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訓練と戦闘

『大戦略論』(ジョン・ルイス・ギャディス著 早川書房)を読みました。  第1章11「グランド・ストラテジー(大戦略)は学べるか」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①よく訓練された兵士が何の準備もない兵士よりよく戦えるのは、言うまでもないことである。  とはいえ(「戦争論」の著者)クラウゼヴィッツは「訓練」という言葉で何を意味していたのだろうか。

②それは、時間と空間を超えて有効な原則に従うことである。  そうすれば、過去にうまくいったやり方とうまくいかなかったやり方を峻別する感覚を体得することができる。 その感覚を、今度は目の前の状況に適用すればよい。

③このとき、原則はスケールを超えて活用されることになる。  その結果として計画が策定される。  計画は、過去から学び、現在と結びつけ、将来の目的を達成するものである。

④だが戦闘は、必ずしも計画通りにはいかない。  まず、相手の出方次第という面がある。  これを元・国防長官のドナルド・ラムズフェルドは「既知の未知」と表現している。  これは、大地震など予測できないことが認識されている事象を意味する。

⑤だが、それだけではない。  「未知の未知」もある。  9・11テロのように、起こりうるとは夢にも思っていなかったような事象である。  戦争では、敵と遭遇しないうちに想定外の出来事が起きて窮地に陥ることが十分にあり得る。  

⑥クラウゼヴィッツはこれらを総合して「摩擦」と呼ぶ。  言い換えれば、理論と現実の衝突である。  (中略)

⑦摩擦に直面したら、臨機応変に対応するしかない。  だがそれは、成り行き任せとはちがう。  時には計画に従い、時には計画を修正し、時には計画を捨てる。

⑧現在地と最終目的地の間に何があろうとも、(南北戦争を戦った大統領)リンカーンのように、心の磁石は正しく北を指しているはずだ。  (『君主論』や『戦術論』を書いた)マキアヴェリのように幾多の労苦と危険の中で学んだ教訓に基づくいくつかの選択肢が浮かび上がってくることだろう。 

⑨それらを踏まえたうえで、あとは自分の力量次第ということになる。』

極真の試合でも、対戦相手ごとに「どのようにして戦うか」という大まかな戦術(計画)を、事前に考えておくことは大切です。  しかし、試合に「想定外の出来事・・・クラウゼヴィッツのいう摩擦」はつきものです。

ですから、⑦のように「時には計画に従い、時には計画を修正し、時には計画を捨てる」臨機応変さが必要です。  そうでなければ、試合中の「摩擦」には対応できません。

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遊び心

 FIFAワールドカップ決勝トーナメント1回戦で日本が惜敗したベルギーが、ブラジルを破ってベスト4に進出しました。  普段サッカーをあまり見ない私も、4年に1度のワールドカップだけは「にわかサッカーファン」に変身です(笑)  ワールドカップやサッカーに関連した記事2つから抜粋し、番号を付けて紹介します。

1.『本田、8強へ「遊び心」と“頼れるおっさん”』(7月1日 ベルギー戦・前日のニュースサイト「スポーツ報知」より)

『①勝てば日本史上初の8強入りとなる大一番。  MF本田圭佑(32)は16強で終わった10年南ア大会の経験を踏まえ、「遊び心」を持つよう訴えた。  FIFAランク3位の強豪に全力を尽くすだけでなく、駆け引きなどサッカーを楽しむ必要性を説いた。  (中略)

②過去2回の決勝T1回戦は僅差で敗れた。  本田も8年前、パラグアイと0―0でPK戦に突入し、敗退した。  「一生懸命頑張ることだけではない。  楽しみながらというか、『遊び心』を持ちながら未知のチャレンジが次の試合では求められる」。  若い選手にも遊び心の必要性を伝えるという。

③サッカーを楽しむ。  強豪との勝負を楽しむ。  想定外のフィジカル、技術を体感することになる1対1の局面では、どう攻略するかを楽しむ。  猪突(ちょとつ)猛進ではない。  視野を広く、心に余裕を持つことで、相手を観察でき、弱点を突く可能性は広がるという意味だろう。  「だいたい終わってから『遊び心がなかったな』と後悔してきたことが多々ある」。  南ア大会で足りなかったものを海外挑戦10年の経験から見つけた。

④心強いのは、各ポジションに経験と実績十分なベテランがいることだ。  (中略)  「精神的なところで明らかに違う。それは10年(南ア大会)を経験した選手が何人もいるということが明らかにビッグアドバンテージ」。  GK川島、DF長友、MF長谷部、FW岡崎。  今大会、存在感を発揮している面々だ。  精神面での“余力”も遊び心と柔軟性、即興性につながる。  (中略)  遊び心とともに、憎たらしいほど落ち着いてプレー出来れば日本悲願の8強入りの可能性は出てくる。』

 6月14日のブログ(「NBAファイナルに思う」)で次のように書きました。

「つらい稽古も、ハードな試合も、ステフィン・カリーのように楽しそうに飄々と乗り越えていきたいものですね。」

 上記②で本田選手が言うように、稽古も試合も一生懸命頑張ることは大前提ですが、あまり熱くなり過ぎずに、その苦しさや辛さを楽しんでしまうような心の在り方を、「遊び心」と言うのだと思います。


2.『サッカー なぜ観てしまうのか』(7月4日 朝日新聞夕刊)

『①芥川賞作家、津村記久子さんの新刊『ディス・イズ・ザ・デイ』(朝日新聞出版)は、プロサッカー2部リーグを観戦する人たちの悲喜こもごもを描く物語だ。  全国各地を拠点とする架空の22チームと、それぞれのチームを応援する人たちが、シーズン最後の試合に臨むまでを連作短編のかたちで紡ぐ。  (中略)

②小説の登場人物たちは、なぜ自分がサッカーを観るのか自問自答する。  〈そもそもどうして人間は、サッカーチームなんていうものを好きになるのか〉。  実際のサポーターのなかには「チームと苦楽をともにしたい、勝負に一喜一憂したい」と語る人もいる。

③津村さんは「お金を払うからには良い思いだけしたい、楽して何かの上澄みだけほしいと、コストパフォーマンスのことばっかり考えてる人がいる。  でも、物事の浮沈の過程を楽しめないことは面白くないですよ」と話す。

④サッカーに限らず、スポーツチームを応援することは、勝ったり負けたりを受け入れることでもある。  「効率とかは度外視で、何かの当事者になってみるところから始める人たちの豊かさが、スポーツを観ることにはあって。  そこに楽しさがあるんです」』

 ベルギー戦は深夜3時前に起きてテレビ観戦です。  日本が2点先取したときは目頭が熱くなりました。  でも、結果は3点取られて逆転負けです。  グループリーグの3試合を含め、短期間の出来事ではありましたが、上記③の「物事の浮沈の過程を楽しむ」、④の「勝ったり負けたりを受け入れる」体験ができました。

 「物事の浮沈の過程を楽しむ」・「勝ったり負けたりを受け入れる」ということで言えば、空手の試合に対する関わり方もまったく一緒だと思います。  その中で、選手は選手として、セコンドはセコンドとして、サポーターはサポーターとして、楽しみ・学ぶことができます。

 侍ジャパンが終わったので、次はチーム城西ですね(笑)

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センサーを働かせる

囲碁棋士の井山裕太さんが書かれた『勝ちきる頭脳』(幻冬舎)を読みました。  「センサーを働かせる」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①プロの勝負とは、優勢であってもそのまま逃げ切れるほど甘いものではなく、かといって、劣勢であってもそのまま負かされてしまうほど厳しいものでもないのです。  そうした極めて曖昧なものの上に漂っている「勝敗」を、どうやって自分のほうへ微笑ませるか?  

②これまた盤上の着手と同じで正解はないのですが、この部分でうまく立ち回れるかどうかが勝敗に直結することは間違いありません。  こうした立ち回りの技術を一般的には「勝負勘」と言うのですが、僕はよく「センサーを働かせる」という表現を使います。  

③好結果を出すことができている時は、このセンサーの感度・働きが良く、形勢が悪くても「このままじっと辛抱していれば、必ずどこかでチャンスが来る」と信じることができて実際その通りになります。  逆にセンサーの働きが悪い時は、「形勢が悪いのだから、もうイチかバチかだ!」とばかりに短気を起こして、負けを早めてしまいます。  (中略)

④形勢不利の際には、もう一つ大事なことがあり、それは「相手に決め手を与えない」ということです。  結果を出せる人は、例外なくこの「決めてを与えない技術」が優れています。  一点差で負けていても、次の一点を与えずに辛抱し続ける技術です。

⑤でも形勢が悪い状況は嫌なので、そこから早く脱出しようと、つい逆転ホームランを狙うような無理な勝負手を打ってしまいがちですが、それを咎められたら致命傷を負ってしまい、負けが決まってしまいます。

⑥そうではなくて、形勢が悪いことを素直に受け入れ、嫌な状況であっても辛抱することが大切です。  そのうえで、相手にとって難しい手を打って悩ませる。  相手も人間ですから、どこかで隙を見せるものなのです。』

極真の試合でも「センサーを働かせる」ことが最重要です。  でも中には、センサーのスイッチを切ったまま、独りよがりで戦っている選手もいますね(笑)

また、「相手に決め手を与えない」「相手にとって難しい手を打って悩ませる」ことも勝つためには必須です。

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