fc2ブログ

| PAGE-SELECT | NEXT

脳の寿命

(1)前々回のブログでうつ病の原因となるSITH-1について、「HHV-6というウイルスが脳の中枢神経系に存在するグリア細胞の1つであるアストロサイトで潜伏感染しているときに発現している潜伏感染遺伝子」と紹介しました。

グリア細胞に興味を持ったので、『脳の寿命を決めるグリア細胞』(岩立康男著 青春出版社)を読みました。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①脳は全てニューロンからできているわけではないということ、これは多くの人にとって驚きの事実ではないでしょうか。  それでは、そのニューロンよりもはるかに多く存在する細胞とは何なのか。

②それこそが本書のタイトルともなっている「グリア細胞」と言われる細胞です。   ニューロンとグリア細胞の比率は健康な成人では年齢ごとにほぼ一定で、ニューロンの占める割合は20歳代の一般的な成人で20%弱、それ以外の80%はグリア細胞が占めているのです。

③しかも、グリア細胞にはアストロサイト、オリゴデンドロサイト、マイクログリアの3種類の違う細胞があるのです。  (中略)

④ほんの十数年前まで、このグリア細胞はニューロンの間を埋めている単なる物理的な支持細胞だと考えられていました。  グリア細胞がニューロンを機能面でも支え、重要なメンテナンスをしているということが明らかとなってきたのはつい最近のことです。  

2.①「脳を守る」とはニューロンと3種類のグリア細胞が織りなす複雑なネットワークの崩壊を防いでいくことに他なりません。  そしてその第一歩は、とりもなおさずグリア細胞を護ることです。  この本のなかで、脳を劣化させる要素をいくつか指摘してきました。  (中略)

②このオリゴデンドロサイトを護る、という発想が脳を守るための効率の良い方法です。  それは認知症になるリスクを減らし、年をとってからもみずみずしい脳機能を維持することにつながります。

③オリゴデンドロサイトが死ねばアストロサイトやニューロンも引きずられて死んでいってしまいます。  その結果が脳の萎縮であり、認知症の症状が出現して、普通の日常生活を送ることが困難になってしまうのです。

④脳は構造的に老化しやすい臓器ですから、なんとかそのダメージを最小にして細胞の減少を最低限にしていくしかありません。   認知症は症状が出始めてから治療を考えるのではなくて、その予防が重要であり、年を取ってから意識するのではなく、できるだけ若いときからリスクを減らすための努力・生活習慣を心がけていくべきなのです。  (中略)

⑤特に悪い影響をもたらしていたのは脳の使い方の偏りです。  「睡眠」と「覚醒」の二相性のバランスを取る、 そして覚醒時における「集中系ネットワーク」と「分散系ネットワーク」の二相性のバランスを取る、これらが重要なポイントになります。

3.①(前略)背景に、強い精神的ストレスやうつ状態がある場合です。  こういった場合には、何か無条件に集中できる時間が必要になります。  

②勉強や仕事に打ち込めればベストですが、ストレス下で他のことを忘れてこれらに集中するのは難しい場合が多いと思います。そういったときには、テレビゲームやスマホでゲームをすることが、過度にならなければ、脳を休め、うつ状態からの脱出に有効となるのです。  (中略)

③うつ状態では、分散系が過活動となっていますが、テレビゲームをするのは目的を持った集中力を要する作業ですので、分散系を抑制することになるからです。  (中略)

④精神的ストレスや不安が強いときには、何か手軽に集中できる対象を見つける、というのは有効な対抗策であり、周囲の人々もそこを理解してあげることが必要だと思います。』

(2)1月17日の日経新聞夕刊の特集『シニアサポーター』のタイトルは「認知症予防につながる生活習慣は」で、(1)の著者である岩立康男さんが情報提供されていました。  その中で脳内の「集中系ネットワーク」と「分散系ネットワーク」の活動例として、以下のようなものが挙げられています。

1.集中系
・課題をこなす
・深い思考
・好きなことに熱中
・読書
・運動
・好きな音楽を聴く
・オンラインゲーム

2.分散系
・ぼーっとする
・景色を眺める
・散歩
・過去の記憶を思い返す
・入浴
・レム睡眠(浅い睡眠)
・単純作業



















TOP↑

笑いの健康効果

1月6日の日経新聞・別紙連載『カラダづくり』のタイトルは「ポジティブ感情と健康」でした。  抜粋し、番号を付けて紹介します。

『1.①「笑う門には福来る」というが、笑いは健康も連れてくるようだ。  福島県立医科大学医学部疫学講座の大平哲也教授は「20年ほど前から笑いの健康効果を示す研究結果が相次いでいる」と説明する。

②痛みの緩和、感染症などに対する免疫力の向上、うつ気分の改善、認知機能の維持などの他、生活習慣病の予防・改善効果も報告されている。

③例えば、よく笑う人はそうでない人に比べて糖尿病の発症リスクが低いことがわかっているが、大平教授らの最近の研究では糖尿病の改善も認められた。  笑いと呼吸法からなる「笑いヨガ」教室に3カ月間参加した患者は1、2カ月間の平均的な血糖値を表すヘモグロビンA1c値が改善していたのだ。  「積極的に笑うことで治療効果が上がる可能性がある」(大平教授)

2.①笑いが健康によい理由は主に3つ考えられる。  まずは脈拍や血圧、血糖値などを上げる作用があるコルチゾールが低下すること。  これはストレスを受けたときに副腎から分泌されるホルモンだ。

②次は自律神経への影響。  笑うときは活動時に高まる交感神経が活性化するが、笑った後はリラックス時に優位になる副交感神経に切り替わる。

③そして社会的なつながりも増える。  社会的孤立は病気や死亡リスクを上げるとされるが、人と談笑することでそれとは逆の効果が期待できる。

④大平教授は「1日1回は声を出して笑おう。  笑えない人は"体操"のつもりで『ハッハッハッハッ』と声を出すだけでもいい」と助言する。

3.①ポジティブな感情を持つことも健康によい影響を及ぼす。  順天堂大学(東京・文京)大学院公衆衛生学講座の田島朋知非常勤助教と野田愛准教授らが、3万8660人の地域住民を約11年間観察した結果、生活を楽しんでいる意識が高い人は認知症の発症リスクが低いことがわかった。

②ただ、ストレスを多く自覚していると、生活を楽しんでいても発症予防効果は得られなかった。  野田准教授は「ストレスをコントロールしながら生活を楽しむことで、将来の認知症を予防できる可能性がある」と話す。

③野田准教授らの別の研究では、人生の意味や目的を感じている男性はそうでない男性に比べ動脈硬化の進行が抑えられることも判明している。

4.①気持ちの持ちようと病気との関係では従来、不安や怒りなどのネガティブな感情が重要視されてきたが、最近は強さやしなやかさ、幸福感、感謝といったポジティブな感情を強めることで病気の予防や健康増進を図ろうという「ポジティブサイコロジー」が注目されている。

②日本ポジティブサイコロジー医学会理事で東京医科歯科大学(東京・文京)精神科の高橋英彦教授が特に着目しているのが「自己効力感」だ。  「困難を乗り切れる、自分ならできるという信念を持つ人は実際、病気を克服して元気になっていることが多い」。

③自己効力感を高めるコツは「成功体験」を増やすことだという。  ダイエット中に食べる量を少し減らせた、休日に走ったなど、ちょっとしたことでいい。  「できなかったことよりできたことに目を向け、小さな成功体験を貯金していくといい」と高橋教授。

④また「代理体験」も重要だ。  身近な人が病気と闘ったり、熱心に運動したりしている姿に励まされ「自分もできそうだ」「がんばろう」と思うことで自己効力感が高まる。』

私は道場稽古でも、ところどころに笑いがあるような雰囲気が好きです。  もちろん真面目にやるべき時は、真剣に取り組むべきです。  その使い分けを間違うと、ケガにもつながりかねません。

TOP↑

疲労とは何か

明けましておめでとうございます。  今年もよろしくお願いします。

年末に『疲労とは何か』(近藤一博著 ブルーバックス)を読みました。  医学用語が多く、解説もされているのですが、ここではその解説は省略して紹介します。

1.裏表紙に「疲労研究の最先端でわかってきたこと」という記述がありましたので、番号を付けて紹介します。

『①欧米では疲れていても働くことは愚かな行為とされる。  疲労した相手を讃えあう 「特異な国」 だからこそ、日本の疲労研究はいま、世界で最も進んでいる。

②「疲労」を科学的に解析してわかってきたのは、そこにはウイルスが大きく関わっているということだった。

③うつ病の原因となる 「SITH-1※」 の発見者が明かす、世界が驚いた疲労のメカニズム!』

山田注
※SITH-1・・・HHV-6※※が脳の中枢神経系に存在するグリア細胞の1つであるアストロサイトで潜伏感染しているときに発現している潜伏感染遺伝子
※※HHV-6・・・長期間ヒトの体に棲みつくヘルペスウィルス科のウィルス


2.「生理的疲労が病的疲労に変わるとき」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①生埋的疲労と病的疲労はまったく異なると言いつづけてきましたが、じつは、生理的な疲労を継続的に負荷すると、病的疲労に切り替わってしまうことがあるのです。

②皆さんは、スポーツ選手にうつ病が多いという話を聞いたことがありますか。   何か意外に思われるかもしれませんが、過剰なトレーニングをすると、うつ病のような症状が現れることがあるのです。  それが「オーバートレーニング症候群」と呼ばれる疾患です。  その原因は、これまで本書で述べてきたことから導き出すことができます。  (医学的な解説を省略)

③最近は、スポーツの世界ではオーバートレーニング症候群という概念が有名になったため、選手に過剰なトレーニングを強要するようなコーチは以前より少なくなったと聞きます。  

④むしろスポーツ選手でない人のほうが、知識のないまま無理な負荷をかけてしまうのかもしれません。   「仕事が忙しくて疲れたから、週末はフットサルでリフレッシュだ」などと言っている方も、ときどき見かけます。

⑤過度な運動はうつ病の原因になる場合があるということは、知っておいても損にはならないと思います。』


3.「SITH-1をなくせばうつ病をなくせるのか?」の項からも抜粋し、番号を付けて紹介します。

①(前略)まず、うつ病でない人の憂鬱な気分もSITH-1が原因になっていることについては、第3章で説明しました。  このことから、「うつ病になりやすい性格」の形成にも、SITH-1が関与しているものと考えられそうです。  では、それはどのような性格でしょうか?

②うつ病になりやすい性格として有名なものに「メランコリー親和型性格」と呼ばれるものがあります。  その特徴としては、真面目、仕事熱心、秩序やルールに忠実、献身的、責任感が強い、頼まれると嫌とは言えない、といったものが挙げられます。

③こういう人は、ストレス耐性が低い性格ともいえますが、少なくとも、仕事はきちんとできそうです(「社畜」などと陰口をいわれることもあるかもしれませんが)。

④これとは対照的に、ストレス耐性テストを用いてストレス耐性の高い人の性格を見ると、「対人関係に極めて鈍感で戦力にならない」という結果が出るそうです。

⑤私はSITH-1について講演をすると、「入社試験でSITH-1検査をして陽性者を不採用にすれば、うつ病で休職や退職する人を減らせるのでは?」と、よく質問されます。

⑥これに対しては私は、「そんなことをしたら会社がつぶれますよ」と答えることにしています。  そんなことをしたら、真面目で、仕事熱心で、献身的で、責任感が強い、おおいに会社のためになってくれる人が入ってこなくなるからです。』


TOP↑

| PAGE-SELECT | NEXT