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精度の高い動きと激しさ

(パント)マイムアーティストのJIDAIさんが書かれた『「動き」の天才になる!』(BABジャパン)を読みました。  

1.「激しく動けるように」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①体の情報量、神経回路の精度・密度を上げ、精度の高い動きができるようになることは大切なのですけれど、この項のタイトルにある「激しさ」にはちょっと結びつかないですよね?  激しさというのは、勢いやパワー、スピードも含めて、ただ思い切りといった動きを想定しています。  (中略)

②ですから、精度の高い動きと激しさという相反するようなことを克服しないと、スポーツや踊り、格闘技など実践的な場面では困るでしょうし、踊りなど身体表現でも、楽器演奏でもときに重要な要素ですよね?  (中略)

③体の精度を上げる練習はどうしても静かでゆっくりな動作になりがちです。  その限られた枠(動作)の中では、良い動きを実現できても、パワーやスピードを上げたとき、ついこれまでの身体の使い方・神経回路に戻ってしまうのです。

④これはどういうことかといいますと、静かでゆっくりな動作では頭、脳を働かせられるんですね。  逆から見ますと、脳を使うことでこれまでの神経回路を使わないようにして、新しい神経回路を作ろうとしているわけです。

⑤これである程度、回路の変更ができたとしても、それはゆっくりな動作のときの回路なんです。  パワーやスピードのある動作では、それとは異なる神経回路を作る必要があるのです。

⑥前者のような考えながら行う動作は大脳の領域ですが、後者のパワーやスピードは小脳の領域になるようです。  それは、いわゆる脳からの指令が薄くて済む状態なんです。

⑦つまるところ、癖や習慣は小脳の領域の問題であるため、そこを書き換えないと、いざというときには結局、今まで通りという残念な身体の使い方になってしまうわけです。』


2.続く「繊細さと荒っぽさの併存」の項からも紹介します。

『①そこで、私が大事にしていることの一つに、「静かでゆっくりな動作の練習時に、これは実はスピードがあって力強い動きをしているんだ、という意識を持つこと」があります。  これは、ある意味「スピードがあって力強い動きを、スローモーションで練習する」ともいえます。

②これは何かに似ていませんか?  そう!  何だか太極拳みたいですよね。  この意味で、太極拳は相当に高度な練習体系だと思っています。

③(今度は)この意識の持ち方での練習が、ただのイメージ・妄想になってしまわないように、先ほどのスローモーションとは逆に、じっさいに速く、スピードを上げて動き、そのときに、どれだけゆっくりな動きとして感じられるか?を大事にするのです。

④動きが速いからといって意識や感覚が雑になってはいけないということです。  むしろ、より繊細にシビアにという気持ちが必要だったりするのです。』

②で「太極拳」と書かれていますが、同じ中国拳法の「意拳」の練習体系もまったく一緒です。

また極真空手においても、新しい技術を習得する場合には、まず「ゆっくりと、正確に」が大切です。  その先には、試合で使える「スピードがあって力強い動きを、正確に」があることはいうまでもありません。

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攻撃に変化を

昨年11月15日のブログで、極真の大先輩である藤平昭雄先生について書きました。  藤平先生は極真を離れてから、キックボクシングの「大沢昇」として、初代全日本バンタム級チャンピオンになっています。

今回は『勇気ある挑戦 小さな巨人・・・大沢昇伝』(松永倫直著 スポーツライフ社)から抜粋し、番号を付けて紹介します。  著者の松永先輩も極真の大先輩です。

『①「どんなに早く行っても、道場一番乗りを果たそうと思っても、必ず藤平先輩が一人で黙々と稽古に励んでいた。  三十人から学べる道場の中で、所狭しと暴れ回っていた」と、当時を振り返ってともに学んだ者が語ってくれた。

②「一発一発、精魂を込めて、突き、そして蹴っていた。  その稽古方法は日常の稽古の繰り返しよりも、シャドーを中心にして汗を流していた。

③一番目を引いたのが、独特なステップの運び方だった。  前進するとき、ステップを小さく早いリズムでダダッと送るのである。  たぶん相手の中にもぐり込むためのステップだと思う。  時には二歩早送りをし、時には小さくサイドステップをし、相手の中に入る方法を稽古していた。  そのステップの速いことには目を見張った」  (中略)

④大きな者には大きな者の戦い方があるのと同じように、小さな者には小さな者の戦い方がある。  そして、それと同時に稽古方法もおのずから違ってくるのである。

⑤藤平は人一倍稽古に励んだが、皆と同じことをやっていたのではない。  組手において叩かれたこと、蹴られたことを念頭に入れ、常にその攻撃への対処のしかたを考えながら稽古に励んでいたのである。  (中略)

⑥小さな者は大きな者との力の差、リーチの差を攻撃、防御に変化を加えることによって埋めなければならない。  変化させるということも、一言で言ってしまえば簡単なことだが、稽古で会得するにはそれなりの努力が必要となってくる。  いかに変化させるか、いかに稽古するかが問題となってくるのである。

⑦藤平は実戦の組手(当時は顔面へも正拳で攻撃していた)の中で叩かれながら、その攻撃をかいくぐって内に入ることを考えた。  相手の内に入れなければリーチの短い手足を自由にヒットすることなど不可能である。  (中略)

⑧そこで藤平は、一人稽古のとき、常に相手を想定し、シャドーに力を入れていたのである。  これまで数多く自分が叩かれた攻撃を想定し、上半身を練り、細かいステップを使って相手の内に入る訓練を何度も何度も繰り返したのである。  正面、サイド、そしてサイドから相手の正面に入る。  (中略)

⑨シャドーで稽古し、合同稽古になると組手で試す。  (中略)  人間その気になれば、何でもできないものはない。  それを藤平は、身をもって体験してきているのである。  かいくぐって前に出るか、空手をやめるのかの二つに一つである。  元来中途半端なことの嫌いな藤平の性格、そして負けず嫌いな性格は、叩かれても前に出ることを選んでいったにすぎない。

⑩何度かまともにパンチをもらい、失神しながらも、翌日にはその入り方を反省し、自分のふがいなさにじだんだを踏み、その精神のやり場を稽古へと向けた。  毎日毎日がその繰り返しの中で、少しずつだが、そのパンチをまともに受けず、はずしながら内に入ることができるようになった。  (中略)

⑪今でも、当時の後輩たちは、そのハードで実戦的な稽古を次のように回顧する。  「藤平先輩との組手は本当に怖かった。  攻撃に行くと、目の前の先輩がフッといなくなる。  アッと思ったときには私の両腕の内に入ってきて顔面をものの見事に打たれてしまう。  そのスピード感に眩惑され、まったく目で追えなかった。  私の目の前に、いきなり先輩の顔が現れ、攻撃しようにも何もできなかった。  本当に一瞬の出来事で終わってしまう。

⑫後に、先輩と他の人との組手のとき、注意して動きを見ていると、相手の攻撃に合わせて同時に中に入るのだということがわかった。  相手の攻撃を縫って内に入る様は、芸術とも呼べるような、それは見事なものだった。  スピードといい、小さな変化を伴った上半身、足のステップといい、それは見ている者に感動を与えるような動きであった。  自分が内へ飛び込めるようなチャンスが来るまで待ち、チャンスと見れば確実に入り込み、確実に相手を捕えていた」』  

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アクションの組手

『ドリブルデザイナー岡部将和の挑戦を駆り立てる50の言葉』(岡部将和著 創元社)を読みました。  著者紹介によると、サッカーのドリブル専門指導者で、日本代表選手や世界のスター選手に個別で独自のドリブル理論を指導しているそうです。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.相手の動きを見てかわすのは、リアクションドリブル。  相手の動きを引き出してかわすのが、アクションドリブル。  アクションできる人はリアクションもできるけど、アクションできない人はリアクションしか選べない。  リアクションを待つな。  自分から行け。

2.量をやらなければ、質は上がらないよ。

3.スター選手の特徴。  ①華(はな)がある。  ②人と違う。  ③自分の美学を持っている。

4.①強く求めること。  ②行動に移すこと。  ③人の意見に耳を傾けること。  レベルの高い選手はこの三つが揃っている。

5.僕の場合は日常生活の中でも、体の動かし方とか物事の考え方とか、すべてをドリブルに関連付けさせる。  ラグビーを見ても剣道を見ても、ドリブルだったらこういう所で使えるなって考えるんだ。

6.①強くなるということは、弱くなることなのではないかと僕は思う。  強い人こそ、人の痛みや悲しみを感じられる。  

②経験を重ね、心が強くなればなるほど、人は大きく優しく、思慮深くなり、主張は減り、怒ることも減り、人に感謝し、なにかの役に立ちたいと願う。

③最弱になれる人こそ最強の人だと僕は思う。』

1.に関連して、城西の組手は「受け返し(カウンターを含む)」を重視した組手です。  でも、攻防のなかで相手の攻撃を待つのではなく、自分から先に仕掛ける「攻めの組手」でなければなりません。  1.にあるように「相手の動きを引き出す」ためにも「自分からの動き(フェイントを含む)」がまずあるべきです。  つまり「アクションの組手」です。  「受けの組手」「待ちの組手」「リアクションの組手」で大成した選手を見たことがありません。

今まで紹介した本のなかで、もっとも長いタイトルの本でした。(笑)

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