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結果を出す

1.2019年1月9日のブログで、『最強のポジティブチーム』(ジョン・ゴードン著 日経BP社)を取り上げました。 抜粋して、再度紹介します。

『①2001年からバージニア大学の男子テニス部の監督を務めたブライアン・ボーランドによると、準々決勝や準決勝に何度も勝ち進み、決勝まで残ったことも数回あった。  それにもかかわらず、優勝はできなかった。  ところが2013年にすべて変わり、その後は5回の全国大会のうち実に4回優勝している。

②私はブライアンに何があったのかと尋ねた。  「私が変わり、私たちが変わった。   それまでの私はただ厳しく、結果ばかりを気にしていた。  選手たちもそれを感じ取っていた。  でも2013年にカルチャーを中心に据えて、それまでの結果重視の方針からカルチャーやプロセスを大切にするようになった。  つまり、それまでは優勝したいと考えている個人の集まりだったが、偉大なチームになろうと考えるようになったんだ」  (中略)

③木になる果実にばかり気を取られているチームが多すぎる。  彼らが意識しているのは、結果、数字、株価、テストの点数、利益、そして勝敗だ。  果実ばかりに目が行って、根っこの部分のカルチャー、人、人間関係、プロセスを見ていない。』


2.4月5日の日経新聞夕刊に、武野顕吾さんの『自己変革の伴走者』という連載が載っていました。  武野さんは臨床心理学を日本のスポーツ分野に応用したパイオニアだそうです。  『「結果を出す」 「普段通り」といったアプローチには懐疑的だ。』という項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①どんな分野の一流の方でも、ここぞというときにうまくいかない、もうひとつ殻を破れない、という悩みを抱えている場合があります。  アピールしなければ、結果を残さなければ。  周囲の評価に気をとられてしまうと、目の前の勝負に集中できなくなり、自分の能力が発揮できなくなってしまいます。

②結果は大事です。  ただ逆説的ですが、結果を出すためには、結果を出すという意識を一旦脇に置くことが重要です。  結果という狭い針の穴に自分という糸をうまく通そうとすると、縮こまってしまいます。  気付いたら通っていた、というのが本当に勝負に集中していた時の心理状態です。  スポーツ中継でも聞かれる「結果を出す」というフレーズが、かえって我々の心を縛ることもあるのです。

③僕は「緊張しないように」というアドバイスより、目の前の勝負に没頭できるかを重要視します。  「普段通り」 「練習通り」も同じです。    世界一を決める舞台と普段の練習とでは、緊張状態が違って当たり前です。』


3.①極真空手において「結果を出す」、つまり「全日本チャンピオンになる」 「世界チャンピオンになる」、という高い志を持つことはもちろん大切です。  また、その結果を出せるような稽古の仕方を研究することも必要です。 でも、私はまず「楽しんで稽古する」、その先に「結果が付いてくる」のだと思っています。

②1.で紹介したブログの最後に、以下のように書きました。

『私が理想とするチーム城西のカルチャーは次の通りです。

「どこよりも創意工夫する、どこよりも練習する、どこよりもそれらを楽しんでやる」

そして、本書に書いてあるように、「カルチャーに命を吹き込み、カルチャーをつくっていくのはチーム全員の使命」です。

今年もチーム城西一丸となって稽古していきましょう。』


4.孔子も『論語』の中で

「これを知る者はこれを好む者に如かず(知識がある人も、好きでやっている人にはかなわない)。   これを好む者はこれを楽しむ者に如かず(好きでやっている人も、楽しんでやっている人にはかなわない)。」

と言っています。

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平時の指揮官 有事の指揮官

1.「東大安田講堂事件(1969年)」 「連合赤軍あさま山荘事件(1972年)」で警備幕僚長として危機管理にたずさわった佐々淳行さんが書かれた『平時の指揮官 有事の指揮官』(文春文庫)を読みました。  『「動揺」を表に出してはならぬ』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①1967年に始まった第二次日米安保条約改定阻止闘争の大波は、1970年の同条約改定の日まで990日間続き、警視庁機動隊員延べ1万2千人が重軽傷を負い、大動乱の時代となった。  (中略)

②なにか大きな事件、事故が起きると、部下は全員指揮官の顔を見つめる。  そんなとき、指揮官は自分の表情に恐れ、不安、躊躇、狼狽など、内心の動揺を表さないよう、自分の気持ちをコントロールしなくてはいけない。

③ある夜、警備第一課長室にあって全般指揮にあたっていたとき、アメリカ大使館に対する過激派のゲリラ攻撃が突発し、傍受していた警備無線の通話がかなり錯綜し、興奮状態に陥った。  当時の警備第一課は大課制で、大部屋には200人近い課員がひしめいていた。 

④「顔を見せたほうがいいな」  私はとっさにそう考え、個室を出て隣接の大部屋に入ってゆき、真ん中の警備実施管理官席に座った。  電話のベルは室内のいたるところで鳴り響き、皆は大音声を張りあげて怒鳴り合い、大部屋は興奮の渦だった。

⑤不思議なことに私が大部屋に入ってゆくと、私に気づいた課員の誰彼が「あっ、課長が来たぞ」と叫び、私が真ん中のデスクに、大勢の課員たちのほうを向いてドッカリと腰をおろした途端に、喧騒の渦は、荒れ狂う海に油を撒いたかのように、スウッと鎮まって静かになったのである。 

⑥みんな私を見つめている。  別に私に解決の妙案があるわけではない。  ただ指揮官である私のしたことは、平気な顔をして入っていって、ド真ん中の席に座ってみせただけのことである。

⑦騒いでも起きてしまったことはしょうがない。  どうってことない。  事態の進展を見ながら、ベストと思う手を打っていく以外どうしようもない。  そういう開き直った冷静さが私の心にあり、それが実に素直に、課員全体に伝わっただけのことであった。  (中略) 

⑧顔の表情の統制は、現場指揮官が身につけるべき大切な技能なのである。』

⑧の「顔の表情の統制」は、極真の選手が身につけるべき大切な技能でもあります。  試合の優勢・劣勢を問わず、淡々と組手を続けることが大切です。  ポーカーフェイスを保ち続ければ、上がったり下がったりしがちな感情の波を鎮めることが可能になります。


2.以下は、久しぶりに本郷孔洋先生のメルマガからの引用です。

子・・・「父ちゃん、酔っ払うってどういうことなの?」
 
父・・・「ここにグラスが二つあるだろろう。  これが四つに見え出したら、酔っ払ったってことだ。」
 
子・・・「父ちゃん、そこにグラスは一つしかないよ」                    (ジョーク集より)

城西の指導員の皆さん、アルコールの飲み過ぎには気を付けましょう 笑

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心のアラーム

『「心の力」の鍛え方』(大野裕著 岩崎学術出版社)を読みました。  副題は「精神科医が武道から学んだ人生のコツ」です。  著者は慶應義塾大学医学部在学中に体育会空手部に所属していたそうです。

「心の不調が持つ大切な意味」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①精神的な不調というと、自分には関係ないと考える人が少なくありません。  精神的に弱い人間や甘えの強い人間がそのような状態になると考えている人もいます。  しかし、必ずしもそうした人ばかりではなく、自分はストレスに強いと考えている人も、些細なきっかけで精神的な不調を体験することがあります。

②人間というのは精密機械以上に繊細な存在です。  私は「心の当たり所が悪い」と表現していますが、苦手なストレスに出会うと、それが些細なものでも精神的なバランスが大きく崩れることがあります。  ですから、多くの人が精神的な不調を体験することになるのです。  (中略)

③このように昔から精神的な不調を体験する人がいて、今でも多くの人が不調を体験しているということは大きな問題です。  しかし、その一方で、それだけ多くの人が精神的な不調を体験するということは、不調それ自体に大切な意味があるからです。

④それは、心のアラーム(警報器)として自分を守る役割です。  精神的な不調を体験するのは、困った問題、つまり自分にとって苦手なストレスが存在しているときです。  

⑤逆の見方をすると、ストレスを感じて精神的な不調を体験するときには、困った問題がどこかに存在している可能性があります。  そのことを知らせるという意味で、精神的な不調は、私たちの心のアラームの役割を果たしているのです。

⑥そのアラームが鳴っているときに、「自分は簡単に弱音を吐くような人間ではない」と考えたり、「ストレスに負けないで、もっと頑張らないと」と考えたりするのは、せっかく鳴っているアラームを切ってしまうことになります。  その結果、ますます問題が大きくなって、取り返しがつかなくなってしまうことにもなりかねません。

⑦そうした事態を避けるためには、アラームが鳴っているときに立ち止まる勇気を持つことです。  そのようにして、問題にきちんと向き合うのです。  そうすれば、自分のなかに隠れている想像以上の力を生かすこともできるようになります。

⑧そのことを伝えるために多くの武道書が書かれています。  そして、現代でも武道の鍛錬をすることでそうした心の力を身につけられるようになります。』

昨年出版した『武道気功』という本の中で、私自身が過去に体験した精神的な不調について書きました。  

「風邪は万病の元」といいますが、風邪は体からのアラームとして自分を守る役割を持っていると思います。

同様に、精神的な不調は、私たちの心のアラームの役割を持っているんですね。

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