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神は細部に宿る

1.「神は細部に宿る」という格言があります。  ピクシブ百科事典から検索・抜粋し、番号を付けて紹介します。

『(1)概説

①英文では【God is in the details.】である。

②発祥については不明確で、一説にはフランスの作家ギュスターヴ・フローベールの言とされる。

③これを有名にしたのが、ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエと、ドイツ美術史家アビー・ヴァールブルク、オーストリア系ユダヤ人であるイギリスの美術史家エルンスト・ゴンブリッチだとされている。

(2)意味

①本当に素晴らしい技術やこだわりとは、一見して分かりにくい……という意味。

②美術品や特に建築物などは、見た目の印象に目を奪われがちだが、一流の作者の最もこだわったものとは一見しても分かりづらく、そしてとても細やかな仕事がなされてるという、素人目には判断しえない要素を称えたものといえよう。』

2.①「神は細部に宿る」という格言は1.でみたように、本来は美術・建築などの作品をつくるうえで「細かいディティール部分こそ大事にすべきだ」という意味だと思います。

②私は、この言葉は武道やスポーツの技術習得においても大切だと思っています。  極真空手においても、一つ一つの攻防の技術を大雑把に考えるのではなく、攻撃にしろ防御にしろ緻密に技を作り上げるべきです。  

③私が理想とする組手技術は、細かいディティールを大事にする攻防の技術です。  トップ選手になると、どの選手も技術的にはそれほどの差はありません。  その中で勝ち上がるには、細部の技術完成度が重要になってきます。

④そういう感性がないと、全日本クラスの大会でチャンピオンになるのは難しいと思います。

3.①よく松井館長が「道着の着方が汚い選手は組手も汚い」と言われます。  私もまったく同感です。

②道着をキレイに着る感性は、2.③の組手技術の緻密度と無関係ではありません。  細かいところに気が付かないと道着をキレイに着ることができないように、細かいところに気が付かないと技術の緻密さに鈍感になってしまいます。

③大山総裁が書かれた道場訓のなかの「気に発し、感に敏なること」とは、まさにそのことを言っていると思います。

※先日の大会で、帯の左右の長さが不ぞろいな選手がいて気になったので、本ブログを書いてみました。


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徹底的に真似をする

『人はあなたの何を見ているか』(小宮一慶著 エムディエヌコーポレーション)を読みました。  「あこがれる人がいるか」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①実力をつけるには地道な努力、それも「正しい努力の積み重ね」が欠かせないことを言いました。  そのためには、まず正しい努力とは何かを知ること。  あなたの努力が、求められている成果や結果に結びついているかどうかを見極めることが大切です。  (中略)

②それでは、具体的に何をすればいいのでしょうか。  努力の仕方に関して言うと、良い成果物を出している人、あるいは良いアウトプットをしている人を参考にするのが正しい方法です。

③まずは、その人を徹底的に真似することがスタートとなります。  その前提は、その人や成果物にあこがれることです。

④「守破離」という言葉もあるように、最初は「守」です。  うまくいっている人のやり方をきちんと踏襲すること。  うまくいっている人や世間から評価されている人をよく観察し、できればその人にあこがれながら、しっかり真似するようにするのです。

⑤うまくいかない人の大半は、あこがれるべき人を見つけていません。  なぜかというと「素直」でないからです。  (中略)

⑥松下幸之助(パナソニック創業者)さんも言っているように、「素直」が一番大事です。  うまくいっている人にあこがれて、その人がやっていることを素直に真似すること。  それだけでも、ある程度の水準までは到達できます。  そんなに難しい話ではありません。

⑦誰もしていないことをするのは大変ですが、ほとんどのケースは、誰かがしていることを同じように実施しているだけです。  誰もしていないことをする場合でも「基礎」が大切なことは言うまでもありません。  とにかく、うまくいっている人を真似することから始めるべきでしょう。

⑧私が出版社の人に言うのは「売れている本を研究していますか?」ということです。  編集者の多くは、地頭が良いということもあり、自分の頭で考えて独自のものをつくろうとしがちです。  でもそれでは、単なる独善の場合が少なくないのです。  そういう人は、ベストセラーを出せません。

⑨けれど、ベストセラーを出している編集者の多くは、売れている本をきちんとリサーチしています。  売れ筋の本をチェックし、データを集め、そこからどんな本をつくるべきなのかを考えているのです。

⑩それもまた、「うまくいっている人の真似」と同じです。  どんな仕事でもそうなのですが、突き詰めると、まずは他社がやっていることを他社よりうまくやればいいだけの話です。

⑪そのためには、素直にあこがれて、それを真似してやってみることです。  それが、正しい努力です。  そうしてその先にこそ、「破・離」、つまり、応用や独自のアウトプットがあるのです。』

本書はビジネス書ですが、空手の上達においても、まったく同じことが言えると思います。

㋑過去や現在の選手の中であこがれる選手を見つけ、㋺映像を繰り返し観て、㋩何度も動作を反復し、㊁徹底的に真似をすることが上達への近道です。

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MVPアーロン・ジャッジのコーチ

1.今年の大リーグのアメリカン・リーグのシーズンMVPにはリーグ新記録の62本塁打を放ったニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手が選ばれました。  11月16日付け朝日新聞デジタルに『大谷翔平とMVP争うジャッジが覚醒した裏側 新記録を支えたコーチ』という記事が出ていました。   番号を付けて紹介します。  

『彼の打撃を支えた一人、個人コーチのリチャード・シェンクさんに飛躍の背景などについて聞いた。

①――ジャッジとの出会いは。

「彼の代理人であるデービッド・マトランガ氏が現役時代、自分に教わりに来ていた。  ジャッジが打撃で困っていた2016年11月、一緒にやってみないかと連絡をもらったんだ」

「最初は1日2回の練習を1週間ぐらいやった。  これだけのレベルの選手を教えるのは初めてだから、とても緊張したよ」

「彼が経験したことのないメニューをいくつか与えて、飽きさせないようにした。  彼はすごく注意深くて、一生懸命取り組んでいたのを覚えている」

②――指導するきっかけは。

「私はミズーリ州セントルイス近郊で飲食店を経営している。  ビリヤードテーブルが17台ある店で、始めて34年になる」

「息子が2人いてね。  高校や大学で野球をしていた。  でもうまく打てなかったので、私がインターネットを使ってスイングを勉強することにしたんだ」

「色々なサイトで研究したけど、しっくりこなかった。  そこで、当時大活躍していたバリー・ボンズ(主にジャイアンツ)をまねすることにした。  完全再現。  地下室にこもって、映像を止めながら何度も何度もボールを打ったよ」

③――難しそうですが、大リーグ歴代最多762本塁打のボンズ氏を選んだ理由は。

「間違いなく最高の打者だったし、自分と同じ左打ちだったから。  彼が打席で何をしているのか、動きを分解して研究した」

「そうしたらある理論に気づいてね。  今までにない力がスイングについた。  それを息子2人に教えたら、プロには届かなかったけど、成功と呼べる野球人生を送れたんだ」

④――今ではジャッジが理論を取り入れた。

「そう。  気に入ってくれたみたいで、2017年1月にまた1週間ほど一緒に練習して、3月には春季キャンプにも数日呼ばれた」

「シーズン開幕後は、打撃の修正が必要になると連絡がきた。  ニューヨークやデトロイト、シアトル……。  会いに行って施設を貸し切りにして練習した」

⑤――そして契約した。

「実は具体的な契約書というのはなくて、今もない(笑)。  でもこうやって関係が6年ほど続いている」

⑥――打撃で最も重視しているポイントは。

「一つ目の基本が始動するポイントだ。  ボンズを見ていると、彼はバットを捕手の方向にまず倒す。  すごく興味を持って試し続けてみると、遠心力によって足が回転し、自然とボールに向かう形になった」

「二つ目の基本が重心だ。  打席内で軸足(捕手よりの足)から投手に近い足へ体重移動するイメージがあるかもしれないが、打つ瞬間はまだ重心は軸足に乗ってないといけない」

「ジャッジは練習するうちにどんどん上達したよ」

⑦――今季、62本塁打を打つと思いましたか。

「一緒に練習した最初の年、彼は年間52本塁打を放って新人王をとった。  驚きはない。  でも、当時は打撃フォームが全く安定していなくて、安定すればもっと打てると信じていた。  正直、今季の打ち方を見てもまだ上達できるとみている」

⑧――今季は例年と違う調整だったとも聞いた。

「過去の5年間は、彼の調子が落ちてきたら呼ばれた。  10日間とか2週間ついて修正した」

「でも、今年は最初からスケジュールを割り当て、定期的に修正するようにした。  1年間調子が落ちないことを祈りながら。  そうしたらとてもいいシーズンを過ごした。  体の使い方やスイングがもっと理解できてきたと思う」

⑨――今季、苦しんだとみえた時期はあったか。

「シーズン中盤かな。  相手が警戒してストライクを投げず、四球は仕方がないと割り切ってボール球中心に攻めてきた」

「でも比較的ずっとよかった。  あるときは自分が直すところがないほど調子がよくて、行く必要あるかなと携帯でメッセージを送ったら 『来てくれ。  スケジュール通りやろう』 って言われた」

「新記録を達成してすごく誇らしかったし、うれしかったよ」

⑩――ジャッジは身長2メートルの選手です。  体が小さくても打てますか。

「私はバットスピードを上げるのではなく、ボールをとらえるまでの速さ、加速する方法を教えている。  誰でもそれなりに備わっているものだ。  毎回本塁打でなくとも、二塁打とかは打てるようになるはずだ」

「それにボンズの打ち方が理解できるようになるうちに、すごい打者、プホルス(カージナルス)やイチロー(主にマリナーズ)、大谷との共通点が見つかった。  構え方や打ち方は違っても、ボールをとらえる方法が共通していたんだ」

「日本の野手も大リーグで本塁打を量産できる。  私は王貞治さんの一本足打法の本を読んだし、軸足で打つように教えるのは一緒だ。  あとはバットをどう操るか。  そこを手助けすればきっと上達すると思う」

⑪――ジャッジの活躍で、反響は。

「おかげさまで、本当に毎日が忙しくなった。  電話が鳴りっぱなしだよ」』


2.この記事には、次のような組手技術の工夫・習得のヒントが隠されています。

㋑映像を見て研究する(上記②)

㋺動きをまねするモデルを決めたら、完全再現する(上記②)

㋩映像を止めながら、何度も何度も繰り返すうちに、何らかの理論に気づく(上記③)


3.一番驚いたのは、野球は素人の飲食店経営者が、自分の子どものために創意工夫し、その理論がプロのスーパースターを指導するまでになったことです。

この記事を読んで、今のチーム城西の私も含めた指導陣と選手自身双方の創意工夫に対する、熱意と努力が、まだまだ足りないなと感じました。

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