重要な状態なのだが、これは自意識の発達や知識が増える程に消えて行くから不思議だ。  どうして怖いほど鋭い視線なのかというと、「好奇心」そのものとその「好奇心」の強さが意志の方向を明確にするからだ。

⑨社会では、個人の個性や創造性が大事だと言われている。  では、その個性や創造性は何時何処で育まれるのだろうか?   本来は先程の幼児期が基本となる。  どれだけ「好奇心」だけで動き回ったかだ。  場合によっては、その「好奇心」で何かを作ったり、何かのコレクターになったりする事もある。

⑩私の愚息は2歳くらいの時、街を走る自動車の名前を全部言い当てていた。   愚息が自動車の名前を当てるので「どうして分かるのか?」と、何度質問したか分からない。  とにかく、何かに執着しているような特異性を発揮する事もある。』

①~⑥は「共感力」、⑦~⑩は「好奇心」について書かれています。

※文中の「好奇心」の「」は私が付けました。

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知的好奇心と共感力

『こんなカンタンなことで子どもの可能性はグングン伸びる!』(瀧靖之著 ソレイユ出版)を読みました。  「2章 たった2つの力を育てるだけで、子どもの可能性が大きく広がる!」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①私は、長い間、人間の脳について研究を行う中で、一生の脳の土台となる「子どものときの脳」に大変注目をしてきました。  子どもの脳に焦点を当てたとき、どのようにすれば子どもが幸せに育ち、幸せな人生を送れるのか私たちの研究を通して、とても大きなことが見えてきたのです。

②子どもの将来にとって、大切な能力の要素はさまざまありますが、「とくに大切なのは、たった2つ!」ということです。  その2つとは、子どもの「知的好奇心」と「共感力」です。  長年の研究を通して、この「たった2つの力を育てるだけで、子どもの可能性をグングン伸ばすことができる!」ということがわかってきたのです。

③「知的好奇心」は、「もっと深く知りたい、もっと深く探究したい」という気持ちのことです。  この「知的好奇心」は、子ども自身の力でさまざまな能力を自分のものにし、夢をつくり、自分自身の人生をしっかりと歩いていける力を持っています。

④「共感力」は、「人の気持ちを理解し、寄り添うことのできる力」です。  人を思いやる心をつくり、社会の中でたくさんの人と一緒に生きていくことができる力となります。  (中略)

⑤「知的好奇心」と「共感力」。  この2つの力は、お子さんが生きていく上で、大切な車の両輪といえます。  それぞれが同じように育つことで、まっすぐにしっかりと前に進むことができます。

⑥「知的好奇心」がしっかり育っていても、「共感力」が育っていないと、たとえばこんなふうに車は傾いてしまいます。

・どんなにやりたいことがあっても、どんなに学校の成績がよくても、なかなか友達をつくることができません。

・自分の望む仕事につくことができても、人と一緒に何かをすることが苦手で、仲間と一緒に仕事をする喜びや達成感を味わうことができません。  社会の中にいることがつらくなってしまうことでしょう。
 
⑦反対に、「共感力」が育っていても、「知的好奇心」が低いと、どうでしょう。  

・思いやりのあることで、多くの人から好かれ、まわりにはいつも友達がいっぱい。  ですが、興味を持てるものがなく、毎日がつまらない。

・いつも自分が何をしたいのか、何をしたらよいのかがわからず、ただ、そのときそのときの環境に流されてしまうことでしょう。

⑧ノーベル賞をはじめ、優れた業績に贈られる受賞者の会見や、スポーツで優勝した選手のインタビューなどをテレビで見ていると、感動をもって気づくことがあります。

⑨受賞された方々の多くが、眼を熱くして、「この賞は、私一人の賞ではありません。  支えてくれたみなさんと一緒にいただいた賞です」と、語っています。  自分個人に与えられた賞でありながら、自分を育ててくれた恩師の方や、一緒に仕事をした仲間、支えてくれたスタッフ、そして、両親や家族への感謝でいっぱいの受賞者の姿が、いつも印象強く心に残ります。

⑩どんなに優秀な能力があっても、人が一人でできることは限られています。   それを大きなものにしてくれるのは、一緒に仕事をする仲間、助けてくれる人々の存在であることを、私たちは受賞者の言葉から教えられます。

⑪受賞された方々の高い能力は、人一倍強い知的好奇心が実を結んだものでしょう。  頂点を極めるためには、人知れぬつらい経験も乗り越えてきたはずです。  そして、ひとつの大きな仕事をするためには、どこの場でも、たくさんの人との関わりあいがあります。

⑫人に信頼されなければ、たくさんの人と一緒に仕事は成し遂げられません。  相手の気持ちに寄り添う、思いやる、この共感力の高い人と人とがつながったとき、すばらしい実を結ぶのだといえます。』

極真空手の稽古における「知的好奇心」は、「もっと型がうまくなりたい、もっと組手が強くなりたい」という気持ちから生まれてきます。  

また、「共感力」は一緒に稽古する友達、一緒に試合に出る仲間とともに養うことが可能です。  そういった意味で、空手の試合は個人競技ではありますが、チームの一体感がとても大切になります。



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褒め方の重要性

1.11月15日のブログのタイトルは『つねに褒めること』でした。  似たような内容の記事が12月13日の日経新聞・夕刊に載っていました。  

書き手は京都女子大学教授の正木大貴さんで、タイトルは『「僕すごい?」どこまで満たす・・・「条件付きの承認」には注意』です。  番号を付けて紹介します。

『①承認欲求は人間なら誰しもが持っている自然な欲求で、小学校低学年の子どもが持っていることは健康的だともいえる。  子どもの場合は、まず身近な親に認めてもらうことで「自分という存在を受け入れてもらえる」 「自分は誰かから認められる大切な存在なんだ」と安心感や自己肯定感を育んでいく。

②親としては逐一、子どもの「すごい?」 「えらい?」に応えるのは大変かもしれないが、小学生のうちは存分に褒めて、認めてあげよう。  ただ、親の反応が「条件付きの承認」になってしまうのはよくない。

③条件付きの承認とは、例えば「試合に勝ったからえらい」 「テストで100点を取ったからえらい」と、認める対象を限定してしまうことだ。  どんな結果であれ「頑張ったあなたが素晴らしいんだよ」と、ありのままのわが子を受け入れ、認めるようにする。

④さらに注意が必要なのは、親が条件付きの承認をすることで、子どもを望む方向へ誘導しようとしてしまう場合。  子どものやる気や頑張りを引き出そうとするあまり、「宿題をしなければ(100点を取らなければ)えらいとは言えないよ」といった具合に、巧みに子どもを誘導しようとすることはよくない。  子どもがその条件を満たせない場合、「自分には価値がない」と自信をなくし、自分の存在の基盤となる自己肯定感が育めなくなる。

⑤こうした誘導の背景には、親自身が「もっと人から認められたい」と思っているケースもある。  仕事や家庭で満たされない思いを、「勉強ができるわが子はすごい」などと、子どもを通じて晴らそうとしていないだろうか。

⑥条件付きの承認は、コミュニケーションにおいてもトラブルを起こすことが予想される。  子どもは「認められるためには他人よりも優れていなければならない」 「周りの期待通りに振る舞わなければならない」と思い始める。  そうすると友達を過度にライバル視してしまったり、親にも友達にも本心を明かせない、といった孤独感を抱えたりすることになってしまう。

⑦ちなみに、子どもの承認欲求を満たすために、無理をしてまで褒める必要はない。  例えば子どもが本を読んでいたら、「本を読んでいるんだね」というだけでよく、「本を読んでいてえらいね」と、プラスアルファの要素まで足す必要はない。  「本を読んでいるんだね」だけでも、子どもは親が自分に注目してくれていると分かるし安心する。

⑧小さな頃から承認欲求を満たしてあげて、子どもが自己肯定感を育めれば「ありのままの自分でいいんだ」と他人の目を気にすることも少なくなる。  反対に十分に承認欲求が満たされないまま育つと、常に他人の評価が気になり、SNS(交流サイト)でいうところの「いいね」をもらえないと自分を保てない。

⑨一昔前はいつも子どもを抱っこしていると「抱っこぐせが付く」といわれていた。  しかし、今は十分に抱っこし、甘えさせることで子どもは安心し、親から巣立っていこうとすることが、発達心理学でも明らかになっている。

⑩一方、小学校高学年以上になると、子どもは親だけではなく、友達など親以外の人からの承認も求めるようになる。  ただし、期待通りに認められることのほうが少ないかもしれない。  そんなときでも、親が「そのままのあなたを受け入れるよ」という姿勢を崩さずにいると、子どもは自信を失わずに済む。

⑪子どもは成長するにつれ、学校や友人関係がうまくいかないなど、家庭の外で傷つく機会も増えてくる。  公認心理師としてカウンセリングをする中で、スマートフォンなどが普及したがために、常に誰かとつながっていなければならないといった状況の中で、心身のバランスを崩す思春期の子どもたちが増えていると感じる。

⑫子どもが今後、どんな困難に直面しようと、親は常にわが子を認め続け、最後の砦(とりで)でいてあげてほしい、と切に願う。』


2.同じ紙面に、陸上100メートルの日本記録保持者・山縣亮太さんのインタビュー記事も載っていました。  タイトルは『父の「おまえが一番」で自信』です。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『――中学、高校で選手として頭角を現します。当時はどんな状況でしたか。

①「両親は、とにかく褒めてくれました。  自分の中から自信をつくっていくのが苦手で、褒められて救われたことも多々ありました」

②「記憶に残っているのが高3のときの国民体育大会(国体)の試合です。  直前の全国高校総体(インターハイ)で3位に敗れ、すごく不安になっていました。  そんなとき、父が2人きりの車の中で『やっぱりおまえの走りが一番だと思うわ』と声をかけてくれました」

③「自分も心のどこかで思っていたことを言葉にしてくれ、自信になりました。  スタートラインに立つと緊張して精神的に不安定になりがちですが、自分を保たせてくれたのが父親の一言でした。  その結果、国体の少年男子A100メートルという部門で優勝できました」』

以前、NHKで山縣選手のドキュメンタリー番組を見たことがあります。  未熟児で生まれ、インキュベーターの中に入っている山縣選手の映像が妙に印象的でした。

11月15日のブログで紹介した内容もそうですが、褒め方一つでその子の人生が大きく変わってくる可能性がありますね。

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