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脳細胞を育てる

1.『脳を鍛えるには運動しかない!』(ジョン・J・レイティ著 NHK出版)を読みました。  「第一章 運動と脳に関するケーススタディ」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①シカゴの西、ゆるやかな丘の上に立つれんが造りのネーパーヴィル・セントラル高校の地階にある天井の低い部屋には、何台ものランニングマシンとエアロバイクが並べられている。  午前7時10分。  これから体育の授業が始まるのだ。  (中略)

②これは昔ながらの体育の授業ではない。  一連の教育実験における最新の取り組み、「0時限体育」である(その名称は、1時限目の前に組み入れられたことによる)。  型破りな体育教師のグループが始めたもので、その結果、ネーパーヴィル203学区の生徒1万9000人は、全国一健康になり、成績も目覚ましく向上した。  (中略)

④なぜ成績向上を期待するかというと、近年の研究によって、運動が生物学的変化を引き起こし、脳のニューロンを結びつけることがわかったからだ。  脳が学習するには、そうした結びつきが作られなければならない。  神経学者がこのプロセスについて研究するうちに、運動がなによりの刺激となって、脳は学習の準備をし、意欲をもち、その能力を高めることがわかってきた。

⑤とくに有酸素運動は「適応」に劇的な効果を及ぼす。  「適応」とは、心身のシステムのバランスを整え、その能力を最大限にしようとする機能であり、自分の可能性を切り開いていこうとする人にとって、欠くことのできないメカニズムだ。』


2.「第二章 脳細胞を育てよう」からも抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①ここまでくれば、運動が三つのレベルで学習を助けていることは十分おわかりいただけたと思う。  まず、気持ちがよくなり、頭がすっきりし、注意力が高まり、やる気が出てくる。  つぎに、新しい情報を記録する細胞レベルでの基盤としてニューロンどうしの結びつきを準備し、そして三つ目に、(脳の)海馬の幹細胞から新しいニューロンが成長するのを促す。  (中略)

②有酸素運動と複雑な動きはそれぞれ別の有益な効果を脳にもたらすのだ。  ありがたいことに、この二つは互いに補いあっている。  「両方を取り入れることが大切だ」と神経科学者のウィリアム・グルーノーは言う。  「運動の計画を立てるなら、技能の習得と有酸素運動を含めるべきです」  (中略)

③有酸素運動が神経伝達物質を増やし、成長因子を送り込む新しい血管を作り、新しい細胞を生み出す一方で、複雑な動きはネットワークを強く広くして、それらをうまく使えるようにする。  動きが複雑であればあるほど、シナプスの結びつきは複雑になる。

④また、こうしたネットワークは運動を通して作られたものではあっても、ほかの領域に動員され、思考にも使われる。  ピアノを習っている子どもが算数を習得しやすいのはそのためだ。  前頭前野は、難しい動きをするために必要な知的能力を、ほかの状況にも応用しているらしい。  

⑤ヨガのポーズ、バレエのポジション、体操の技、フィギュアスケートの基本、ピラティスの姿勢、空手の型・・・これらすべての練習には、脳全体のニューロンがかかわっている。

⑥そしてたとえば、ダンサーを対象とするいくつかの研究によれば、規則的なリズムに合わせた動きよりも、不規則なリズムに合わせた動きの方が脳の可塑性が向上するという。

⑦歩く以上に複雑な運動技能はすべて、学ばなければ身につかないため、どれも脳を刺激する。  はじめは少々ぎこちなくて恰好悪くても、小脳と大脳基底核と前頭前野をつないでいる回路がスムーズに流れるようになるにつれて、動きは正確になっていく。

⑧何度も繰り返すことでニューロンの軸索の周りの髄鞘も厚くなっていき、信号の質や伝達速度が向上し、回路はより効率的になる。  空手を例に挙げれば、ある型を習得すると、より複雑な動きにそれを組み入れられるようになり、じきに状況に応じた反応も洗練されてくる。』


3.本書を読むと、以下の理由で、空手の稽古は脳を育てるのに最適ですね。

(1)空手の稽古自体が、心肺機能のスタミナを養成する有酸素運動そのものです。・・・上記1.⑤、2.②③参照

(2)基本・移動稽古・型は、きわめて複雑な動きの習得の積み重ねです。・・・上記2.③参照

(3)スパーリング・組手試合は相手との攻防になるため、当然、不規則なリズムに合わせた動きとなります。・・・上記2.⑥参照






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極真会館の道徳教育

1.梅原猛著作集13『現代を生きる』(小学館)を読みました。 「自序」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①もう一つ、私はこの巻で教育と道徳の問題についてふれている。  (中略)  しかしオウム真理教などの事件が起こり、いままで考えられなかったような青少年の犯罪が増加する中で、私も道徳の問題に強い関心をもたざるをえなくなった。  (中略)

②  ドストエフスキーは、ヨーロッパの道徳はすべてキリスト教に由来しているので、キリスト教が信じられなかったら道徳も確固たる基盤を失うと考える。  しかし日本においてはいったいどうなっているのか。  (中略)

③私は江戸時代においては、道徳はやはり宗教によって与えられていたと思う。  儒教というものを宗教と考えれば、武士階級の宗教はやはり儒教であった。  そしてそのような儒教的な道徳によって武士は厳しくおのれを持した。

④しかし庶民階級の道徳は儒教道徳ではない。  それはやはり寺子屋で教えられる仏教の道徳であった。  ほとんどの日本の仏教がそうである大乗仏教では、やはり自利利他ということを最高の教義としてもつ。  この自利利他の精神を寺子屋で僧は子供たちに教えたのであろう。  (中略)

⑤ところが明治以後、学校教育の制度ができて、教育が僧侶の手を離れ、学校教師の手に任せられた。  そして学校で道徳教育は修身として教えられたが、その修身教育なるものはほとんど仏教思想ではなく、国家主義と儒教との混同した、はなはだ無味乾燥なものであったといってよい。  このような精神にもとづいて「教育勅語」がつくられた。  (中略)

⑥そうして近代的天皇教というものがつくられたが、そこでの道徳は儒教でも仏教でもなく、はなはだ根の浅い国家主義思想であった。  (中略)  しかしそういう修身道徳は日本の国家主義の思想であるといって、戦後、マッカーサー司令部によって禁止された。  それゆえ今日、道徳は学校教育においてまったく教えられていない。

⑦家庭において道徳が教えられるかというと、家庭においては、よい学校にいき、よい会社に就職しようとするような知恵は与えられるが、道徳についてはほとんど教えられない。  (中略)

⑧よい教育を受け、よい大学に入り、よい会社に就職した人間も道徳心がほとんどなく、さまざまな犯罪を犯す。 彼らには、真に日本を愛し、真に人類のことを憂える心がまったく欠如している。  (中略)

⑨森前首相の「今の日本にも教育勅語が必要である」という発言は、日本には何らかの道徳的基準がない、そういう基準を日本がもたねばならぬという意味なら私は賛成であるが、その道徳が天皇の言葉によって与えられ、それがまったく従来の日本の仏教などの精神を受け継いでいないことに対しては反対である。

⑩今もう一度、日本は伝統に目覚め、仏教を中心に儒教やキリスト教の道徳までを総合して一つの道徳を創出すべきではないだろうか。』

大山倍達総裁が掲げた極真会館の理念は「頭は低く、目は高く、口を謹んで心広く、孝を原点として他を益す」です。  「孝を原点として」は儒教的ですし、「他を益す」は仏教的ですね。  梅原先生が⑩で言われている、「道徳の創出」そのものだと思います。


2.昇級審査会などで、少年部によく次のような話をします。

「空手を続けさせてもらっているのも、審査会を受けさせてもらっているのも、すべて皆さんのお父さんやお母さんのおかげです。  ぜひ、ご両親に関する感謝の気持ちを忘れないで下さい。」  

「道徳」もはじめは、身近な人に対する「感謝」の気持ちからです。

道徳教育という面でも、極真会館の果たすべき役割は、とても大きいと思います。


3.最近の指導員ブログでも以下の記述を見つけました。

①8月9日 中川先生(落合道場)

「本日の落合道場では先日の審査会で昇級した子供達に新しい帯を渡しました。
空手を続けさせてくれる両親にきちんと感謝の言葉を伝えてこれからも次の帯に向けて頑張っていこう!!」

②8月11日 林先生(府中道場)

「本日、審査会の帯がやっと届きました。
首を長くして待っていた皆さんに新しい帯と賞状を渡しました。凄く嬉しい顔をしていました( ^ω^ )
おめでとうございます!感謝の気持ちを忘れずに!」

③9月15日 亘先生(吉祥寺道場)

「ここ最近になって、多くのお友達が新しく入会してくれています!
その為、稽古には白帯の子供達の参加が多く活気溢れる稽古となっています。
道着が届き、嬉しそうに着ていました!(^_^)
お迎えにきたお父さんお母さんに、きちんと道着のお礼が言えていたので感心しました!」

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非認知能力

1.『小さな会社 ランチェスター式 「儲ける戦略」』(栢野克己著 コスミック出版)を読みました。  その中に伊藤清隆さんの講演録が載っています。  伊藤さんが経営する会社は、子供向けスポーツ教室では日本一だそうです。  『勉強ではなく「非認知能力」』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①「認知能力」はIQとかいわゆる偏差値、まあお勉強のほうですね。  「非認知能力」というのは勤勉性とか、意欲とか、やり抜く力とか、思いやり、忍耐力。  人間的な力ですね。  最近、「非認知能力が高い人ほど年収が高い」というデータがようやく出てきたんです。

②今までは、イイ大学に入って偏差値が高い大学に入って、イイ会社に入って、そっちのが良いとみんな思ってましたが、違うことが立証されたんです。  (中略)

③そのかわり、例えば「生き抜く力」がある、成功している社長さんとかは。  生き抜く力って「非認知能力」、どうやって身に付けるかと言えば、実は幼少期。  小学校6年生くらいまでにつけておかないと、えらい目になりますよという話。  (中略)

④今ですね、ご存知のように、特に日本の男の子がみんなゲームですよ。  ゲームばっかりじゃ終わりですよ。  耐性がなくて。  お勉強とゲームばっかりやって中学入りました、いい高校入りました、ところが途中でポキント折れて不登校になりましたとか引きこもりとか。  (中略)

⑤そういう人はみんな、非認知能力が低いんですよ。  そんなものは屁でもないと思わないと。  会社で求められるのはそうじゃないですよね。  起業する人なんかもこちらのほうが高いですね。  勤勉性、『やりぬく力 グリット』とかいう本が出ていましたけど、決めたらやる根性みたいなもんですね。  (中略)

⑥まぁそういった、大きく言えば、社会に出ていく、社会で成功する力っていうのが非認知能力。  これがある人が、一番身に付けやすいのはスポーツだと私は思っています。  スポーツをやる中で、子どもの頭で考えさせる。  その習慣付けをしていくと。  (中略)

⑦そうやって1年2年3年ぐらい経つと見違えるように。  体型ももちろん変わりますし、モジモジくんが、「ハイ!  なんとか君並んで」って、やってるんですよ。  つまり、非認知能力っていうのがつくんです。  これはもう、実感として、すげえなぁスポーツって。』


2.『認める。  励ます。  勇気づける。』の項からも抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①そのかわり、すぐ辞めちゃいますから、辞めないようにやるのが大事。  それは、褒めて認めて励まして勇気づける。  要はあんまり叱ったりしない。  何でもいいから認める。  励ます。  勇気づける。  その連続で、もう3年は通わせないとダメなんです。

②「そんな1年や2年通ったって身につかないです」ってお母さんにはっきり言います。  で、6年生まで通わせる。

③「塾に行ってもいいけど、ウチにも来てください。  社会的な成功がしたいなら。  したいんでしょ?  あなたのお子さんが途中で引きこもりとかになってもいいんですか」と。』


道場に通う少年部も、体力だけではなく、非認知能力が身についているのだと思います。

我々指導者も、そういう意識で少年部に接する必要がありますね。  

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