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つねに褒めること

1.10月24日のブログで『チンプ・パラドックス』(スティーブ・ピーターズ著 海と月社)を紹介しました。  ブログから一部抜粋・紹介します。

『①(本書では脳内の)前頭葉、辺縁系、頭頂葉をそれぞれ〈人間〉、〈チンパンジー〉、〈コンピュータ〉と名づける。  この三つの領域は協調してはたらくこともあるが、たびたび対立して主導権を握ろうとする。  その争いでは〈チンパンジー〉(辺縁系)が勝つことが多い。

②あなたの〈コンピュータ〉には、ふたつの機能がある。

・情報、信念、価値観の源になる。
・プログラムされた思考と態度によって無意識に考え、行動できる。

③〈コンピュータ〉の動作速度は〈チンパンジー〉の約四倍、〈人間〉の二十倍と考えられる。  したがって〈コンピュータ〉が正常に機能すれば、〈チンパンジー〉や〈人間〉が思考を終えるまえに、驚くべき速さで正確に命令を実行できる。』

2.今回は本書の「4章 心の〈コンピュータ〉を理解するために」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『(1)〈コンピュータ〉の構成は?

・〈自動運転〉=建設的で役に立つ信念や態度。
・〈グレムリン〉=役に立たないか破壊的な信念や態度だが、取り除くことができる。
・〈ゴブリン〉=同じく役に立たないか破壊的な信念や態度。  こちらは、しっかりと根を張っていて、取り除くことはきわめて困難。
・〈人生の石板〉=人生のよりどころとなる価値観や信念が刻まれている。  

(2)〈ゴブリン〉と〈グレムリン〉

①〈ゴブリン〉と〈グレムリン〉は〈コンピュータ〉に蓄えられた役に立たない破壊的な行動、信念、自動プログラムだ。  

②〈ゴブリン〉は、たいてい幼い時期(8歳まで)に〈コンピュータ〉に入力される。

③〈ゴブリン〉は程度の差こそあれ、〈コンピュータ〉としっかり結びつき、削除するのがとてもむずかしい。

④〈グレムリン〉は〈コンピュータ〉との結びつきがそれほど強くないので、見つければ取り除くことができる。

(3)〈ゴブリン〉の例

①〈ゴブリン〉でもっとも一般的なのは、「冷蔵庫の扉シンドローム」だ。  これは多くの欧米人に影響を与えている。

②小学校への登校初日、子どもがワクワクしていると、先生が「お父さんとお母さんの絵を描きましょう」と言う。  子どもは描いた絵をもって家に帰り、親に見せる。

③シナリオ1・・・親は「とっても上手ね。  あなたは頭がいい。  自慢の子よ。  みんなに教えてあげなくちゃ」と言い、冷蔵庫の扉にその絵を貼って、わが子の賢さを周囲に知らせる。  するとその子は、人生をともに歩む大きな〈ゴブリン〉を持つことになる!

④シナリオ2・・・親はその子に「ちょっと待って」と言い、絵を横に置くと、わが子を抱きしめる。  「あなたは自慢の子よ。  あなたのような賢い子がいてくれてうれしい。  どれだけうれしいか、みんなに教えてあげなくちゃ」。  そう言ってから、ふたりで絵について話し、親は絵とわが子を褒め、上手に描けているから冷蔵庫の扉に貼ったらどうかと提案する。

⑤シナリオ1では、親は子どもの賢さを褒め、わが子がなしとげたことで胸を張る。  言い換えれば、その子の価値は絵のうまさで決まると暗に示している。  そして、 みんなに見せたいから絵を冷蔵庫の扉に貼ろうと続ける。  

⑥したがって、子どもに伝わるメッセージは、「あなたの価値は人生で達成したことによって決まる。  他人から高く評価されるのは、何かをなしとげるからだ」となる。

⑦一方、シナリオ2で子どもに伝わるメッセージは、「あなたはありのままですばらしい。  愛され、尊敬されるのはあなた自身がすばらしいからであって、何かをなしとげたからではない」だ。

⑧親はさらに、立派なことをするのはすばらしいけれど、自分の価値と混同してはいけない、と続ける。  もちろん、子どもが全力を尽くして何かをしたときには、でき具合がどうであれ、つねに褒めることが望ましい。

⑨ふたつのシナリオは、理解しやすいように極端な見方をとっているが、ふだんから私たちは、自分が何をして、他人がどう思うかということをあまりにも気にしすぎていることに気づいてほしい。  

⑩試験を受けるとき、多くの学生は試験の結果を心配し、怖れる。  (中略)  もしも誰からも悪く見られないとわかっていれば、私たちはまず怖がらない。  不合格になったあとの対処もさほど苦にならず、自己評価が試験結果に左右されることもなくなる。  冷蔵庫の扉の〈ゴブリン〉など怖くなくなる!』

今週末19日の土曜日は「2022国際親善空手道選手権大会」です。  城西支部からも多くの少年部選手が出場します。

応援のご父兄には、(3)⑧にあるように「子どもが全力を尽くして試合をしたときには、勝ち負けはどうであれ、つねに褒めること」をお願いしたいと思います。

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教育とネガティブ・ケイパビリティ

今回も前回に引き続き、作家・精神科医の帚木蓬生さんの『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』(朝日新聞出版)からです。  「第9章 教育とネガティブ・ケイパビリティ」に面白い記述があったので、抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①つい最近、「タイム」誌に興味深い論考が載りました。  親は普通で、生まれた子供がすべてそれぞれの道で成功をおさめている、九家族を調査した結果の報告です。

②全員が二人か三人きょうだいですが、全く違う分野で傑出した仕事をしているのです。  例えば三人姉妹の場合、長女は大学の疫学教授、次女はユーチューブのCEO、三女は遺伝子検査会社のCEOです。

③一男二女の場合、長女はヤフーの大幹部、長男は検事、次女は保険局長といった具合です。  かと思えば、長男がペンシルヴェニア大副学長、次男はシカゴ市長、三男がハリウッド映画製作会社協会の事務局長という三兄弟もいます。  しかし、両親は普通の人々で、親の七光の要素は皆無です。


2.この九家族の教育から共通点を引き出すと、次の六つの要素が見えてきました。

①第一は、ほとんどが他国からの移民でした。  移住者はそれだけで、本国人に比べてすべての面でハンディキャップを負います。  (中略)  しかしこのハンディが、子どもたちに負けてなるものかという向上心と忍耐強さを与えていました。

②第二に、両親は子供の小さい頃、教育熱心でした。  0歳から5歳までの学校教育以前の早い時期に、子供たちにさまざまなことを学ばせていました。  つまり学ぶ心を、就学以前に植えつけていたのです。

③第三は、親が社会活動家であり、世の中をよりよく変えていくための運動をしていました。  子供は親の行動を通して、社会の不合理を学びとり、それを変革していく姿勢を学んでいたのです。  いわばこうして自分を取り巻く世界の理解を深めたのです。

④第四は、家庭の中が決して平穏ではなく、両親の言い争い、きょうだい喧嘩と無縁ではなかった点です。  とはいっても両親の争いは決して暴力沙汰ではなく、社会の見方の違いからの意見の突き合わせのようなものです。  不登校や万引、喫煙、殴り合いの喧嘩も、子供たちは十代の頃経験しています。  移民の子としていじめられた子供もいますが、これが却ってなにくそという精神力を培っていました。

⑤第五は、子供時代に人の死を何度も見て、生きていることの貴重さを学んでいる点です。  人の死を知ることは、自分の人生の限界を知ることに直結します。  だからこそ、生きているうちに自らのやりたいことを成し遂げる馬力も、生まれてくるでしょう。

⑥最後の六つ目は、丁寧な幼児教育のあとの、放任主義です。  すべての子供が、何をしても許されたと言います。  すべてを自分自身の責任に任せられると、逆に子供は野放図なことはできません。  「お前たちは、他人のゴールには絶対辿り着けない。  お前がテープを切れるのはお前のゴールだけだ。」と言われたのです。


3.①この六つのどれ一つとっても、いわゆる教育ママやパパのやり方とは正反対です。  親が敷いたレールに子供を乗せ、猛スピードで後ろから押していく方法とは好対照です。

②そしてそこに、私たちはネガティブ・ケイパビリティの力を見ることができます。』

目からうろこの内容でした。  特に、2.④の「家庭の中が決して平穏ではなく」というのは、一般的な教育環境として相応しくないと思っていました。

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将棋で学ぶ人間力

朝日新聞の連載『学びを語る』2月2日付けは、将棋の藤井聡太五冠が幼少期に通った将棋教室の主宰者・文本力雄さんのインタビューでした。  タイトルは「将棋で学ぶ人間力 強さより、礼儀や思いやり」です。  番号を付けて紹介します。

『①「ふみもと子供将棋教室」を開いて25年目になります。  これまで教えた生徒は数百人以上ですが、一貫して「勝ち負けよりもマナーや配慮を学んでほしい」との思いは変わっていません。

②将棋教室なので、生徒には当然将棋を教えます。  奇をてらったことはせず、「定跡」「詰将棋」「人との対局」が指導の3本柱です。

③これを繰り返し、基礎を徹底的に身に付けさせます。  私は独学で将棋を覚え、中学まで定跡も知らなかった。  そんな自分の経験も踏まえて「基本を知り、土台を作ることの大切さ」を教えています。

④生徒には、将棋だけでなく人生の基礎も身に付けてほしい。  人生の土台になるのは「礼儀」や「思いやり」じゃないでしょうか。

⑤対局後、必ず「感想戦」をさせます。  どこが勝負の決め手になったか、最善手は何だったか。  「教える」ことも「教わる」ことも、どちらも「学び」です。

⑥対局で勝ってもガッツポーズは禁止です。  感想戦で偉ぶることも許しません。  敗者を尊重する姿勢は徹底させます。  勝負が終わればノーサイドですから。

⑦教室では強いだけでは尊敬されません。  一方、棋力は低くとも周りに配慮が出来る人間にみんなが一目置きます。

⑧印象深い生徒で、8年間教室に通うもあまり昇級出来なかった男の子がいました。  彼は教室でいつも寝てばかりだった。  でも、彼はとても優しく、みんなを常にほめて回る。  その結果人気者になり、彼がいると教室が明るくなりました。  彼は将棋は下手でも、豊かな人生を送るための力を学びました。

⑨将棋が強くなるのは素晴らしいことです。  現在、幼稚園から中学生まで約30人の生徒が教室に通っています。  聡太のようにプロを目指す人がいてもよい。  しかし、それが全てではないんです。

⑩他人への思いやりや配慮を持てるようになることの方が、人生においては重要な学びですから。』

昨日は昇級・昇段審査会でした。  

今後は、3月21日の西東京都大会、4月16日の極真祭、17日の全日本大会と試合が続きます。  試合である以上、勝つことが最重要課題です。  

でも私は、それらのチャレンジを通じて人間力を身につけることも、勝つことと同様に重要だと思っています。

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