fc2ブログ

| PAGE-SELECT | NEXT

脳をバランスよく使う

1.『忘れる能力 脳寿命をのばすにはどんどん忘れなさい』(岩立康男著 朝日新書)を読みました。  『第5章 脳寿命を延ばす・・・「忘れられる脳」の作り方』の中の「一番大事なのは、脳をバランス良く使うこと」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①脳を病弊させないために最も有効なのが、違うことをすることだ。  これは言い換えれば、「集中系と分散系をバランス良く使う」ということである。

②脳には大きく分けて2つのシステムがある。  それが「集中系」と「分散系」であり、それぞれの活性時には必ず他方を抑制し、休ませている。

③集中系というのは、「目的を持って何かの仕事に集中している」ときに活性化する部分で、主に前頭葉や頭頂葉の外側皮質がこれにあたる。  逆に、何かの仕事に集中しているときに抑制されている部分が分散系で、脳全体のバランスを抑制し、記憶の整理もつかさどる。

④両者は互いに抑制し合いながら作用するのであって、高度な連携作業によって脳のパフォーマンスを最大限引き出すような仕組みを取っている。  つまり、両者を交互にバランスよく活性化させていけば、それぞれに適度な休息を与えることにつながり、脳の健康寿命は延びていくのである。  (中略)

⑤これとは反対に、「同じこと」を続けていたら、すなわち「集中系」と「分散系」のどちらかしか使っていない状態が続いていたら、脳はどんどん病弊していく。  (中略)

⑥集中系の過剰な活性化は、その部位に劣化したタンパク質や活性酸素などの蓄積を招き、細胞死につながっていく。  さらにノルアドレナリンやドーパミンを分泌する細胞たちへの過剰な負担からその病弊をもたらし、これらの細胞死を招くことになり、やがて集中系の機能低下につながってしまう。

⑦脳の細胞が死んでいく「神経変性疾患」のうち、パーキンソン病やある種の認知症では、病前性格として「生真面目」「律儀」などの傾向が挙げられている。  こういった性格は周囲の人々から高く評価されるが、集中系が長い時間、過剰に活性化しやすいため、その弊害が起こってくると考えられる。  真面目な性格ゆえに、「きちんと仕上げるまで」「ひと区切りつくまで」と、一つの仕事に集中して作業を続けてしまう。

⑧そのため「疲れた」「飽きた」と仕事を一旦放り出して休んだり、違うことをして息抜きをしたりする、といったことができないわけだ。  これだと長い目で見れば、脳の働き方に、集中系の過剰活性化という偏りが生じてしまうだろう。』

2.著者がまとめた「集中系・分散系の活動リスト」は以下の通りです。

(1)集中系
・何か目的を持って課題をこなす
・読書
・好きなことに熱中する
・運動、エクササイズ
・好きな音楽を聴く
・文章を書く
・スマホでゲームに興じる

(2)分散系
・ぼーっと景色を眺める
・散歩
・過去の記憶を回想する
・入浴、シャワー
・睡眠(レム睡眠時)
・あまり頭を使わない単純作業
・SNSを流し読み

3.私自身、ぼーっとすることが苦手で集中系に偏ることが多いので、自戒を込めて紹介しました。


TOP↑

運動脳

1.2021年1月31日のブログで『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著 新潮社)を紹介しました。  今回は同じ著者による『運動脳』を紹介します。  2016年に刊行されてから、著者の母国スウェーデンで67万部以上が売れた(人口の6%超が買った)超ベストセラーです。


2.「はじめに」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①腕を鍛えたければ脚ではなく腕のトレーニングをするのだから、脳も同じはず。  私たちはそう考えて、クロスワードパズルや記憶力のトレーニング、様々な脳トレ・メソッドで頭を鍛えようとする。

②しかし結論からいえば、効果はあまり期待できない。

③脳の機能を高めるには戦略的に運動するほうが、パズルや脳トレよりはるかに効果があることを、研究成果がはっきりと証明している。

④驚いたことに、脳は頭を働かせようとするより、身体を動かすことでこそ威力を発揮する器官らしいのだ。』


3.第1章「現代人はほとんど原始人」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①何百万年もの間、私たちの祖先は、現代人よりもはるかに活発に動きまわっていた。

②理由は単純だ。  人類の歴史において、ほとんどの時代、身体を動かさなければ食料を手に入れることも、生き延びることもできなかったからだ。  そのため、私たちの身体は動くのに適したつくりになっている。

③脳も例外ではない。

④私たちの脳は100年経っても、(新石器時代から)1万2000年経っても、さほど大きく変化していない。

⑤生活習慣は一変し、その結果、もともと身体が適応していた生活からはますます遠ざかってしまったが、あなたや私の脳は、今もまだサバンナで暮らしている。  そして、私たちが活発に動くことに、脳は何より敏感に反応する。

⑥もはや食料を調達するために狩りに出かける必要はなく、インターネットで注文までできる時代だ。

⑦それでも、ほんの少し祖先の生活に近づけば・・・つまり身体をもっと動かせば、私たちの脳は、今よりもずっと効率よく動いてくれることだろう。』


4.第2章「脳から『ストレス』を取り払う」から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①ここ数年、ストレスや不安に悩まされて精神科を訪れる思春期の子どもたちは増えるいっぽうだ。  生物学的に見れば、この時期の子どもたちが不安に悩まされてしまうことは当然といえる。

②前頭葉や前頭前皮質など、ストレスを抑える脳の部位は、最後に完成する。  10代では、まだ発達途中の段階で、じつをいえば、25歳ぐらいになるまで完成しない。

③いっぽう扁桃体のようなストレスを生み出す部位は、17歳でほぼ完成する。

④不安を引き起こす部位は充分に発達していても、それを抑える部位が未熟となれば、思春期の子どもたちが感情の起伏が激しく、衝動的で、いつも何かしら悩みごとを抱えているのも無理はない。

⑤そして、こういった思春期の子どものストレスや不安に対しても、運動は絶大な効果をもたらす。』


5.第7章「『学力』を伸ばす」では、運動が子供たちの基礎的な学力・・・いわゆる「読み・書き・計算」の力を伸ばすことの実例が紹介されています。


6.運動、特に有酸素運動が脳の機能向上に及ぼす影響については、2021年9月26日のブログでも『脳を鍛えるには運動しかない!』(ジョン・J・レイティ著 NHK出版)を紹介しました。

そのときも書きましたが、空手の稽古は心肺機能のスタミナを養成する有酸素運動そのものですから、脳の機能向上(少年の学力向上、思春期の情緒安定、高齢者の認知症予防)に最適ですね。







TOP↑

内臓脂肪

『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』(奥田昌子著 講談社)を読みました。  「不健康な内臓脂肪は、なぜ受け継がれているのか」の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。

『①残念ながら、日本人を含む東アジア人はお腹の脂肪、正式には内臓脂肪がつきやすいことがわかっています。  脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪があり、このうち内臓脂肪は、その名のとおり肝臓、膵臓、腎臓などの内臓の周囲にたまります。  (中略)

②実際に、同じ体型どうしで比較すると、東アジア人は他の人種とくらべて高血圧と糖尿病になりやすいことを示す報告が多数あります。  

③これをふまえて、男性の腹囲の基準値は日本と米国で大きく異なり、日本の85cmに対して米国は102cmです。  この基準値の意味は、腹囲102cmの欧州系米国人についている内臓脂肪の量と、腹囲85cmの日本人についている内臓脂肪の量が同じということです。  (中略)

④日本人は欧州系の人より一見やせていても、生活習慣病(高血圧や糖尿病など)に注意が必要だということです。

⑤それにしても、内臓脂肪がつきやすいという不利な体質が、なぜいまだに受け継がれているのでしょうか。  答えは簡単、内臓脂肪には本来重要な役割があるからです。

⑥人は動物と違い、体を立てて生活するため、そのままだと臓器が重力で下がってしまいます。  内臓脂肪がある程度ついていれば臓器をほどよく固定できるうえに、体に受けた衝撃から臓器を守るのに役立ちます。

⑦そんな内臓脂肪がとくに東アジア人につきやすい原因は、筋力の強さとの関係で説明できます。

⑧筋肉は白筋(はっきん)と赤筋(せっきん)という性質の異なる2つの成分が混じってできています。  白筋が瞬間的に大な力を発揮して瞬発力を生むのに対して、赤筋はゆっくり長い時間にわたって働くことで持久力をもたらします。  陸上競技でいうと、白筋が強ければ短距離走に、赤筋が強ければ長距離走に向いているといえそうです。 

⑨赤筋と白筋の比率はACTNという遺伝子のタイプで決まります。  人種による差が大きく、運動で鍛えてもほとんど変化しません。  アフリカ系、欧州系、アジア人の順で白筋の割合が高いとされています。

⑩内臓を支えるのに役立つ筋肉は2つあります。  腹横筋と腹斜筋です。  どちらもおもに白筋でできているため、白筋の力が弱い日本人は筋力が弱く、内臓を支えることができません。  これを補うには、内臓脂肪がある程度ついているほうがよいのです。

⑪内臓脂肪がいけないわけではなく、問題はつき過ぎなのです。』

赤筋と白筋は武道やスポーツにおける持久力やスピードだけではなく、内臓脂肪の量にも関係あったんですね。

TOP↑

| PAGE-SELECT | NEXT