2022.12.17 Sat
褒め方の重要性
1.11月15日のブログのタイトルは『つねに褒めること』でした。 似たような内容の記事が12月13日の日経新聞・夕刊に載っていました。
書き手は京都女子大学教授の正木大貴さんで、タイトルは『「僕すごい?」どこまで満たす・・・「条件付きの承認」には注意』です。 番号を付けて紹介します。
『①承認欲求は人間なら誰しもが持っている自然な欲求で、小学校低学年の子どもが持っていることは健康的だともいえる。 子どもの場合は、まず身近な親に認めてもらうことで「自分という存在を受け入れてもらえる」 「自分は誰かから認められる大切な存在なんだ」と安心感や自己肯定感を育んでいく。
②親としては逐一、子どもの「すごい?」 「えらい?」に応えるのは大変かもしれないが、小学生のうちは存分に褒めて、認めてあげよう。 ただ、親の反応が「条件付きの承認」になってしまうのはよくない。
③条件付きの承認とは、例えば「試合に勝ったからえらい」 「テストで100点を取ったからえらい」と、認める対象を限定してしまうことだ。 どんな結果であれ「頑張ったあなたが素晴らしいんだよ」と、ありのままのわが子を受け入れ、認めるようにする。
④さらに注意が必要なのは、親が条件付きの承認をすることで、子どもを望む方向へ誘導しようとしてしまう場合。 子どものやる気や頑張りを引き出そうとするあまり、「宿題をしなければ(100点を取らなければ)えらいとは言えないよ」といった具合に、巧みに子どもを誘導しようとすることはよくない。 子どもがその条件を満たせない場合、「自分には価値がない」と自信をなくし、自分の存在の基盤となる自己肯定感が育めなくなる。
⑤こうした誘導の背景には、親自身が「もっと人から認められたい」と思っているケースもある。 仕事や家庭で満たされない思いを、「勉強ができるわが子はすごい」などと、子どもを通じて晴らそうとしていないだろうか。
⑥条件付きの承認は、コミュニケーションにおいてもトラブルを起こすことが予想される。 子どもは「認められるためには他人よりも優れていなければならない」 「周りの期待通りに振る舞わなければならない」と思い始める。 そうすると友達を過度にライバル視してしまったり、親にも友達にも本心を明かせない、といった孤独感を抱えたりすることになってしまう。
⑦ちなみに、子どもの承認欲求を満たすために、無理をしてまで褒める必要はない。 例えば子どもが本を読んでいたら、「本を読んでいるんだね」というだけでよく、「本を読んでいてえらいね」と、プラスアルファの要素まで足す必要はない。 「本を読んでいるんだね」だけでも、子どもは親が自分に注目してくれていると分かるし安心する。
⑧小さな頃から承認欲求を満たしてあげて、子どもが自己肯定感を育めれば「ありのままの自分でいいんだ」と他人の目を気にすることも少なくなる。 反対に十分に承認欲求が満たされないまま育つと、常に他人の評価が気になり、SNS(交流サイト)でいうところの「いいね」をもらえないと自分を保てない。
⑨一昔前はいつも子どもを抱っこしていると「抱っこぐせが付く」といわれていた。 しかし、今は十分に抱っこし、甘えさせることで子どもは安心し、親から巣立っていこうとすることが、発達心理学でも明らかになっている。
⑩一方、小学校高学年以上になると、子どもは親だけではなく、友達など親以外の人からの承認も求めるようになる。 ただし、期待通りに認められることのほうが少ないかもしれない。 そんなときでも、親が「そのままのあなたを受け入れるよ」という姿勢を崩さずにいると、子どもは自信を失わずに済む。
⑪子どもは成長するにつれ、学校や友人関係がうまくいかないなど、家庭の外で傷つく機会も増えてくる。 公認心理師としてカウンセリングをする中で、スマートフォンなどが普及したがために、常に誰かとつながっていなければならないといった状況の中で、心身のバランスを崩す思春期の子どもたちが増えていると感じる。
⑫子どもが今後、どんな困難に直面しようと、親は常にわが子を認め続け、最後の砦(とりで)でいてあげてほしい、と切に願う。』
2.同じ紙面に、陸上100メートルの日本記録保持者・山縣亮太さんのインタビュー記事も載っていました。 タイトルは『父の「おまえが一番」で自信』です。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『――中学、高校で選手として頭角を現します。当時はどんな状況でしたか。
①「両親は、とにかく褒めてくれました。 自分の中から自信をつくっていくのが苦手で、褒められて救われたことも多々ありました」
②「記憶に残っているのが高3のときの国民体育大会(国体)の試合です。 直前の全国高校総体(インターハイ)で3位に敗れ、すごく不安になっていました。 そんなとき、父が2人きりの車の中で『やっぱりおまえの走りが一番だと思うわ』と声をかけてくれました」
③「自分も心のどこかで思っていたことを言葉にしてくれ、自信になりました。 スタートラインに立つと緊張して精神的に不安定になりがちですが、自分を保たせてくれたのが父親の一言でした。 その結果、国体の少年男子A100メートルという部門で優勝できました」』
以前、NHKで山縣選手のドキュメンタリー番組を見たことがあります。 未熟児で生まれ、インキュベーターの中に入っている山縣選手の映像が妙に印象的でした。
11月15日のブログで紹介した内容もそうですが、褒め方一つでその子の人生が大きく変わってくる可能性がありますね。
書き手は京都女子大学教授の正木大貴さんで、タイトルは『「僕すごい?」どこまで満たす・・・「条件付きの承認」には注意』です。 番号を付けて紹介します。
『①承認欲求は人間なら誰しもが持っている自然な欲求で、小学校低学年の子どもが持っていることは健康的だともいえる。 子どもの場合は、まず身近な親に認めてもらうことで「自分という存在を受け入れてもらえる」 「自分は誰かから認められる大切な存在なんだ」と安心感や自己肯定感を育んでいく。
②親としては逐一、子どもの「すごい?」 「えらい?」に応えるのは大変かもしれないが、小学生のうちは存分に褒めて、認めてあげよう。 ただ、親の反応が「条件付きの承認」になってしまうのはよくない。
③条件付きの承認とは、例えば「試合に勝ったからえらい」 「テストで100点を取ったからえらい」と、認める対象を限定してしまうことだ。 どんな結果であれ「頑張ったあなたが素晴らしいんだよ」と、ありのままのわが子を受け入れ、認めるようにする。
④さらに注意が必要なのは、親が条件付きの承認をすることで、子どもを望む方向へ誘導しようとしてしまう場合。 子どものやる気や頑張りを引き出そうとするあまり、「宿題をしなければ(100点を取らなければ)えらいとは言えないよ」といった具合に、巧みに子どもを誘導しようとすることはよくない。 子どもがその条件を満たせない場合、「自分には価値がない」と自信をなくし、自分の存在の基盤となる自己肯定感が育めなくなる。
⑤こうした誘導の背景には、親自身が「もっと人から認められたい」と思っているケースもある。 仕事や家庭で満たされない思いを、「勉強ができるわが子はすごい」などと、子どもを通じて晴らそうとしていないだろうか。
⑥条件付きの承認は、コミュニケーションにおいてもトラブルを起こすことが予想される。 子どもは「認められるためには他人よりも優れていなければならない」 「周りの期待通りに振る舞わなければならない」と思い始める。 そうすると友達を過度にライバル視してしまったり、親にも友達にも本心を明かせない、といった孤独感を抱えたりすることになってしまう。
⑦ちなみに、子どもの承認欲求を満たすために、無理をしてまで褒める必要はない。 例えば子どもが本を読んでいたら、「本を読んでいるんだね」というだけでよく、「本を読んでいてえらいね」と、プラスアルファの要素まで足す必要はない。 「本を読んでいるんだね」だけでも、子どもは親が自分に注目してくれていると分かるし安心する。
⑧小さな頃から承認欲求を満たしてあげて、子どもが自己肯定感を育めれば「ありのままの自分でいいんだ」と他人の目を気にすることも少なくなる。 反対に十分に承認欲求が満たされないまま育つと、常に他人の評価が気になり、SNS(交流サイト)でいうところの「いいね」をもらえないと自分を保てない。
⑨一昔前はいつも子どもを抱っこしていると「抱っこぐせが付く」といわれていた。 しかし、今は十分に抱っこし、甘えさせることで子どもは安心し、親から巣立っていこうとすることが、発達心理学でも明らかになっている。
⑩一方、小学校高学年以上になると、子どもは親だけではなく、友達など親以外の人からの承認も求めるようになる。 ただし、期待通りに認められることのほうが少ないかもしれない。 そんなときでも、親が「そのままのあなたを受け入れるよ」という姿勢を崩さずにいると、子どもは自信を失わずに済む。
⑪子どもは成長するにつれ、学校や友人関係がうまくいかないなど、家庭の外で傷つく機会も増えてくる。 公認心理師としてカウンセリングをする中で、スマートフォンなどが普及したがために、常に誰かとつながっていなければならないといった状況の中で、心身のバランスを崩す思春期の子どもたちが増えていると感じる。
⑫子どもが今後、どんな困難に直面しようと、親は常にわが子を認め続け、最後の砦(とりで)でいてあげてほしい、と切に願う。』
2.同じ紙面に、陸上100メートルの日本記録保持者・山縣亮太さんのインタビュー記事も載っていました。 タイトルは『父の「おまえが一番」で自信』です。 抜粋し、番号を付けて紹介します。
『――中学、高校で選手として頭角を現します。当時はどんな状況でしたか。
①「両親は、とにかく褒めてくれました。 自分の中から自信をつくっていくのが苦手で、褒められて救われたことも多々ありました」
②「記憶に残っているのが高3のときの国民体育大会(国体)の試合です。 直前の全国高校総体(インターハイ)で3位に敗れ、すごく不安になっていました。 そんなとき、父が2人きりの車の中で『やっぱりおまえの走りが一番だと思うわ』と声をかけてくれました」
③「自分も心のどこかで思っていたことを言葉にしてくれ、自信になりました。 スタートラインに立つと緊張して精神的に不安定になりがちですが、自分を保たせてくれたのが父親の一言でした。 その結果、国体の少年男子A100メートルという部門で優勝できました」』
以前、NHKで山縣選手のドキュメンタリー番組を見たことがあります。 未熟児で生まれ、インキュベーターの中に入っている山縣選手の映像が妙に印象的でした。
11月15日のブログで紹介した内容もそうですが、褒め方一つでその子の人生が大きく変わってくる可能性がありますね。