2020.04.11 Sat
「ピンチの法則」五ヵ条
人生66年も生きてくると、ピンチに見舞われることが何度かありました。 そんな時に必ず取り出して読んだ本が、『朝は夜より賢い』(邱永漢著 実業之日本社)で、副題は「私の体験的ピンチ脱出法」となっています。
著者の経済評論家・作家の邱永漢(きゅうえいかん)先生は2012年に亡くなられましたが、30代の頃、先生の主催する『邱友会』に出席させていただき、ご指導を受けていた時期があります。
私のブログで過去にも取り上げた『「ピンチの法則」五ヵ条』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『1.(東京)大学を出て故郷(台湾)へ帰り、就職もしないで自分で何とかやって行こうと思ったときには、「いったい、これからどうなるのだろうか」と内心、暗澹たる思いがしたことを今でも記憶している。
2.私の場合はもう一回、香港へ行って同じ思いをくり返すという場面があった。 24歳のとき、私は台湾から政治亡命して香港へ渡り、「金も持たず」 「言葉もわからず」 「学歴も役に立たず」 「就職のあてもなく」 「友達もなく」、また「故郷へ帰ることもならず」異郷にただ一人おっぽり出されてしまった。
3.同郷の知人をたよって居候をきめ込み、約一年間、流浪の明け暮れであったが、このとき心配のあまりベッドに寝ころがったまま一睡もできず、窓が白んでくる体験を何回となくやったし、また目を悪くして、一ヵ月かかって下手糞の英語で「ファーイースト・エコノミック・レビュー」に寄稿をしてやっともらった百香港ドルの中から、眼鏡代に八十五ドルもって行かれたこともある。
4.そのときも先の見込みがまったく立たず、心細い思いをくり返したが、やがてどこからともなく結び目が解けて、次の道がひらけていった。 経済的なピンチについていえば、その後も何回となくくり返したが、似たようなことを何回か経験すると、慣れっこになるというほどではないが、ピンチにも法則があるということにいやでも気がついてくる。
5.「ピンチの法則」とは何かというと、
(1)ピンチというのは人生のリズムみたいなものであるから、周期的に必ずやってくる。 用心して予防策を講じていても、避けることはできない。
(2)ピンチにおちいるときは、身辺におこることがいずれもマイナスに働くから、八方塞がりの感じになる。
(3)ピンチにおちいると、奈落の底にでも落ちるような不安に襲われるが、それは心理的なものにすぎず、必ずどこかで底に足がとどく。 ただし、必ず一定の時間の経過を要する。
(4)ピンチの折返し点は、恐怖におちいって想像したよりもかなり上のところにある。 つまり、人間は自分で考えたところまでは、なかなかおちこまないものなのだ。
(5)ピンチから這い上がるキッカケは、ピンチにおちいる前に考えていたようなことからは生まれてこない。 苦しみにきたえられ、それが薬になってはじめて次の対策が生まれてくるのである。』
今回の新型コロナウィルスの緊急事態宣言が発令されたとき、真っ先に私の頭に浮かんだのは上の(1)です。 でも(4)にあるように「ピンチの折返し点は、恐怖におちいって想像したよりもかなり上のところにある。」と思います。
できる限りの対策はとりますが、「ある意味、得難い経験をさせてもらっている」ととらえ、泰然自若として過ごしていきたいなと考えています。
※追伸
このブログを書き終わった後、城西の指導員ブログおよびfacebookで昨日の『第1回 オンライン稽古』の投稿を見ました。
この大変な時期に、120名の方々に参加していただき、本当に感謝します。
緊急事態宣言の中、我々にできることは限られていますが、指導員一同精一杯努力させていただきますので、ご要望があれば、何でもご連絡ください。
著者の経済評論家・作家の邱永漢(きゅうえいかん)先生は2012年に亡くなられましたが、30代の頃、先生の主催する『邱友会』に出席させていただき、ご指導を受けていた時期があります。
私のブログで過去にも取り上げた『「ピンチの法則」五ヵ条』の項から抜粋し、番号を付けて紹介します。
『1.(東京)大学を出て故郷(台湾)へ帰り、就職もしないで自分で何とかやって行こうと思ったときには、「いったい、これからどうなるのだろうか」と内心、暗澹たる思いがしたことを今でも記憶している。
2.私の場合はもう一回、香港へ行って同じ思いをくり返すという場面があった。 24歳のとき、私は台湾から政治亡命して香港へ渡り、「金も持たず」 「言葉もわからず」 「学歴も役に立たず」 「就職のあてもなく」 「友達もなく」、また「故郷へ帰ることもならず」異郷にただ一人おっぽり出されてしまった。
3.同郷の知人をたよって居候をきめ込み、約一年間、流浪の明け暮れであったが、このとき心配のあまりベッドに寝ころがったまま一睡もできず、窓が白んでくる体験を何回となくやったし、また目を悪くして、一ヵ月かかって下手糞の英語で「ファーイースト・エコノミック・レビュー」に寄稿をしてやっともらった百香港ドルの中から、眼鏡代に八十五ドルもって行かれたこともある。
4.そのときも先の見込みがまったく立たず、心細い思いをくり返したが、やがてどこからともなく結び目が解けて、次の道がひらけていった。 経済的なピンチについていえば、その後も何回となくくり返したが、似たようなことを何回か経験すると、慣れっこになるというほどではないが、ピンチにも法則があるということにいやでも気がついてくる。
5.「ピンチの法則」とは何かというと、
(1)ピンチというのは人生のリズムみたいなものであるから、周期的に必ずやってくる。 用心して予防策を講じていても、避けることはできない。
(2)ピンチにおちいるときは、身辺におこることがいずれもマイナスに働くから、八方塞がりの感じになる。
(3)ピンチにおちいると、奈落の底にでも落ちるような不安に襲われるが、それは心理的なものにすぎず、必ずどこかで底に足がとどく。 ただし、必ず一定の時間の経過を要する。
(4)ピンチの折返し点は、恐怖におちいって想像したよりもかなり上のところにある。 つまり、人間は自分で考えたところまでは、なかなかおちこまないものなのだ。
(5)ピンチから這い上がるキッカケは、ピンチにおちいる前に考えていたようなことからは生まれてこない。 苦しみにきたえられ、それが薬になってはじめて次の対策が生まれてくるのである。』
今回の新型コロナウィルスの緊急事態宣言が発令されたとき、真っ先に私の頭に浮かんだのは上の(1)です。 でも(4)にあるように「ピンチの折返し点は、恐怖におちいって想像したよりもかなり上のところにある。」と思います。
できる限りの対策はとりますが、「ある意味、得難い経験をさせてもらっている」ととらえ、泰然自若として過ごしていきたいなと考えています。
※追伸
このブログを書き終わった後、城西の指導員ブログおよびfacebookで昨日の『第1回 オンライン稽古』の投稿を見ました。
この大変な時期に、120名の方々に参加していただき、本当に感謝します。
緊急事態宣言の中、我々にできることは限られていますが、指導員一同精一杯努力させていただきますので、ご要望があれば、何でもご連絡ください。